職場でも家庭でも孤立を深める姿。
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自らに責任があるとは言え、悲痛だった。 心は閉ざされて行くばかり。
行き詰まった彼に、先輩からの職業紹介。 単身赴任で久留米へ。 施設責任者。 2~3年の実績を積めば、北九州で 望むような就職が出来ると励まされ着任した。
しかし。 ここでも。 多くの部下のことより自分のことばかりに心は奪われ、まるで自爆するかのように 辞めてしまった。 実績を積むどころか水泡と帰した。
久留米のアパートまで家財道具を積んで行った私は、一年後に 彼のマンションへと運び込んでいた。
今回、さすがに奥さんはキレてしまった。 離婚の宣告。
ガックリする彼に対して、当然に慰めの言葉は掛けなかった。 「ゼロになっただけじゃん。 何億円もの借金抱えてマイナスからスタートするんじゃないよ」 「離婚して一人になるって、また恋愛して 結婚まで出来るんだぜ」 「人生はバランスが取れている。 自分の気持ちを切り替えろよ」
しかし。 壊れて行った。 自らの命を絶つまで 約2ヶ月。
親娘 三人だけの通夜から退出。 本当に心に穴が空いたようになるのは これからだった。
知人に電話する。 彼の かつての職場で同僚だった二人。 先輩に。 次は? 居ない。 そう。 俺たちの中学校時代で、彼の訃報を知らせるべき友人が誰も居ない。 高校や大学の同級生は? 居ない。
茫然とした。 文句や不平ばかり言いながら働いて、しかも職場しか友人が居なくて。 色々な縁を自ら断ち切ってしまって。 寂しい生活だったよなぁ。
翌日。 告別式へ。 二人だけに しかも夜の10時過ぎに電話したにも関わらず、元の職場同僚は二十人近く 参列していた。 皆、職場と同僚を愛していたんだね。 やはり、この職場で ずっと働くことが出来ていたら、随分 違った人生だったよね。 この職場が無くなって、一人残らず失職したことは、勤勉な君たちの責任では無かったしね。
もちろん、誰一人として 自殺だとは知らない。
遺体が安置された部屋には 親族だけが集まっている。 俺たちは誰も入らない。 いや。 そもそも 受付さえ無い。 迎えようとする気さえ無い。 故人の実兄が一人で しゃべっている。 愚にもつかない馬鹿話。 ご住職が入って来られても続けている。 部屋の外に居た俺は 本気で殺意さえ抱いた。
「兄弟に相談に行けよ」 そう言う俺に 「母親と姉貴は たぶん死んでいる。 兄貴は随分前にケンカして絶縁状態。 会える状態じゃない。 絶対に何もしてくれない」
そうは聞いていた。 しかし、実の弟の死。 告別の場に臨んで、この態度だ!
同僚だった方々も、何か おかしいとは感じている。
速やかに。 あまりに速やかに告別式は終わり、簡単な挨拶で遺体は運び出されていった。
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