西部斎場。
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焼かれている。 扉に一人で手を合わせた。 親族は待合室。 近寄る気もしない。 俺は感情が表に出るのを制御出来ないのだ。
やけに青い空を見上げていた。 そう言えば。 朝からタバコを吸っていない。 「もういいや」 何もかもイヤだ。 タバコを吸うのさえイヤだ。
中学校の3年生で初めて同じクラスになった。 新学年。 最上級生。 5月には修学旅行。 高校。 互いに引っ越して近所になって。 大学時代。 就職。 結婚は俺の方が早くて。 子どもはお前が先で。 俺は転職。 お前は転勤。
次々と浮かんでくる。
タバコは、その日から完全に止めてしまった。 2年と1ヶ月と1週間。
青空。
「… 様の御遺族の皆様 …」
少し離れて遺骨が納められていくのを見る。 あの兄貴も さすがに馬鹿話はしていない。 おかげで、心底からの 怒りを感じなくて済む。
奥さんが俺を見付けて。 「どうか、拾ってやってください」
箸を受け取る。 虚しい。 お前の骨の脆さが虚しい。 まるで お前の生き方そのもので虚しい。
翌日。 奥さんに手紙を出した。 墓に入れたら教えて欲しい、と。
遺骨を祀ってくれるとは思えなかった。 直ぐに納骨されると感じていた。
俺が書いておかなければ いけないと思ったこと、それは実はここから始まる。
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