面白古文書『金玉尽・鳥尽』も最終コーナーに入りました。
今回は、左側(とり尽くし)の下段です。
前頭 阿ほうハうつとり
(阿呆はうっとり)
前頭 太った娘はぼつとり
(太った娘はぼつとり)
前頭 荷舟ハせどり
(荷舟は瀬取り)
前頭 因バのとつとり
(因幡の鳥取)
前頭 七りんの火とり
(七輪の火取り)
前頭 大和に高とり
(大和に高取)
前頭 工合かよいこつとり
(工合が良いこつとり)
前頭 餅つきのうすどり
(餅つきの臼取り)
前頭 早イが手とり
(早いが手取り)
前頭 うらめしいがなわとり
(恨めしいが縄取り)
前頭 左官に戈とり
(左官に戈鳥)
前頭 一夜のやどり
(一夜の宿り)
前頭 俳諧の点とり
(俳諧の点取り)
前頭 天下茶やの五文どり
(天下茶屋の五文採)
前頭 戦国のきりどり
(戦国の切取)
前頭 かむろにミどり
(禿にみどり)
前頭 やもめハひとり
(寡は一人)
前頭 山伏は兜きん
(山伏は兜巾)
前頭 外科ハすひ玉
(外科は吸玉)
前頭 一字千きん
(一字千金)
前頭 ふむのハこんにゃく玉
(踏むのはコンニャク玉)
前頭 よさうの〇きん
前頭 久しぶりハた両(ま?)玉
前頭 牡丹のみきん
(牡丹の砌)
前頭 墓所ハひたま
(墓所は火玉)
【うつとり】ぼんやり者。まぬけ。
【ぼつとり】顔やからだつきがふっくらとして色気のあるさま。
【瀬取り(せどり)】洋上において船から船へ船荷を積み替えることを言う。また特に、陸揚げのために、親船の積み荷を小船に移すことや、その小船のこと(瀬取り舟)。
【火取り(ひどり)】おこした炭火などを運ぶのに使う道具。
【大和(やまと)】【高取(たかとり)】大和国の高取藩。
【工合(ぐあい)】【こっとり】ともに、具合が良いさまを表す語。
【臼取り(うすとり)】 餠をつくとき、餠が杵や臼につかないよう、水に手を浸し、餠に水をうったり、餠を返したりすること。また、それをする人。
【手取り早い】手っ取り早い。
【縄取り(なわとり)】罪人を縛った縄の端を持って、逃げないように警護すること。または、それをする人(縄持ち)。奉行所配下の身分の低い者が任にあたった。
「盗みする子は憎からで縄掛くる人が恨めしい」(盗みをした我が子を憎まず、その子を捕まえて縄を掛けた相手を恨む)との諺は、親の身びいきのたとえ。
【戈鳥(ほことり)】戈鳥 = 鳶(とび)。転じて、とび職。江戸時代、左官とともに人気のあった職業。
【点取り】点取り俳句のこと。江戸時代、評者(点者)が俳句に批点をつけ、その点の多少で優劣を競う遊戯的な俳諧。点取り主義が横行して俳諧が堕落し、後に賭事的なものとなった。
【五文採(ごもんどり)】安倍川餅の別名。五個五文であったが後に一個五文になった。
【切取(きりとり)】武力で領地などを奪い取ること。
【禿(かむろ)】遊廓に住む童女。
【みどり】遊女見習
【兜巾(ときん)】修験道の山伏がかぶる黒の布でつくった頭巾。ひもで下あごに結びとめる。
【吸玉(すいだま)】江戸時代まで盛んに行われた吸玉療法。
【一字千金】大変に優れた文字や文章のこと。
【踏むのはコンニャク玉】江戸時代、コンニャクを、足踏み臼という機械で、踏みながら作った。
【砌(みきん、みぎん)】舞楽が始まる時という意味。能『石橋』で牡丹が咲く下、連獅子が踊る。地謡が、「獅子団乱旋(ししとらでん)の舞楽の砌(みぎん)」と謡い、キリとなる。
【火玉(ひだま)】空中を飛ぶ球状の怪火。火の玉。
ようやく最後までたどりつきました。
「うらめしいがなわとり」や「左官に戈とり」などの難問をクリアーして、有終の美を赤無しで飾れると思いきや、なぜか「鳥」の段の最後に「金・玉」が入ってきて、これで見事にギブアップ(^^;
3カ月かけても、すっきりと行かないのが、面白古文書の常(^.^)
私も最初はそうとって、黒でした。
ところが、この作者、漢字で玉を使っている場合は、すべて、玉がつく名詞なのです。しかも、久しぶり<=>たまたま・・・・意味が有るようで無い感じです。
で、やむなく赤にしました。橙くらいがよかったでしょうか(^^;
こんな言葉のお遊びでない、Jikanさんの本格的古典分析が再開されるとのこと。期待しています(^.^)
久しぶりハた両(ま?)玉
たま玉と読みました。たまたま出会ったので。
しばらく休止していた拙コレクションの勉強を再開いたしますので、たまたまでも思い出したらお立ち寄り下さい。
それにしても、この小さな紙切れ一枚に費やした時間と労力はは我ながらすごいと感心します。
よほどの物好きかひま人ですね(^^;
やはり、難しいですね(><)
右側(金玉尽し)の前頭の数に比して、左側(鳥尽し)の前頭の数が少なくなったので、幾つかの金玉尽しの前頭を鳥尽しの前頭に加えたのですね。
それだけに、鳥尽しの問題作りは、金玉尽しの問題作りよりも難しいということでしょうか、、、?