今回は、いわゆる白洲正子好みと言われる品です。
径 17.2㎝、高台径 7.0㎝、高 3.2㎝。中国、明末。
蛤と思われる貝が描かれています。
全体に薄造りです。
器体は歪んでいます。
高台は小さく、砂が付着しています。高台内には放射状の削り痕がみられます。
90度回すと落ち着きがありません。
白が砂浜、塗りつぶし部が海を表しているからでしょうか。
図柄としては単純なものですが、これを描こうとすると案外難しいのではないでしょうか。
自然や動植物を使って図柄を描く場合、同じコンポーネントを使って幾何学的なデザインをつくるのは比較的簡単です。一方、動植物をいくつか自然に配置するのは非常に難しい。どうしても人間の作為が入ってしまい、偏りが生じてしまうからです。
きちんと整列したり、きれいに散らばってしまっては面白みがありません。かといって、偏り(蛤の種類、向き、集まり具合)が強すぎてもダメ。そいう目で今回の皿を見ると、二種類の蛤が微妙な配置で描かれていると言えるのではないでしょうか。
その辺が、白洲女史のお気に召したところかも知れません。
ところが、この品には難点が(^^;
この品は、25年程前、大阪老松の骨董店で求めた物です。当然、それなりのお値段。しかし、その時には気づかなかったのですが、よく見ると傷があります。下写真、左上の貝の右側に薄っすらと、釉薬の下に鋭い筋が走っています。何らかの原因で内部から傷が発生したのです。もう少し大きくなれば、ポコッと剥がれるでしょう。こういうハガレ疵のうち丸いものを、骨董界俗語でハマグリとよんでいます。
商魂たくましい大阪商人は、ハマグリも売るのか😠😡
こころやさしいモンスター君が、慰めてくれています!?(^.^)
白洲正子のみならず、昔の茶人も愛したことでしょう(^-^*)
これを見ると、昔の茶人が景徳鎮に特注した厚手の物のみを古染付と定義することは出来ませんよね!
蛤にハマグリですか!
これは、昔の茶人なら「見所」とみますね!
これは、欠点ではなく、プラス要素ですね(^-^*)
というより、骨董屋に小馬鹿にされたようで気分がよろしくありません。
まあ、大馬鹿にされるよりはマシでしょうか(^^;
この図柄で色がさしてある(古九谷金彩のように貝の輪郭を赤で再度描いてある)品を見たことがあります。
喉から手が出るほど欲しかったのですが、喉からも懐からも手は出せませんでした(^.^)
古染付だったんですね、今回初めて知りました。
大胆にして奔放なデザイン、真っすぐ立った高台などは
寛文期の伊万里のお手本になったであろうことが想像されます。
一度見たら忘れない魅力のある品だと思います。
伊万里の写しはなさそうです。
貝とわかるかどうか、ぎりぎりまで単純化されています。日本では、ここまで大胆なデザインは好まれなかったのでしょう。