また、南京赤絵の皿が見つかりました。
南京赤絵の角皿です。5枚とも無疵、擦れ疵無し、虫食いもありません。
14.0㎝x14.0㎝、高台 9.3㎝x9.3㎝、高 2.8㎝。中国、明末ー清初。
少し歪んだ器体に、赤絵で中国風の絵付けがなされています。
雲がたなびく木の下で、男が一人、釣り糸を垂れています。
この光景、どこかで見たような・・・・・
そうです、以前紹介した南京赤絵漁師高士図四方中皿と構図が似ています。
そこで、二種類の南京赤絵を較べてみました。
角皿の大さ、形、造りはほぼ同じ、使われている色釉の色調も一緒です。
裏側の周縁を鉄釉で塗った口化粧も同じ。
構図だけでなく、
人物も同一ですね。
どうやら、この二つの南京赤絵は、同じ窯で同じ時期に焼かれた物と思われます。しかも、何かのお話しの連続模様(右が先、左が後)の可能性大です。
最大の違いは、虫食いです。
左の皿には、5枚とも虫食いがあります。
ところが、今回の品(右)は、虫食いをいくらさがしても見つかりません。
「明末になると、中国王朝の力が弱まり、世の中が乱れ、陶磁器生産も衰退して、粗悪な材料を使わざるを得なかったため、胎土と釉薬の収縮率が大きく違い、口縁に虫食いが生じた。」
というのがこれまでの通説でした。
ところが、同じ窯の同じような品でも、虫食いの有無が異なる!
虫食いの謎は深まるばかりです。
今度は、魚を釣り上げる前の光景でしょうか(^_^)
以前に紹介された物とは、実に良く似ていますよね。
虫喰いが無いのを除いては、、、。
このして両者を並べて比較しますと、虫喰いについての通説には疑問を感じますね。
呉須手の方が古染付よりはるかに粗悪品なのですが、ほとんど虫食いは見られません。
今回の2種類の南京赤絵は同じ原料を使っているはずなのに、虫食いがあったり無かったり。
ということになると、焼成時の何かが影響????
こうなってくると、ミステリーの謎解きですね。