遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ヨトウムシ戦線異変あり

2021年11月11日 | ものぐさ有機農業

今年は気温が高い日が続いているので、秋冬野菜がぐんぐん大きくなっています。

左から、ニンニク、白菜(晩生)、白菜(早生)、大根です。

しかし、同じ白菜でも、晩生と早生、えらい違いです。

 

左側の晩生の白菜は、艶々とあふれんばかりに成長しています。

一方、早生の白菜(右側)は哀れな状態です。

ずーっと中の葉まで、網々です(^^;

これは間違いなくヨトウムシの仕業ですね。

白菜は此奴の大好物なのです。

ネットをかけて育てるのですが、どこからか侵入し、気が付いた時にはヨトウムシの天国になっているのです。

そこで、やむなく人海戦術。

この時期は、毎年、朝、昼、晩とヨトウムシ退治に明け暮れます。

戦果は、日に数十匹(^.^)

ヨトウムシとの戦いに必須のアイテムです。特に、医療用ピンセットの威力は絶大です。

虫害を少なくするため、例年、白菜の植え付けは、天候(気温の変化)をみながら、ギリギリまで遅くします。

ところが今年はいつまでたっても気温が下がらないので、業を煮やし、イチかバチかで、まず、早生の白菜を植えてみました。

予想に違わず、ヨトウムシの猛襲です。その結果は、先の写真のとおりです(^^;

そして、2週間後に、例年通り、晩生の白菜を植え付けました。かなり生育がすすんで、防虫ネットをはずして、驚きました。いつもはゴロゴロいるヨトウムシが見当たらないのです。

おかしいなと思いながら、大きくなった早生の白菜の方を見てみました。網々の葉ではありますが、ヨトウムシの姿はどこにもありません。あれだけいた虫です。キツネにつままれた・・・・

思い当たるふしがあります。早生の白菜のヨトウムシ退治をしている時、白っぽくなって死んでいるヨトウムシが何匹いました。これは、ウィルスに感染して死んだ虫だったのです。その後、ウィルスが広がり、ヨトウムシは一匹もいなくなったのです。

こんな形で死んだヨトウムシを見つけたら、潰してから水でうすめて散布すると、ヨトウムシ退治ができるそうです。これは、生物農薬として海外では実用化されているとか。

大根の上には、毎日、モンシロチョウが何匹も飛んできます。例年なら、アオムシ退治をせねばなりませんが、今年はアオムシもゼロ(^.^)

 

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漆絵波千鳥小皿(5枚)

2021年11月10日 | 漆器・木製品

今回は、漆絵の小皿、5枚です。

 

径 12.4㎝、底径 5.5㎝、高 1.7㎝。大正ー昭和。

先回の品と異なり、轆轤引きの典型的な小皿で、縁は2㎜弱の厚さですが、底の分厚さは6-7mmあります。

現代の品でないことは確かですが、正確な時代はわかりません。ただ、絵柄は、大正ー昭和初期のモダンデザインを思わせます。個人的には、昭和初期頃の品ではないかと思っています。

碁笥底をすかして見ると、年輪が浮かんで見えます。こんな小さな品では、珍しい木どりです。

皿の表には、色漆で、波に千鳥の絵が描かれています。いわゆる漆絵の漆器です。

 

漆絵とは、顔料を混ぜた色漆で漆器の表面に直接、絵を描いた物です。漆器の技巧の中では、最も歴史が古く、特に江戸時代には広く使われました。

伊万里焼でいえば、先回の墨絵春慶塗が染付の皿(釉下彩)、今回の品は、古九谷や柿右衛門(上絵)に相当します。

 

残りの4枚も含め、同一の絵柄だと思っていたのですが、今回よくよく眺めてみたら、5枚とも、微妙に異なっていました。

例によって、お暇なら、違い探しをどうぞ(^.^)

 

 

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春慶塗墨絵小皿

2021年11月09日 | 漆器・木製品

今回は、春慶塗の小皿、5枚です。

春慶塗は各地で作られていますが、この小皿は、飛騨の春慶塗です。

 

春慶塗特有の透明感のある木皿に、墨で絵付けがなされています。絵は木に直接描かれていて、その上に透明漆が塗られています。いずれの皿も、非常に薄く、縁で1㎜強の厚さしかありません。また、轆轤引きの木皿は通常、底厚なのですが、今回の品は、縁よりもわずかに分厚い程度です。さらに、5枚とも、微妙に厚さが異なっています。

5枚、それぞれ絵柄が違います。

梅:

径 14.5㎝、高 1.4㎝。重32g。明治―戦前。

 

蘭:

蒲公英(タンポポ):

水仙:

木に鳥(八咫烏?):左端に、小さく国山の銘有り。

春慶塗は、木の素地を黄か赤で着色し、透明漆をかけた漆器です。木肌の味わいが特色ですから、ほとんどの春慶塗は無地です。

ところが、明治以降、この木地をキャンバスにして墨で絵を描き、透き漆処理をした春慶塗が作られたことがあります。尾張の絵師が絵付けを行った飛騨の春慶塗です。赤黄色の背景に描かれた山水や植物は、独特の雰囲気をもっていて、一風変わった春慶塗です。

この春慶塗にお菓子をのせて出すと、ほとんどの人は皿を手にとってしげしげの眺めます。会話がはずみます。

この皿には、疵があります。元々あった木地の疵です。他にも小さな難点がいくつかあります。今の春慶塗なら不良品としてはねられ、決して市場に出ることはありません。今回の品は昔の春慶塗なので、こんな物もありなのですね。本来の漆器には、こういう大らかさがあったのではないでしょうか。

漆器の高級品は、使うには躊躇する場合が多いです。その点、春慶塗は値段もお手頃で、普段使いに向いています。多少傷が入ってもそれほど気になりません。民芸品の強みですね(^.^)

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面白古文書 『嘘比べ見立評判』(下)

2021年11月07日 | おもしろ古文書

今回は、前回に続いて、『嘘比べ見立評判』の後半(下段、西の方)です。

赤は意味が取れないところです。わかる方、御教示をお願いします。

 

『嘘比べ見立評判』

 

『嘘比べ見立評判』の後半(下段、西の方)

 

差添 手のある女郎のむつごと
     (手のある女郎の睦言)
   西 之 方          
大関 早くしにたいといふ歳より
    (早く死にたいと言う年寄り)
関脇 ばんにくるといふ朝がへり
    (晩に来ると言う朝帰り)
小結 あすハうけるといふしち入
  (明日は受けると言う質入れ)  
前頭 しんぼうしますといふむす子
     (辛抱しますと言う息子)
前頭 水入らずといふふるぎ屋
     (水いらずと言う古着屋)
前頭 うらない者のおひねり
     (占ない?者のおひねり)
前頭 もとねだといふあきう人
     (元値だと言う商人)
前頭 なきごとをいふかねもち
     (泣き言を言う金持ち)
前頭 子どものはなうた
     (子供の鼻歌)
前頭 おとしたといふつり人
     (落したと言う釣り人)
前頭 もふうらぬといふゐあいぬき
     (もう売らぬと言う居合抜き)
前頭 初日から大入のかきつけ
     (初日から大入の書き付け)
前頭 ほれましたといふ茶屋め
     (惚れましたと言う茶屋女)

 

前頭 わかれぎハちと御出に成まし
     (別れ際ちと御出に成りまし)
前頭 きのふのだんなと云かごかき
     (昨日の旦那と言う駕籠かき)
前頭 見せものゝかたわもの
     (見世物のかたわ者)
前頭 諸病のねきりくすり
  (諸病の根切り薬)  
前頭 善光寺へ納ると云ぼうさま
   (善光寺へ納めると言う坊さま)
前頭 ちがふたらぜにハいらぬといふうらないし
     (違うたら銭はいらぬと言う占い師)
前頭 取あげばゞのモウ一ツけん
     (取りあげ婆のもう一軒)
前頭 くさぞうしのかたきうち
     (草双紙の敵討ち)
前頭 開帳奉納金のかきつけ
     (開帳奉納金の書き付け)
前頭 人ごミの馬じゃ馬じゃ
     (人混みの馬じゃ馬じゃ)
前頭 のりこみのかごのうち
     (乘り込みの駕籠の中)
前頭 いやそうなむすめのぼたもち
     (嫌そうな娘のぼた餅)
前頭 いとまごいしてからお茶づけ
     (暇乞いしてからお茶づけ)
前頭 それにハおよばぬと云金の利足
     (それには及ばぬと言う金の利息)
頭取 縁談の仲人
  (縁談の仲人) 

 

【差添え】さしぞえ、さしぞい。副主催者格で、興業全般の世話をした。江戸時代から明治13年までの相撲番付に、勧進元、行司、頭取などとともに記されていた。
【手のある】手練手管に通じた
【質受け】元金と利息を揃えて、質入れした品を取り戻すこと。
【茶屋女】水茶屋で、客に酌をしたり遊興の相手をした女。
【根切り】根絶
【草双紙】江戸時代の大衆向け読み物。仇討など通俗的な物が多かった。
【乘り込み】江戸時代、京坂の役者が江戸の劇場へ、江戸の役者が京阪の劇場へ出演する際、劇場へ到着して、挨拶をする儀式。
【居合抜き】人々を集め、長刀を抜く芸みせた後、薬や歯みがきを売った。    

【頭取】相撲興業で力士を統括する人。年寄。

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面白古文書 『嘘くらべ見立て評判』(上)

2021年11月06日 | おもしろ古文書

面白古文書『嘘くらべ見立て評判』です。

18.4 ㎝x25.1 ㎝。江戸時代後期。

相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。

江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。

今回の品はその一つ『嘘くらべ見立て評判』です。いろいろな嘘が、東の方(上段)と西の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段、2回にわけてブログアップします。

意味がわからないものがいくつかあります。赤色でマークしてありますので、ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)

 

『嘘くらべ見立て評判』東の方

 

嘘くらべ見たて評判 
勧進元 酒飲みの禁酒
   東の方
大関 女はきらいだといふ若い衆
  (女は嫌いだという若い衆)
関脇 おくさまへつげ升といふ下女
  (奥様へ告げますと言う下女)
小結 見せよふが遅いといふやぶ医
  (見せようが遅いと言う藪医)
前頭 尼になりたいといふむすめ
  (尼になりたいと言う娘)
前頭 いきており升といふさかな屋
  (生きておりますと言う魚屋)
前頭 くハんけ帳の一チふで
  (勧化帳の一筆)
前頭 五しきにさくあさがほ
  (五色に咲く朝顔)
前頭 かるいもののけいづはなし
  (軽いモノノ怪出づ話し)
前頭 からくないといふとうがらしずき
  (辛くないと言う唐辛子好き)
前頭 かいてうのほうもつ
  (開帳の宝物)
前頭 御むそうのめうやく
  (御夢想の妙薬)    
前頭 座敷ハきれいだといふやど引
  (座敷はきれいだと言う宿引)
前頭 おばけがきたといふおふくろ
  (お化けが来たと言うおふくろ)
前頭 かうしやくしの明ばん
  (講釈師の明晩)   

 

前頭 賣薬店の受合りやうじ
  (売薬店の受け合い療治)
前頭 一トまく十六文といふ芝居引人
  (一幕十六文と言う芝居引人)
前頭 だんなでらのくやミいふの
  (旦那寺の悔み言うの)
前頭 用があるから一寸御はこびと書て
       よこすめうふのふミ(用があるから一寸御はこびと書いてよこす妙婦の文)
前頭 かけ取に留守たといふかミさま
  (掛取に留守だと言うカミさん)
前頭 母のない子でござり升といふこじき
  (母のない子でございますという乞食)
前頭 風を引たといふ灸ぎらい
  (風邪をひいたと言う灸嫌い)
前頭 よいたんなだといふ奉公の口入
  (良い旦那だと言う奉公の口入)
前頭 いなかものだといふせんとう入
  (田舎者だと言うせんとう入)
前頭 物目前のめうふのほり物
  (物目前の妙婦の彫り物)
前頭 きのふからくわぬと云物もらひ
  (昨日から喰わぬと言う物もらい)
前頭 きのふだとよいと云茶づけふるまい
  (昨日だと良いと言う茶漬け振る舞い)
前頭 おくびやうものヽてがらはなし
  (臆病者の手柄話)
行司 ことふれ
  (事触れ)

 

【勧化帳(くハんけ帳)】神社仏閣などの造営、修復のため、金品寄進を募る趣意書。勧進帳。
【御夢想(御むそう)】 夢でみた神仏からのお告げ。
【明晩(明(あくるばん)】次の日の晩。
【事触れ(ことふれ)】言い触らすこと。言い触らす人。

 

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