遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

華月老人『梅鶯画讃 宣長歌』

2023年09月19日 | 文人書画

本居宣長の門人による梅鶯画讃です。

全体、48.8㎝x189.8㎝、本紙(絹本)、36.8㎝x98.8㎝。江戸後期。

鶯籠と梅の花が描かれています。これから、梅の花を活けて、鶯が鳴くのを楽しむのでしょう。

 

さえ出る朝日もにほふ梅枝に

       春をあらそふ鶯のこゑ

         本居翁作題華月老人書

冴え出る朝日も匂ふ梅枝に

      春を争ふ鶯の聲

この讃は、本居宣長作の和歌です。

この掛軸の作者、華月老人の詳細は不明です。しかし、野田市立図書館に、華月老人道泰『宝玉言葉百種』(嘉永7年(1854年))なる肉筆書が所蔵されており、その中の華月老人の落款は、今回の掛軸のそれと全く同じです。この本は、歴代天皇などの歌中の言葉を解釈し、日本の文化の特徴を述べています。これは、本居宣長の採った手法であり、華月老人が宣長の門人であることは確かだと思います。

掛軸はトロトロになっていて、これまで頻繁に掛けられてきたことが伺えます。

本居宣長のこの歌、頭をひねらなくてもスッと入ってきます(^.^)

私も、毎年、梅の季節には、この軸を必ず掛けます。

 

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本居宣長『和歌短冊 水郷春望』

2023年09月17日 | 文人書画

今回は、本居宣長の和歌短冊です。

和歌短冊、5.8㎝x35.3㎝。江戸中・後期。

本居宣長(もとおりのりなが、享保十五(1730)年―享和元(1801)年):江戸時代中・後期の国学者、歌人。伊勢、松坂生。号は芝瀾、舜庵。商家に生れるも、医学修業のため上京。京で儒学を学んだ後、国学にうちこむ。実証的研究を重んじる一方、国文学の本質を「もののあわれ」とした。書斎を鈴屋と名づけて講義を行い、多くの門人たちを育てた。

水郷春望

ひさ方のかつらの里もはるふかく

たてる霞の中におひたり 宣長

 

久方の(枕詞)桂の里も春深く

たてる霞の中におひたり 宣長

 

本居宣長は、歌人としても有名で、多くの和歌を詠んでいます。今回の品もその一つです。

桂の里(桂川右岸)は、春真っただ中で、霧の中にけむっている、という情景を詠んだものでしょう。

しかし、この和歌の最後、「おひたり」は、どう考えたらよいか大変迷いました。

最初は、「おひたり」=>「おびたり(帯びたり)」と解釈しました。ですから、「桂の里は、春(を)帯びたり」となります。しかし、「帯びたり」は、そのような感じや傾向を持つ、という意味ですから、「春(を)ふかく帯びたり」は、「帯びたり」の意味からしてちぐはぐな使い方になってしまいます。

「おひたり」のもう一つの解釈は、「生ひたり」です。和歌の趣意としては、「桂の里は、霧の中に、生ひたり」となります。「生ひたり」は、草や木が生え伸びた、という意味です。桂の里が生え伸びるのもおかしな話です。

しかし、土佐日記には、「ひさかたの月におひたる桂川底なる影も変はらざりけり」の歌が出てきます。中国では、桂の木は月に生える目出度い木とされています。それと同じ名をもつ桂川は、昔も今も川底に映った月影は変わらないと詠んでいるのです。この場合、「おひたる」は、「生ひたる」だけでなく、「(名を)負ひたる」の意味もかかっています。

本居宣長の今回の和歌は、「ひさかたの桂の里」と桂の枕詞に「ひさかたの」を使っています。この枕詞は、日や月に対して用いられることからも、「桂と月の関係」を背景にした和歌であることがわかります。したがって、前述の土佐日記の桂川の歌を意識して今回の和歌がつくられていると考えれば、「おひたり」は、「生ひたり」とするのが妥当ではないでしょうか。

 

桂の里は春もたけなわ、月の世界に生えるという木と同じ名をもつこの里は、立ち込める霧の中にたたずんでいるかのようだ。

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納豆で草を枯らしてみた

2023年09月15日 | ものぐさ有機農業

最近は、菌や酢を活用して、草を退治しようという試みがなされています。そのうちの一つ、yutubeに納豆を使って草を枯らす動画が出ていたので、早速やってみました。

この暑さで草刈りも滞りがち、草ならどれだけでもあります(^^;

中山道脇の畑の横もごたぶんにもれず草だらけ、ゆうに腰丈を越えています。

枯らしたい場所を足で踏んで、草をなるべくぺちゃんこにしておきます。実は、この作業が最も大変です。大汗をかきながら、日頃の運動不足をおぎなうつもりで頑張りました。

そこへ、米ぬかをまんべんなく撒きます。

足で米ぬかをなるべく下へ落とすように踏んでいきます(またまた運動不足解消の大汗(^^;)

こんな具合になります。

いよいよ納豆の出番です。

水(適当量)に納豆一パックを入れ、よくかき混ぜます。

豆は取り除いて(明日の朝の味噌汁の具(^.^))、バケツ二杯の水(糖蜜を少し入れた)で薄めてジョウロで撒いていきます。草が乾燥している場合は、あらかじめ散水して全体を湿らせておきます。

シートを掛け、重しを置いたら出来上がり(1.75mx3.25m)。

一日目:

恐る恐るシートをそっとめくってみると・・

もう、草はかなり黄色くなっています。

白い綿状のカビ(米ぬかの発酵時に見られる)も見えます。

3日目:

処理した所とそうでない所の違いがはっきりわかります。

この頃までは、米ぬかが発酵した時の乳のような匂いが一面に漂っていました。

一週間後:

シートをはずしました。

かなりイケています。

草が枯れています。根の方まで枯れたかはわかりません。

ほとんど匂いはしません。

が・・・

よく見ると、生き残った草が所どころに頭をもたげています。竹と瓦でシートを押さえていましたが、どうも重しが効いていない所がうまく枯れていないようです。

実は、この方法でなぜ草が枯れるのか、はっきりとしたことはわかりません。

色々な理由が考えられます。

まず、強靭で生育旺盛な納豆菌が急速に増えることによる発酵熱です。だたでさえ暑い時に、シートで塞ぎ、さらに菌が熱を出すので、蒸し焼き状態になって枯れる可能性が大です。また、米ぬかがあるので他の菌も増殖すると思われます。一度に多くの菌が増殖するので、全体が酸欠状態になり、草(特に根)の生育が阻害される可能性もあります。

とっ、ところが・・・・

二日目、青シートの外側の草です。納豆菌液がかかったと思われる葉が部分的に枯れています。

納豆菌自身が葉を枯らす!!!???

この葉には、おそらく米ぬかも付着しています。米ぬかは、田の除草に使われることがあります。乳酸菌が増え、作られた乳酸が草の発生を抑えるからだと言われています。

今回の場合は、納豆と米ぬかを同時に使っているので、どちらが効いているのかはっきりしません。両者の相乗効果かもしれません。

いずれ、それぞれ単独の除草効果を調べ、白黒つけたいと思います。

 

 

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ローゼルでジャムを作りました

2023年09月13日 | ものぐさ有機農業

以前、知り合いからローゼルの苗をいただき、トウガラシ類の欠損箇所に植えたことをブログで報告しました。

畑をのぞいてみると、

ずいぶんと大きくなり(50㎝ほど)、きれいな花が咲いています。

花が咲き終わった後は、すぐに実ができます。

大きそうな実をざっと集めました。

ガクに包まれているので、指で取り除いてやります。

こんな具合にできました。

ガクの朱色が指につきました。

とれた実は、150gほど。これだけあれば良いでしょう・・・

 

で、レシピを再度見てみると・・・(@_@;)  (*_*)  😢

な、なんと、使うのは実ではなく、

ガクの方でした。

その量、わずか60g(^^;

水を等量加えて鍋で加熱とあります。

しかし、そんな少量を操作していたら、もうどこかへ行ってしまいそう・・・・・・

急遽、水を倍にして、ミキサーであらかじめチョッパミジンにしておくことにしました。

これを、アクを取りながら慎重に加熱。

トロミがついてきたところで、砂糖を等量加えて少し煮詰めれば、出来上がり。

なんとかできました(ガクを捨てなくてよかった(^.^)

これで、ローゼルジャムの完成です。

 

で、レシピのあとにもう一つのレシピが・・・・「ローゼルでハイビスカスティー」・・・・・

な、な、なんと、ローゼルはハイビスカスだったのです😲

ローゼル=ハイビスカス!!!???

なんとも合点がいかないので少し調べてみました。

すると、ハイビスカスというのは、アオイ科ヒビスクス属に分類されるすべての植物を指し、250種以上もあるそうです。おなじみのムクゲや芙蓉もそのうちに含まれます。どうりで、ローゼルの花はどっかで見たことあると思っていたら、ムクゲにそっくりだったんですね。

ならば、ハイビスカスティーと言わずに、やはり、ローゼルティーと呼ぶべきではないでしょうか。

さっそく、ローゼルティーをつくってみました。

お湯をそそいで、待つこと5分。

きれいなピンク色になりました。

色、味、香りともに、ハーブティーのなかではトップクラスにランクインできそうです。

せっかくですから、ローゼルジャムをぬったパンと一緒に・・・

きわめてけっこうなお味でございました。

ローゼルジャム&ローゼルティー、おすすめです(^.^)

 

 

 

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吉田松陰!✖『二行書「不知退・・」』

2023年09月11日 | 文人書画

今日は、不明(^^;)の書です。

全体、43.4㎝x195.6㎝、本紙、33.3㎝x136.8㎝。戦前。

「不知退」や「不能進而死」など、勇ましい言葉が躍っています。

不知退而守其廉。是以不能

進而死其節也。 松蔭書 花押

退くを知らずして其の廉を守る。是(ここ)を以って進む能わずして死其の節なり。

けっして退かず、廉潔を守る。このゆえに、進むことが出来ず死の時が来た。

いかにも、吉田松陰らしい言葉です。

がーー、落款には、「松陰書」ではなく、「松蔭書」とあります。これは、吉田松陰の書ではない?

「松蔭」名の人物には、美濃出身で、頼山陽の近くで活躍した江戸後期の儒者、後藤松蔭がいます。彼も、多くの書を残しています。しかし、今回の品とは書体が全く違う。おまけに、後藤松蔭は、その書に、「松蔭」ではなく、なぜか「松陰」の落款を入れているのです。ですから、後藤松蔭の書でもありません。

詳しく調べてみると、今回の書と同じ文面が、頼山陽『日本政記 巻之十 高倉天皇』にありました。平家物語です。

 ・・・其公卿平時奔競。有事逃避。唯不知退而守其廉。是以不能進而死其節也。故凡士之養気。有其平時。國之養士之気。・・・・ 

この書の作者は、ここから文章を取ってきて、吉田松蔭の書としたのですね(^^;

戦前は、吉田松陰、頼山陽、渡辺崋山らが今とは比較にならないほど礼賛されました。ですから、彼らの贋作が非常に多く出回りました。

今回の品は、家の雑掛軸の中にあった一つです。戦前、誰かが、これはと意気込んで入手したのですね。

ご先祖様、今一つ冷静な目をお持ちくださっていれば、もう少しマシな品々が揃っていたはず。今回の品は、剪定枝と一緒に燃やしましょう(^^;

コメント (7)
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