「次なる100年」 水野 和夫著
資本主義の命題を論証
次なる100年はどこに向かうのか?
資本主義の蒐集(しゅうしゅう)は、それが生活向上をもたらす限りで正当化されてきた。
だが、現代は資本過剰の時代である。
それが企業の内部留保であり、富裕層の膨大な金融資産である。
ため込まれるだけで、実体経済のために使われない資本はもはや「石」に過ぎない。
コロナ禍のような緊急事態にも、大企業や「ビリオネア」が過剰資本を抱える一方、
生死に関わる困窮状態が放置される現状に対する本書の怒りは大きい。
「盗み」「罪」「犯罪」「不正義」などの言葉が並ぶ。
そこに加わるのが気候危機だ。
資本主義の成長を可能にしてきた化石燃料も有限である。
その結果、「より遠く、より速く」経済成長することが今後は不可能となり、
地球環境も劣化していく。
永遠の経済成長がもはや不可能なのは自明だろう。
だが、冨は十分あると水野は言う。
内部留保課税、所得税増税、そして金融資産課税といった大胆な再分配政策によって、
正義を取り戻し、成長に依存しない経済へと大転換すべきだと、本書は訴える。
では、ポスト資本主義において、人間は何を目指して生きるのか?
その答えは、本書を手に取って確認してほしい。
本を買って読めってか^^ そりゃそーだもの。
でもね、 3,960円もするの(泣き)
※ 山日新聞の書評欄から一部抜粋。
(評者は斎藤幸平・経済思想家)