ここ数年、時々、平日の昼間、法科大学院での講義を終えて代々木駅前を歩いたりすると、私が高校生であった1980年代と比べても人が少なくなり、閑散としているという印象を受けていました。そのようなことを思い起こさせるニュースが、夕刊に掲載されていました。我々のような大学関係者にとっても「衝撃」のニュースです。
「代ゼミ、校舎7割閉鎖へ 7校に集約 従業員400人退職募る」(今日の朝日新聞夕刊1面4版朝日新聞夕刊)
「代ゼミ、20校閉鎖 全国7校に 浪人制限で業績悪化」(日本経済新聞夕刊1面4版日本経済新聞夕刊)
代々木ゼミナールは、言うまでもなく大手予備校で、学校法人高宮学園が経営しています。17都道府県に27か所の校舎(日経)・29の校舎(朝日。NHKもこのように報じています)があるとのことですが、このうちの20か所の校舎について2015年度以降を「休校」とします。実質上は閉鎖と表現してよいようです。朝日、日経ともに、残す校舎は東京の本部校(代々木の代ゼミタワー)、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡、造形学校(芸術大学受験専門。原宿駅の近く)の計7つであると報じています.仙台、大宮、横浜、京都、神戸、小倉、熊本などの校舎は閉じることになるようです。
また、これだけの「休校」を決めたことで、リストラも進める方針を立てているようです。日経では100人前後、朝日では40歳以上を対象にして400人規模(但し、まだ確定した訳ではない)と報じられています。100人前後と400人規模ではかなりの開きがありますが、具体的にはこれから決まるということでしょう。いずれにしても相当な規模になることは間違いないところです。
以上についての背景には、少子化、現役志向、国立大学への回帰(代ゼミはどちらかと言えば私立文系志向が多いそうです)があり、浪人生が減少しているのです。また、東進ハイスクールなどとの競合も無視できません(代ゼミでも多様化を図っているようですが)。
今は、確かに、贅沢なことを言わなければどこの大学でも入れてしまう、と言われる時代です。浪人を決め込む必要性(必然性)が相当程度に失われているのです。これがよいことかどうかはわかりませんが、ここ10年ほどの間にますます声高に主張される学力の低下の一因になっているのかもしれません。
そして、我々のような大学関係者にとっても、代ゼミのような予備校の縮小は大きな話なのです。いや、追い討ちをかけるような話でもあります。理由は、ここに記すまでもないでしょう。