昨日に続いて第196回国会に提出されている法律案を取り上げますが、今回は、おそらく第196回国会で成立することはないであろうと予想されるものです。
私は、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」について、憲法第86条に違反するとまで言えなくとも問題が多いと考えています。従って、この法律を廃止することには賛成なのですが、この意見が通らないであろうということもわかっています。
参議委員議員提出法律案第5号として今年の3月29日に参議院に提出されたのが「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律を廃止する等の法律案」です。やはり衆議院のサイトに掲載されているので、ここでも取り上げてみます。
第1条には「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の廃止」という見出しが付けられており、次のような規定となっています。
「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)は、廃止する。」
第2条には「平成30年度における特例公債の発行等」という見出しが付けられています。
第1項:「政府は、財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書の規定により発行する公債のほか、平成30年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。」
第2項:「前項の規定による公債の発行は、平成31年6月30日までの間、行うことができる。この場合において、同年4月1日以後発行される同項の公債に係る収入は、平成30年度所属の歳入とする。」
第3項:「政府は、第1項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。」
第4項:「政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。」
附則は省略します。
提案理由は、次の通りです。
「特例公債の発行は、必要とされる年度ごとに制定される法律に基づいて行われる必要があることに鑑み、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律を廃止するとともに、あわせて平成30年度における特例公債の発行に関する措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」
私がこの法律案に賛成するのは、提案理由に示されている「特例公債の発行は、必要とされる年度ごとに制定される法律に基づいて行われる必要がある」という部分にあるのですが、今国会で成立することはないでしょう(今国会で廃案となる可能性もないとは言えません)。