ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

都営三田線途中下車(16) 白山駅

2020年08月05日 00時00分00秒 | まち歩き

 今回は、2012年2月25日から同年3月3日まで「待合室」の第466回「都営三田線途中下車(16) 白山駅」として掲載した記事の再掲載です。今回は文章を修正していません。なお、写真は全て2012年1月25日に撮影したものです。

 

 第359回として2010年4月21日に掲載した「都営三田線途中下車(15) 本蓮沼駅」から、2年近くにわたって都営三田線を取り上げていません。その大きな理由は、私が結婚し、転居したことです。これによって通勤ルートが変わりました。結婚前は東急目黒線および都営三田線を利用していたのですが、結婚してから、講義期間中は東急田園都市線、JR山手線、東武東上線および大東文化大学のスクールバスを利用するようになったのです。

 しかし、完全に変わったという訳でもありません。JR山手線、東武東上線および大東文化大学のスクールバスを利用するのは講義期間中の平日だけです。それ以外は、主にスクールバスの発着時刻の関係があり、都営三田線を使うことが少なくないのです。大東文化大学板橋校舎は高島平一丁目にあり、都営三田線西台駅からであれば徒歩10分ほどですが、東武東上線東武練馬駅からでは徒歩で20分以上かかります。神奈川県川崎市に住む者にとって、利便性は都営三田線のほうに軍配が上がります。そのために、東急田園都市線→JR山手線→東武東上線の他、東急田園都市線→東京メトロ半蔵門線(乗り換えなし!)→都営三田線(神保町乗り換え)というルートも利用するのです。運賃は山手線・東上線経由のほうが30円安いのですが、所要時間は時期・時間帯によります。

 さて、都営三田線途中下車シリーズでは、「東急目黒線途中下車」シリーズで取り上げた目黒駅を除くと、内幸町(3)、 神保町(6)、巣鴨(14)、西巣鴨(5)、新板橋 (11)、板橋区役所前(4)、板橋本町(10)、本蓮沼(15)、志村坂上(7)、志村三丁目(1)、蓮根(8)、西台(2)、高島平(9)、新高島平(13)、西高島平(12)を取り上げて取り上げてきました(カッコ内の数字は、シリーズの順番です)。残るのは白金台、白金高輪、三田、芝公園、御成門、日比谷、大手町、水道橋、春日、白山、千石の11駅です。他にも東急田園都市線などのシリーズを立ち上げていますので、三田線がいつ完結するのかわかりませんが、徐々に潰していくしかないでしょう。

 今回、「都営三田線途中下車」シリーズの第16弾として取り上げるのは、下の写真の駅です。

 三田線の沿線には学校が多く、私の勤務先である大東文化大学の最寄り駅が西台である他、たとえば三田駅が慶應義塾大学の、神保町駅が専修大学や共立女子大学などの、水道橋駅が日本大学法学部の、春日駅が中央大学理工学部の、西巣鴨駅が大正大学の最寄り駅です。幾つかの駅には「●●大学前」などの案内表示があります。今回取り上げる白山駅は、東洋大学の最寄り駅です。少し離れた所に東京メトロ南北線の本駒込駅があり、歩いて数分ですので、本駒込駅も東洋大学の最寄り駅となります。

 ちなみに、駅名標の照明は消されています。2011年3月11日の東日本大震災がきっかけとなり、節電対策の一環として、駅名標などの照明が消されました。最近は復活している所もありますが、都営三田線の駅では消されたままです。

 白山駅は、東京の地下鉄の駅としては珍しい構造となっています。普通、上の写真のようにホームが向かい合っている駅では、線路と線路の間に壁や柱がありますが、この駅にはありません。そのため、広々とした印象を受けます。

 春日側です。ホームドアの内側にも駅名標などが貼られていることがわかります。都営三田線は、地下区間でも剛体架線を使用していません。

 白山駅の発音ですが、「はくさん」の「は」にアクセントを置かず、「は」は少し低く、「くさん」は高く発音し続けます。三田線の自動放送では、日本語版と英語版とではアクセントの置き方が違っており、なかなか興味深いところですが、日本語の発音としては「どちらもありうる」というところでしょう。

 ちなみに、東京メトロの自動放送は鼻濁音を発音できない女性の声なので、たとえば「霞ヶ関」や「六本木」などが非常に汚く聞こえますが、都営地下鉄の自動放送は鼻濁音もしっかりと発音されます。西日本と違い、東日本では、そして標準語は、他の言語でも当たり前となっている鼻濁音が重要なのです。

 

 白山駅といえば、都内の地下鉄の駅でも珍しいという点がもう一つあります。駅の中に不動産屋があるのです。ここには元から不動産屋がある訳ではないようで、一説には倉庫であったといいます。都営地下鉄の駅には、構内に店舗があるという所が少なくありませんが、不動産屋が入っているのはこの駅だけです。

 白山駅には改札口が二箇所あります。こちらは春日側の改札口で、A1出口のほうにあります。駅は旧白山通りの真下にあり、こちらの改札口から現在の白山通りへ出ることができます。東京大学附属植物園にはこちらから歩いたほうが近いようです。

 旧白山通りを歩いています。都営三田線の白山駅は、この道路の下にあります。現在の白山通りに出るには、この道路を奥のほうへ進みます。東洋大学、京華中学・高校、京華女子高校、都立向丘高校などがあるためか、人通りも多いようです

 旧白山通りを北のほうに進みます。坂になっており、それを登ると、千石側の出入口があります。

 この駅の辺りを地図で見ると、南北線の本駒込駅が近いように見えます。実際に歩いてみると近く、5分くらいで着きます。しかし、乗り換えはここではなく、隣の春日駅(南北線は後楽園駅)となっています。私の経験上、春日駅から後楽園駅まで歩くよりも、白山駅から本駒込駅まで歩くほうが楽であるように思えますが、乗換駅とはなっていません。

 白山駅の、別の出入口です。この駅の近くに白山神社があり、地名は白山神社に由来するとのことです。

 東京都内には坂が多く、名称が付けられている坂も多いのですが、この駅の上にある坂の名称を示すものは見当たりません。もっとよく探せば見つかったのかもしれませんが。

 

 こちらはエレベーター専用の出入口です。旧白山通りから少し外れた所にあります。東京の地下鉄の駅には、このようにエレベーター専用の出入口を備える駅も数多くあります。

 白山駅から旧白山通りを外れ、幅の狭い通りを歩きます。意外に人通りが多いのですが、ここが東洋大学への通学路となっているからでしょう。ちなみに、左側は妙清寺の壁です。

 右側に、大雄山最乗寺の東京別院があります。曹洞宗の寺院で、本山は神奈川県南足柄市にあり、室町時代に了庵慧明禅師が開いたとのことです。

 私は、まだ本山に行ったことがありません。神奈川県出身者でありながら、同県の市では唯一、南足柄市に足を運んだことがないのです。

 

さらに坂を登っていきます。

 右が東洋大学の白山キャンパスです。元々は哲学館として創立されており、現在でも哲学が有名です。

 また、東京都内に本部を置く大学の多くが、郊外に広大な敷地を求めてキャンパスを造営してきましたが、バブル経済期の終焉後、都心回帰の動きが盛んになります。国学院大学や青山学院大学などが例としてあげられますが、東洋大学は、都心回帰を最も積極的に進めてきた大学の一つです。とくに文系学部については、この動きが顕著となっています。

 たとえば、埼玉県朝霞市にある朝霞キャンパスは、文学部、経済学部、経営学部、法学部および社会学部の1年生および2年生が学んできた所ですが、何年か前から白山キャンパスで学ぶようになっており、朝霞キャンパスにはライフデザイン学部が置かれています。また、群馬県邑楽郡板倉町にある板倉キャンパスは、バブル経済が崩壊してから誕生したキャンパスですが、ここにあった国際地域学部が最近、白山キャンパスに移転しました。現在、板倉キャンパスには生命科学部が置かれています。

 郊外にキャンパスがある大学の多くは、1年生および2年生の段階、つまり教養科目(全学科目などという場合もあります)の履修段階では郊外のキャンパスに、3年生以上になると都心のキャンパスに通うというパターンを採ります(私の本務校である大東文化大学もその一つです)。郊外のキャンパスで学ぶことにはそれなりのメリットもあるのですが、むしろデメリットのほうが多いように思えます(この印象は私自身の経験によるところも大きいのです)。

 一つには、郊外のキャンパスは、交通の不便な場所に立地することが多く、学生も教員も、そのキャンパスへ通うことが大変です。首都圏の場合、朝方に交通機関の乱れが発生すると、それだけで午前中の講義に出席できない、あるいは、休講とせざるをえない、という事態が発生します。実際に、キャンパスが郊外にあると、非常勤講師を集めにくい(頼みにくい)ということがあります。一方、3年生以上の学生でも、履修単位などの関係(必ずしも単位を落としたというだけの話ではありません)で都心のキャンパスと郊外のキャンパスの両方に行かなければならないという場合は、時間割が組みにくくなる、などの弊害が生じます。学生だけの事情に終わらないので大変なのです。

 また、郊外のキャンパスがある場合、学生の出身地(都道府県)などが固定化される傾向があるようです。つまり、広く学生を集めることができない、とは言えないまでも、難しくなります。たとえば、白山キャンパスであれば、東京都内は勿論、神奈川県、埼玉県、千葉県などからも受験生が多く集まるでしょう。しかし、朝霞や川越(いずれも東洋大学のキャンパスがある所です)であれば、埼玉県や東京都の北部に住む者には通いやすいものの、神奈川県や千葉県などからでは通いにくくなります。どこかに部屋を借りて一人住まいをすれば良いと言う向きもあるでしょうが、家賃などの生活費を考えれば、多少は遠くとも定期代を払って通学するほうが安上がりです。しかし、そうなると通学距離が長くなります。こうして、学生の出身地が固まってくるのです。

 もう一つ、郊外のキャンパスでも学生生活をそこのキャンパスで過ごし通すのであればよいのですが、学年によってキャンパスが異なるのは望ましいと言えません。交流などの機会が少なくなるからです。3年生以上の学生は、ゼミ(専門演習)に入るのが望ましいのですが、学部によっては必修となっていないこともあり、郊外のキャンパスで学ぶ1年生および2年生には、ゼミの情報などが入りにくくなります。3年生以上の学生と接する機会が非常に少なくなるため、ゼミ以外の点でも問題は多いでしょう。

 最後のほうになって、白山駅周辺とは関係のないことを記してきましたので、まだ考察を深めたいという気持ちはあるものの、ここで止めておきましょう。都営三田線途中下車シリーズのために残されている駅は、白金台、白金高輪、三田、芝公園、御成門、日比谷、大手町、水道橋、春日、そして千石です。


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