ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

2006年6月5日、沼部駅

2020年05月06日 00時00分00秒 | まち歩き

 今回は、「待合室」の第216回:「東急多摩川線途中下車(2) 沼部駅」(2007年6月10日〜17日掲載)の再掲載です。写真撮影日は2006年6月5日です。なお、一部を修正していますが、内容は2007年の掲載時のままです。とくに、今回は湘南新宿ラインと武蔵小杉駅の話が出てくるので、御注意ください(この部分については修正をしていません)。

 

 東急多摩川線の起点、多摩川駅を出ると、ほどなく次の駅に到着します。それが沼部駅です。中原街道の丸子橋からですと、多摩川駅より沼部駅のほうが近いかもしれません。

 上り線(多摩川方面)の乗り場です。沼部駅では、上り線と下り線とはホームも改札口も別でして、構内に連絡地下道も跨線橋も踏切もありません。そのため、乗り間違えないように確認することが必要です。もっとも、切符売り場でわかるようになっています。この沼部駅の場合(に限らないのですが)、上り線側の改札口で切符を買おうと料金表を見ると、下り線の鵜の木、下丸子、武蔵新田、矢口渡、蒲田までの料金が示されていないのです。これらの駅については下り線の改札口のほうに料金が示されています。

 意外に知られていないのですが、東急多摩川線で最も多摩川に近い駅が、この沼部です。手前を右側に歩くと、もう丸子橋の近くに出ます。

 沼部駅ホームのはずれ、鵜の木側に、橋が見えます。手前が東海道新幹線、奥は横須賀線・湘南新宿ラインです。もっとも、駅はありません。東海道新幹線や横須賀線・湘南新宿ラインに乗っていると、沼部駅には気付かないかもしれません。

 横須賀線・湘南新宿ラインは、品川区にある西大井駅を出ると程なく大田区に入り、都営浅草線西馬込駅付近から東急池上線御嶽山駅の真下を通り、沼部を通って丸子橋を渡るのですが、大田区内には駅が一つもないのです。少なくとも大田区に住んでいる人々にとって、横須賀線・湘南新宿ラインは無用の長物でしょう。このことは、現段階において、JR南武線を利用する多くの川崎市民にとっても同様なのです(武蔵小杉駅ができれば話が変わりますが)。政令指定都市である川崎市に東海道新幹線の駅がなく、ただ通過するだけで、武蔵小杉ではなく品川に駅を作ったことについても、川崎市民としては怒りたくもなります。

 大田区に限らず、本当に、JRは首都圏の交通事情などをよく考えていません。その代表が横須賀線・湘南新宿ラインです。路線バスのターミナルにもなっている目黒と五反田には止まらず、バス路線が少ない大崎に止まるというのも理解できません。また、大井町線下神明駅付近を通るのに駅がなく、そこから少し離れた所に西大井駅があるのですが、乗り換えられる鉄道路線は一つもありません。何故、こんな駅を作ったのか、不思議です。そして大田区、川崎市中原区です。横須賀線・湘南新宿ラインの武蔵小杉駅ができるという話について、何人かの川崎市民(名前などを明かすことはできません)が「今までさんざん無視しやがって!」とか「何を今さら!」と口にしていたことを、ここで記しておきましょう。横須賀線が川崎駅を通っていた頃、東海道本線の普通電車は川崎駅を通過していましたし、今でも寝台特急などは川崎駅に止まりません。また、川崎市川崎区にある駅と幸区の尻手駅は、横浜市内の駅と同じように扱われていることも記しておきます(遠距離での料金計算の関係です)。川崎市は政令指定都市ですが、交通などの面では何かと冷遇されているのです。

 「沼部駅のことを取り上げているのに、どうして川崎市のことが出てくるのか」という声が聞こえてきます。 沼部は丸子橋の近く、丸子橋を渡れば川崎市で、大田区も川崎市も、東海道新幹線、横須賀線・湘南新宿ラインに無視されているのです。

 実は、川崎市中原区にも下沼部という地名があります。地図を見ていただければわかります。下沼部は、この沼部駅から南のほう、多摩川を越え、JR南武線の向河原駅付近のことです。

 東京都大田区・世田谷区と川崎市は、元々が同じ武蔵の国です。沼部以外でも、私が思いつくところでは、丸子、瀬田、野毛、等々力(とどろき)、宇奈根は、川崎市にも東京都大田区・世田谷区にもあります。

 丸子の場合、上丸子、中丸子、新丸子は川崎市中原区ですが、下丸子は東京都大田区です。

 野毛の場合、上野毛が東京都世田谷区にありますが、下野毛は川崎市高津区にあります。

 瀬田は東京都世田谷区、駅で言えば二子玉川と用賀の間にあり、環状8号線の交差点の名前にもなっていますが、川崎市高津区にも(二子新地駅付近の非常に狭いエリアですが)瀬田があります。

 J1の試合が行われることでも有名な等々力スタジアムは川崎市中原区の等々力緑地内にありますが、東急大井町線の等々力駅は東京都世田谷区にあります。一時期、等々力スタジアムがどこにあるかということで混乱を引き起こしたようで、私も何度か尋ねられたことがあります。

 宇奈根は、東京都世田谷区、東急バスの砧本村バス停付近の地名ですが、多摩川を挟んでちょうど反対側、川崎市高津区にも宇奈根という地名があります。

 もう一つ、余計なことを記しておきます。東京都世田谷区、二子玉川駅の所在地は玉川(たまがわ)です。川崎市には玉川(たまがわ)という地名がありません。しかし、川崎市中原区の東側に玉川小学校があります。但し、「たまがわ」小学校ではなく、何故か「ぎょくせん」小学校といいます。向河原駅と平間駅との間、川崎市立橘高等学校の隣にある玉川中学校も「ぎょくせん」中学校です。

 川崎市民としての怒りから、沼部駅には全く関係のない話にまで至りましたので、ここで沼部駅に戻りましょう。

 多摩川2号踏切です(この「多摩川」は、多摩川駅のことです)。右側が上り線の多摩川行き7700系で、左側が下り線の蒲田行き1000系です。

 沼部駅の乗降客数がどれだけなのか、よくわからないのですが、おそらく少ないほうでしょう。多摩川線の各駅を比較しても、田園調布一丁目にある多摩川駅を除けば商店街の規模が最も小さいのがこの沼部駅です。下り線の改札口(上の写真の左側)に、いくつかの商店が並んでいるだけです。鵜の木駅から延びる道路にも商店がありますが、商店街としてはかなり小さな規模です。しかし、ここが田園調布地域の東側であるということからすれば、或る程度は納得がいくかもしれません。

 これからも、機会をうかがいつつ、多摩川線の様子を紹介していきたい、と考えています。


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