普段は週刊誌を買わないのですが、気になる記事があったので、高津駅前のコンビニで週刊朝日11月22日号を買いました。
その気になる記事というのが、今回のタイトルに示したものです。
台風19号による広範囲の浸水被害により、私が以前このブログに書いた「鉄道は災害に弱い」という事実が浮き彫りになったように思われます。もっとも、「車社会に生きること 私はもう戻れない(?)」において記したように、車社会には独特の脆弱性があります。しかも、鉄道の災害の弱さは鉄道に固有の事情というより、国や地方の財政に左右される事情もある訳です。今回読んだ記事には、そのことも記されています。国土交通省が調べたところ、中小私鉄や第三セクターの鉄道路線にある橋梁のうち、耐用年数(40年)を超えているものは実に76%にのぼる、といいます。
浸水被害ということでは、或る意味でどの鉄道会社にも可能性があります。週刊朝日の記事に書かれていたのはJR東日本の尾久車両センターおよび隅田川駅、東武鉄道の南栗橋車両管区で、尾久車両センターは3メートル未満、隅田川駅および南栗橋車両管区は5メートル未満の浸水リスクがあるようです。50センチメートルくらいの浸水で車両が使えなくなるということですから、北陸新幹線の車両が使えなくなって廃車となるのもやむをえない話です。
また、自然災害とは別に人口減少の問題もあります。記事には、2014年に、当時千葉大学の学生であった植草太郎氏らが調査してまとめた「30年後までに廃止リスクがある全国の路線」が紹介されています(元ネタは千葉大学のサイトにあります)。北海道地方、東北地方であがっている路線は、いずれも「まあ、そうだろうな」と納得できるところばかりですが、関東地方では「そうなの?」と思えるような路線もあがっています。私がそう思ったのは、JR東日本の常磐線、総武本線、中央本線および横須賀線、首都圏新都市鉄道のつくばエクスプレスです。全線なのか部分なのかも書かれていないのですが、すぐに横須賀線については納得できました。横須賀線というと東京から久里浜までというイメージが強いのですが、実は大船から久里浜までの路線です(東京から大船までは東海道本線です)。また、中央本線は山梨県および長野県を通りますし(さらに岐阜県を通って愛知県は名古屋駅までの路線です)、総武本線は千葉県の東部を通ります。
中部地方を見ると、JR東日本、JR東海およびJR西日本についてはどれも「まあ、そうだろう」と思えました。また、私鉄であがっていないのは名古屋鉄道、静岡鉄道、豊橋鉄道、北陸鉄道、養老鉄道、四日市あすなろう鉄道(三重県なので本来は近畿地方です)、三岐鉄道(やはり、本来は近畿地方です)といったところですが、名鉄については広見線の新可児から御嵩まで、蒲郡線の全線について存廃問題が続いています。逆に遠州鉄道の鉄道線があげられていることについては「何故?」と感じました。
近畿地方では、近江鉄道の本線だけがあげられていましたが、2019年現在では全路線に拡大されています。JR西日本であげられている路線のうち、関西本線と福知山線は全線ではないだろうと思われるのですが、湖西線があげられているのは将来の北陸新幹線延伸に伴う影響を考慮に入れたということでしょうか。また、近畿日本鉄道から吉野線、志摩線、鳥羽線および大阪線があげられています。大阪線は幹線なので、奈良県と三重県の区間ということでしょうか。南海電気鉄道の高野線もあげられているのは、俗に言う汐見橋線(汐見橋から岸里玉出まで)と橋本から極楽橋までの区間ということでしょうか。逆に神戸電鉄粟生線などはあげられていませんが、どうなのでしょう。
中国地方では、山陽本線と宇野線(本来は岡山から宇野までの路線なので、茶屋町から宇野までが危ないということでしょうか)があげられている一方、宇部線と小野田線があげられていません。また、山陰本線はどうなのでしょう。
四国は、あげられていない路線のほうが少ないくらいです。記事に書かれていないのはJR四国およびJR西日本の本四備讃線、高松琴平電気鉄道の長尾線および志度線、伊予鉄道の全線、とさでん交通の全線です。
九州も四国と同様で、JR九州では日豊本線、篠栗線および香椎線だけが登場しません。また、私鉄では西日本鉄道の天神大牟田線がリストにあげられていました。むしろ甘木線のほうだろうという気もしますが、天神大牟田線に含まれているのでしょうか。たしかに、何度も天神大牟田線を利用して思ったことは、大手私鉄の本線級らしさがあるのは西鉄福岡(天神)から花畑まで、厳しい見方をすれば西鉄二日市まで、ということでした。さらに、熊本電気鉄道の菊池線と藤崎線があげられていないのも「どうなのか」と思いました。
記事中のリストにあげられているかいないかは、実のところ、あまり大きな問題ではないのかもしれません(とくに、リストにあげられていない路線)。もとより、2014年から5年も経過すれば、事情の変化もあります。
ただ、もう少し厳密な分析を見てみたい、とは思っています。
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