ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

Take Five

2012年12月10日 00時18分31秒 | 音楽

 今月5日、デイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)氏が91歳で亡くなりました。

 この記事を読んでもピンと来ない方がおられるかもしれませんが、ジャズで最も有名な曲のひとつである「テイク・ファイヴ」(Take Five)は、デイヴ・ブルーベック・カルテットのアルバム「タイム・アウト」(Time Out)に収録されているものです。何年か前には女子十二楽坊が演奏していましたが、もう忘れられているでしょうか(最近、全く名を聞きません)。勿論、Take Fiveという曲そのものが忘れられるようなことはありません。日本でもCMで使われていました。ジャズで5拍子は珍しいのですが、変拍子であることを感じさせない、まさに名曲に相応しいものです。ちなみに、私が最初に知ったのは幼少期で、物心付いたときには「テイク・ファイヴ」を知っていました。日本のビッグ・バンドの演奏で聴いたのです。

 「タイム・アウト」には「トルコ風ブルー・ロンド」(Blue Rondo A La Turk)という、これまた変拍子の曲も入っており、私が生まれる前に日本コロムビアで発売された33回転シングル(いつ発売されたのかはわかりませんが、神保町の古レコード屋で買いました)には、A面に「テイク・ファイヴ」、B面に「トルコ風ブルー・ロンド」が収録されています。

 実は、「テイク・ファイブ」という名曲を作ったのはデイヴ・ブルーベックではなく、アルト・サックス奏者のポール・デスモンド(Paul Desmond)です。いかにもウェスト・コーストらしい、軽い音のサックスで、リー・コニッツ(Lee Konitz)、初期のアート・ペッパー(Art Pepper)などと同じような系列と記せばよいでしょうか。「タイム・アウト」に収録されている演奏では、デスモンドがテーマを吹き、そのまま短いソロをとるのですが、リーダーのブルーベックは「テイク・ファイヴ」の特徴であるリズムを演奏するだけで、ソロは一切とりません。しかも、ドラム・ソロの間もブルーベックのピアノは鳴り響いています。

 もう一つ、私が好きな演奏があります。それは、やはりブルーベックのアルバム「ザ・ラスト・セット・アット・ニューポート」(The Last Set at Newport)に収録されているものです(もっとも、これ以外は持っていないのですが)。バリトン・サックスの第一人者であったジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)が参加しており、テーマもマリガンが吹きます。ソロはデスモンドのものよりも面白かったという記憶があります。そして、オリジナルではソロをとらなかったブルーベックが、非常に力強いソロをとります。ライヴ演奏だったということもありますが、迫力満点の演奏でした。

 最後に、私が生で聴いた「テイク・ファイヴ」のことも書いておきます。正確な年月日を全く覚えていないのですが、学部生時代、六本木のサテンドールに数回行きました。そのうちの1回が世良譲トリオで、最初のセットの最後にこの曲を演奏したのでした。ジミー竹内氏のドラム・ソロに圧倒され、酔いが一気にさめたような感じであったのです。


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