ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

第196回国会からの継続案のようですが

2019年02月12日 00時15分20秒 | 法律学

 現在開かれている通常国会は第198回国会ですが、第196回国会における衆議院議員提出法律案第5号の「東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案」が再び提出されています。気になったので、取り上げておきます。

 提出理由は次の通りです。

 「東日本大震災からの復興に当たり、相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等について、他の共同相続人等又はその所在が明らかでなく円滑に遺産の分割を行って処分することができないため、移転促進区域からの住居の移転その他の共同相続人等の生活の再建及び移転促進区域内の土地の有効な利用に支障が生じている現状に鑑み、東日本大震災からの復興の推進に寄与するため、遺産の分割を円滑に行うための情報の提供等及び不在者財産管理人に関する民法等の特例等について定めることにより、相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

 第1条には「目的」という見出しが付されており、次のようになっています。

 「この法律は、東日本大震災からの復興に当たり、相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等について、他の共同相続人等又はその所在が明らかでなく円滑に遺産の分割を行って処分することができないため、移転促進区域からの住居の移転その他の共同相続人等の生活の再建及び移転促進区域内の土地の有効な利用に支障が生じている現状に鑑み、遺産の分割を円滑に行うための情報の提供等及び不在者財産管理人に関する民法(明治二十九年法律第八十九号)等の特例等について定めることにより、相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化を図り、もって東日本大震災からの復興の推進に寄与することを目的とする。」

 第2条には「定義」という見出しが付されています。

 第1項:「この法律において「移転促進区域」とは、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律(昭和四十七年法律第百三十二号)第二条第一項の移転促進区域であって、東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百二十二号)第四十六条第六項の規定により公表された同条第一項の復興整備計画に記載された同条第二項第四号ニの集団移転促進事業(次条第二項において単に「集団移転促進事業」という。)に係るものをいう。」

 第2項:「この法律において「不在者財産管理人」とは、家庭裁判所が民法第二十五条第一項の規定により選任し、若しくは同法第二十六条の規定により改任した管理人又は家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第百四十六条第一項の規定により改任した管理人をいう。」

 第3項:「この法律において「不在者」とは、民法第二十五条第一項に規定する不在者をいう。」

 第3条には「遺産の分割を円滑に行うための情報の提供等」という見出しが付されています。

 第1項:「国及び地方公共団体は、相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)により移転促進区域内の土地、建物その他の土地の定着物又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)を取得した共同相続人又は包括受遺者(以下「共同相続人等」という。)(当該土地等を含む区域が移転促進区域として定められる前に相続により当該土地等を取得していた共同相続人等を含む。次項において同じ。)が当該移転促進区域内の土地等を含む遺産の分割を円滑に行うことができるようにするため、当該共同相続人等に対し、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第十三条に規定する日本司法支援センターをいう。)の行う東日本大震災法律援助事業(東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(平成二十四年法律第六号)第三条第一項に規定する東日本大震災法律援助事業をいう。)、不在者財産管理人の制度等に関する情報を提供するものとする。」

 第2項:「集団移転促進事業を実施する市町村又は都道県は、相続により移転促進区域内の土地等を取得した共同相続人等から求めがあったときは、他の共同相続人等を特定するために必要な調査を行い、その結果を提供するものとする。」

 (なお、第2項では「都道府県」となっていません。)

 第4条には「不在者財産管理人に関する民法等の特例等」という見出しが付されています。

 第1項:「相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等について、遺産の分割がされておらず、かつ、複数の共同相続人等が不在者であるときは、弁護士若しくは弁護士法人又は司法書士若しくは司法書士法人である不在者財産管理人(共同相続人等の請求により家庭裁判所が民法第二十五条第一項の規定により選任し、若しくは同法第二十六条の規定により改任した管理人又は家庭裁判所が家事事件手続法第百四十六条第一項の規定により当該管理人を改任した管理人に限る。以下この条において「弁護士等不在者財産管理人」という。)は、民法第百八条その他の法令の規定にかかわらず、当該移転促進区域内の土地等を含む遺産の分割について、当該不在者である複数の共同相続人等を代理することができる。」

 第2項:「弁護士等不在者財産管理人は、前項の規定により不在者である複数の共同相続人等を代理して遺産の分割の協議等を行うときは、これらの各共同相続人等のために公平にその職務を行わなければならない。」

 第3項:「家庭裁判所は、第一項の規定により不在者である複数の共同相続人等を代理して遺産の分割の協議等を行った弁護士等不在者財産管理人から当該遺産の分割について民法第二十八条の規定による許可を求められた場合には、当該遺産の分割の内容がこれらの各共同相続人等の間の公平を不当に害することがないと認めるときに限り、当該許可をすることができる。」

 第5条には独自の見出しが付されていません(第4条と同じということでしょう)。次のようになっています。

 「相続により共同相続人等が取得した移転促進区域内の土地等を含む遺産について不在者財産管理人(共同相続人等の請求により家庭裁判所が民法第二十五条第一項の規定により選任し、若しくは同法第二十六条の規定により改任した管理人又は家庭裁判所が家事事件手続法第百四十六条第一項の規定により当該管理人を改任した管理人に限る。以下この条において同じ。)が不在者である共同相続人等を代理して分割の協議等を行う場合においては、不在者財産管理人は、当該移転促進区域内の土地等の使用の状況、不在者である共同相続人等の所在が将来明らかになる可能性等を勘案して適当と認めるときは、不在者である共同相続人等の利益を確保した上、所在が明らかな共同相続人等が当該移転促進区域内の土地等を取得することについて配慮するものとする。」

 続いて附則です。第1条には「施行期日」という見出しが付されており、「この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」となっています。

 そして第2条には「検討」という見出しが付されており、「国は、この法律の施行の状況を踏まえ、将来における大規模な災害の発生に備えて、災害からの復興が推進されるよう、相続に伴う登記の在り方の見直しを含め、被災地における相続に係る土地等の処分の円滑化のために必要な施策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」となっています。

 果たして、第198回国会で通るでしょうか。


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