3月9日付で「『一票の格差』に対する違憲判決(事情判決)」を投稿しましたが、そこで「日本国憲法ノート」に記したことを再録した際に、奇妙なことに気づきました。
大分県の選挙区について記したのですが、それは2007年6月29日の段階の話でした。2005年、大分県内では相次いで市町村合併が行われ、58市町村→18市町村となったのですが、2007年の段階でも合併前の状態が残っていました。
そして、2013年3月9日に再び別表第一を参照したところ、いまだに市町村合併が反映されていないことがわかりました。私がよく利用するイーガブの法令データ提供システムでも、自宅にある『自治六法』〔平成25年版〕でも、大分県の選挙区は次のように書かれています。
第一区:大分市
第二区:日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市、大分郡、北海部郡、南海部郡、大野郡、直入郡、玖珠郡、日田郡
第三区:別府市、中津市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、西国東郡、東国東郡、速見郡、下毛郡、宇佐郡
第一区は大分市のみですので問題がないようにも見えますが、2005年1月1日、大分市は北海部郡佐賀関町および大分郡野津原町と合併していますので、別表第一の大分市は合併前のそれを意味することになります。第二区に北海部郡および大分郡の記述が残っているからです。従って、大分市でも旧佐賀関町の部分と旧野津原町の部分は第一区ではなく、第二区に属することとなります。定数配分の問題があるとはいえ、合併から8年も経って、消滅した郡の名称がいまだに残っているのは、いかがなものなのでしょうか。
上に示した別表第一の表記を、市町村合併後の状況に対応させると、次の通りとなります。
第一区:大分市(但し、旧佐賀関町および旧野津原町の部分を除く)
第二区:日田市(旧日田郡各町村を含む)、佐伯市(旧南海部郡各町村を含む)、臼杵市(旧大野郡野津町を含む?)、津久見市、竹田市(旧直入郡各町を含む)、由布市、豊後大野市、玖珠郡玖珠町、玖珠郡九重町、大分市のうちの旧佐賀関町(北海部郡)および旧野津原町(大分郡)
第三区:別府市、中津市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、国東市、東国東郡姫島村、速見郡日出町
他に、市町村合併前の市町村の状況をそのまま残している例はあるのでしょうか。手っ取り早いところで、私が住んでいる神奈川県を見ると、次の通りです。
第一区:横浜市中区、磯子区および金沢区
第二区:横浜市西区、南区および港南区
第三区:横浜市鶴見区および神奈川区
第四区:横浜市栄区、鎌倉市、逗子市、三浦郡葉山町
第五区:横浜市戸塚区、泉区および瀬谷区
第六区:横浜市保土ケ谷区および旭区
第七区:横浜市港北区および都筑区
第八区:横浜市緑区および青葉区
第九区:川崎市多摩区および麻生区
第十区:川崎市川崎区、幸区および中原区
第十一区:横須賀市、三浦市
第十二区:藤沢市、高座郡寒川町
第十三区:大和市、海老名市、座間市、綾瀬市
第十四区:相模原市本庁管内、橋本出張所管内、大野北出張所管内、大野中出張所管内、大野南出張所管内、大沢出張所管内、田名出張所管内、上溝出張所管内および東林出張所管内
第十五区:平塚市、茅ケ崎市、中郡大磯町、中郡二宮町
第十六区:相模原市の第十四区に属しない区域、厚木市、伊勢原市、愛甲郡愛川町、愛甲郡清川村、津久井郡
第十七区:小田原市、秦野市、南足柄市、足柄上郡中井町、足柄上郡大井町、足柄上郡松田町、足柄上郡開成町、足柄上郡山北町、足柄下郡箱根町、足柄下郡真鶴町、足柄下郡湯河原町
第十八区:川崎市高津区および宮前区
驚きました。第十六区に津久井郡が登場するのですが、2007年3月に相模原市に編入され、消滅しました。その1年前に、津久井郡の相模湖町および津久井町が相模原市に編入されており、2007年に消滅したのは城山町および藤野町です。津久井郡の領域は、全て現在の相模原市緑区の領域です。
相模原市は神奈川県で三番目の政令指定都市ですが、公職選挙法の別表第一によれば、衆議院議員選挙区は二つに分かれることとなります。すなわち、第十四区および第十六区です。大分市の場合と異なり、第十四区に属しない区域は全て第十六区に属することとなるので、弊害はないでしょう。しかし、現在の市町村名および領域とは対応していないのです。
何故に公職選挙法別表第一を改めていないのかわからないのですが、早急な手当を必要とします。
他の都道府県の例を見ていませんが、大分県および神奈川県と同じように、市町村合併前のままの記載が残っているのではないでしょうか。同じ選挙区であれば大した問題ではないのですが、そうでなければ、改める必要があるでしょう。
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