ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

行政法講義ノート〔第7版〕への前口上

2019年05月26日 00時00分00秒 | 行政法講義ノート〔第7版〕

 法学部に所属していない学生でも、ウェブで手軽に行政法の勉学を進めることができる。

 これが、この講義ノートを2001年3月25日に開始した理由です。当時、私は大分大学教育福祉科学部講師でした。

 それから18年が経過していますが、この間に多くの方々に利用していただきました。直接、公務員の方、税理士の方などから「わかりやすい」というありがたい評価をいただきましたし、行政書士試験受験者向けのブログなどで、行政法の真髄でもある行政裁量論を扱った箇所に関して非常に好意的な評価をいただくこともできました。

 2019年度に、大東文化大学法学部、国学院大学法学部、東洋大学大学院法学研究科および中央大学経済学部で行政法の講義を担当します。第6版の開始から4年近くが経過していること、および「財政法講義ノート〔第6版〕の、長すぎる前口上」において記したように、マイクロソフト社による簡易なホームページ作成用ソフトであるFrontpageおよびExpression Web 4の開発が終了していることから、第7版の掲載はとりあえずブログで行うこととしました。第7版とは銘打っていますが、開始から二度の名称変更を経ていますので、実質的には第9版となります。

 私が大東文化大学において担当する講義の範囲は行政作用法総論ですが、ホームページでは当初から、行政作用法総論、行政救済法および行政組織法の基本的な部分を対象としております。これは、直接的には大分大学時代に公務員研修を何度も担当したこと、および、2005年の4月から10月まで、早稲田大学法職課程教室公務員試験講座・専門科目講座「行政法」を担当したためですが、別の理由もあります。行政作用法総論の講義であっても、常に行政救済法や行政組織法の内容を意識しなければならないのです。この点は、実際に行政法学の教科書をお読みになればおわかりでしょう。

 日本に存在する法律の大部分は行政法に属する、と言われます。それだけに、範囲も膨大なものとなりますが、ここでは、初学者の皆様にも取り掛かりやすいように、ごく基本的な部分を扱います。但し、少々突っ込んだ内容となっている部分もあります。これは、公務員試験、行政書士試験などの受験を検討されている方々などのお役に立てば、という思いもあるからです。

 ここで、注意事項を記しておきます。

 1.必ず、六法を手元に置いて読んで下さい。小型の六法で十分ですが、有斐閣の判例六法Professional、三省堂の模範六法などの中型またはそれより収録法令数の多いもの、また、学陽書房の地方自治小六法、ぎょうせいの自治六法などであれば、さらに良いでしょう。なお、六法に収録されていない法令が登場することもありますが、現行法であれば「e-Gov 電子政府の総合窓口」の「法令索引検索」を参照するとよいでしょう。

 2.行政法学に限らず、法律を勉強する際には、判例、実例などの検討を欠くことはできません。そこで、まず、判例解説書の併読をおすすめします。とくに、公務員試験受験を考えられている方は、判例解説書を備えるようにして下さい。そして、実際に、公式判例集などを参照するように努めて下さい。

 この講義においては、宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ』〔第7版〕および同編『行政判例百選Ⅱ』〔第7版〕(いずれも2017年、有斐閣)を参考書の一つとします(2分冊になっていますが、1セットと考えてください)。同書にて解説がなされている判例については、ⅠまたはⅡの○○番と記します。 但し、同書(Ⅰ、Ⅱのいずれも)には最高裁判所の判決しか取り上げられていませんので、稲葉馨・下井康史・中原茂樹・野呂充編『ケースブック行政法』〔第6版〕(2018年、弘文堂)、下山憲治・田村達久編『判例ライン行政法』(2012年、成文堂)などもおすすめします。

 3.定評のある教科書を併読することをおすすめします。

 4.また、行政法学の基本用語については、このページでも説明を行っておりますが、黒川哲志・下山憲治・日野辰哉編著『確認行政法用語230』〔第2版〕(2016年、成文堂)の併読もおすすめします。

 5.行政法学は、応用的法学の一つとして考えられています。そこで、基礎的な六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)の学習を済ませておくのが望ましいのです。最低限、憲法、民法および刑法の学習を十分に行って下さい。

 もっとも、法学部以外の学部の学生、さらには法律学に全く触れてこなかったという方もおられるでしょう。そこで、憲法、民法、刑法などの基本的な部分にも触れておきたいと考えています。

 

 〔これまでの経過〕

 2001年3月25日、「行政法への前奏曲集」として開始する。

 2003年4月1日、「行政法への入口(前奏曲)」と改称。順次、修正・補充などを行う。

 2004年4月16日、「行政法講義ノート」と改称。

 2005年6月28日、第2版として順次改訂。

 2008年5月16日、第3版として順次改訂。

 2011年3月15日、第4版として順次改訂。

 2013年2月20日、第5版として順次改訂。

 2015年9月22日、第6版として順次改訂。


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