ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

2013年3月30日、飯坂温泉駅周辺(1)

2015年07月06日 09時23分39秒 | 旅行記

 〔今回は、「待合室」の第534回(2013年7月30日から8月7日まで)として掲載した記事の再掲載です。なお、若干の修正を加えています。〕

 「待合室」の第519回(2013年4月1日~8日)に、福島交通飯坂線を取り上げました(このブログにも「福島交通飯坂線に乗ってきました」として2013年4月8日に掲載しています)。その時は同線を走る元東急初代7000系の写真を掲載しましたが、それだけでもつまらないので、今回は同線の終点、飯坂温泉駅の周辺を紹介することといたします。

 福島駅を10時55分に発車した元東急初代7000系は、住宅地と農地が混ざったような風景の中を北へ進みます。桜水駅で運転士と車掌が交替し、医王寺駅付近でようやく住宅地から抜けたという感じになり、11時18分、終点の飯坂温泉駅に到着しました。

 無人駅が多い飯坂線ですが、終点の飯坂温泉駅は有人駅で、立派な駅舎があります。新しそうな印象を受けますが、2010年に改装されたとのことです。駅舎には八百屋とコンビニが入居しており、階段を下ると改札口とホームがあります。

 駅前広場(と言ってもそれほど広くないのですが)に「日本最初のラジウム発見の地」という碑があります。東京大学教授であった眞鍋嘉一郎氏は、1878年に愛媛県で生まれ、1900年に東京帝国大学医科大学、現在の東京大学医学部に入学しました。1904年に卒業しますが、この頃に飯坂温泉でラジウムを発見したとのことです。

 私が持っている電子辞書の「デジタル大辞泉」によれば、ラジウムはアルカリ土類金属の一種であり、放射性元素の代表的なものです。元素記号はRa、原子番号は88ですが、「天然には質量数223、224、226、228の4種の同位体があり、半減期の最も長いのは226で約1600年」とのことです。このラジウムを世界で最初に発見したのがキュリー夫妻で、1898年のことです。

 放射性元素にも様々なものがあります。ラジウムは鉱泉で見つかることが多いらしく、温泉好きの多い日本人にとって、実は或る意味で馴染みの深い放射性元素であると言えます。いわゆるラジウム泉として有馬温泉(神戸市)、増富温泉(山梨県)、そして、私にとっては近い綱島温泉(横浜市港北区)などがあります。ちなみに、私はここにあげた三つの温泉のどれにも入ったことがありません。

 東北と言ったら、松尾芭蕉の「奥の細道」を忘れてはなりません。元禄2年、つまり1689年の3月、芭蕉は門人の曾良とともに江戸を発ち、東北地方を旅します。その途中、この飯坂の地を訪れました。ちょうどその頃に、この飯坂温泉が全国的に有名になったということですが、歴史は古く、日本武尊(やまとたけるのみこと)にまつわる話も残されているほどですが、明確なところでは西行法師もこの地を訪れているとのことです。

 なお、この飯坂温泉は、宮城県は仙台市にある秋保温泉、同じく宮城県は鳴子町にある鳴子温泉とともに奥州三名湯の一つとされていますが、正確には飯坂温泉と湯野温泉の両方を含むとのことです。

 駅のすぐそばには川が流れています。摺上(すりかみ)川です。両岸に温泉街が広がっていますが、どちらかと言えば東岸のほうが多いようです。一見して温泉街のホテルとわかる建物ですが、その隣は普通の住宅地です。ここも福島市内で、福島駅から10キロメートルほどという所ですし、道路網の発達によって通勤圏は広がっていったのですから、温泉街であっても普通の住宅地が多くなるのも当然です。飯坂線の車窓も、住宅地と農地ばかりです。

 駅を出てすぐに、摺上川に架かる橋があります。その上から撮影しました。この川は、進路を徐々に東に変え、東北本線の東福島駅と伊達駅との間を流れ、阿武隈急行の向瀬上駅付近で阿武隈川に合流します。国道399号線に沿ってこの川の上流へ向かうと摺上川ダムがあり、このダムのためにつくられた人造湖には茂庭っ湖(もにわっこ)という名称が付けられています。その付近も福島市に属しています。地図を見ると、摺上川は、福島市内に源流があるものの、僅かながら宮城県刈田郡七ヶ宿町を通っており、再び福島市に入って茂庭っ湖に流れるという形になっています。

 いかにも温泉街という感じの風景です。川の両岸に旅館・ホテルが建ち並びます。午後には福島駅周辺に戻らなければならないので、街を歩くのにあまり時間はないのですが、少しばかり歩いてみようと思っています。


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