ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

2012年5月、名古屋市営地下鉄・名古屋鉄道(その3)

2017年03月26日 00時00分00秒 | 写真

 (以下は「待合室」第492回として、2012年8月25日から同年9月6日まで掲載した記事の再掲です。なお、一部を修正しています。)

 豊橋駅に隣接する新豊橋駅から、豊橋鉄道渥美線を利用し、渥美半島のほぼ中央にある田原市の三河田原駅まで行きました。何と言っても元東急7200系の1800系に乗れたことがうれしかったのですが、これについては第481回「豊橋鉄道で懐かしい顔に会った」で取り上げております(ブログに再掲載しております。http://lapis-platz.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/07/7200_1d32.htmlhttp://lapis-platz.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/07/7200_e782.html、およびhttp://lapis-platz.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/07/7200_d39e.html を御覧下さい)。また、三河田原駅周辺についても、近いうちに取り上げたいと考えています。

  終点の三河田原駅から豊橋鉄道渥美線で新豊橋に戻りました。ここで豊橋駅前の様子を少しばかり見ておこうと思います。

 愛知県は尾張と三河に大別されます。名古屋市は尾張のほうにあり、豊橋は三河の代表的な都市です。江戸時代には吉田といい、東海道の宿場町として栄えました。豊橋と名を改められたのは明治時代になってからのことです。現在は中核市(地方自治法第252条の22以下)の一つとなっています。フォルクスワーゲン・ジャパンの本社があることでも有名です。

 上の写真では、道路の中央に線路が敷かれていることがおわかりになるでしょう。ここには路面電車が走っています。豊橋鉄道東田本線で、豊橋駅前から市内の赤岩口、運動公園前までの路線です。

 東海地方には、ここ豊橋の他、名古屋市、岡崎市、岐阜市などに路面電車が走っていました。名古屋市電など、多くの路面電車は20世紀中に廃止されましたが、名鉄岐阜市内線・田神線・美濃町線は2005年まで走っていました。現在は豊橋市のみで見ることができます。

 しかも、東田本線は、20世紀も終わりに近い1998年に、ほんの僅かの距離ではありますが延長しています。上の写真は駅前駅という名称の駅、というより停留所ですが、この駅が移転したことにより、150メートルほど距離が伸びた、ということです。もっとも、1973年、この先の市民病院前までの区間が廃止されています。

 茶色の車体の路面電車は、名鉄から譲り受けたモ780形の782号です。VVVF制御車で、名鉄時代は岐阜市内線と揖斐線(2005年廃止。こちらは鉄道線)で運用されていました。

  名鉄の600V線区であった岐阜市内線、田神線、美濃町線、そして揖斐線が廃止されて、それらの線区で運用されていた車両の多くが、名鉄系列の豊橋鉄道、やはり名鉄系列であった福井鉄道へ移っています。豊橋鉄道には、モ780形の他、モ800形が譲渡されました。

 今回は「名古屋市営地下鉄・名古屋鉄道(その3)」と銘打っているのですが、上の写真はJR東海の車両です。前回にも記しましたが、豊橋駅から平井信号場(JR飯田線の下地駅と小坂井駅との間、名鉄名古屋本線の豊橋駅と伊奈駅との間)までは、JR東海と名鉄が線路を共用しています。豊橋駅では、1番線と2番線がJR飯田線、3番線が名鉄名古屋本線となっています。

  飯田線は豊橋から、長野県の辰野駅までの路線です。実はまだ利用したことがないのですが、今回は乗らないこととしました。

 213系のクモハ213形5000番台です。211系によく似ていますが、扉の数が異なるなど、全く別の形式です。元々は関西本線の名古屋駅から亀山駅までの間で運用されていましたが、飯田線専用であった119系に代わり、飯田線で運用されています。

 なお、名鉄との共用区間である豊橋駅~平井信号場には、船町駅と下地駅があります。飯田線の普通電車はこの両駅に停車しますが(一部通過するものもあります)、名鉄名古屋本線の電車は両駅に停まりません。

 さて、豊橋駅3番線から特急に乗り、名鉄岐阜駅を目指します。上の車両は「パノラマsuper」の愛称で親しまれている1000系の仲間です。おそらく1200系か1230系であると思うのですが、名鉄の車両には正面に車体番号が書かれていない場合も多いので、見ただけでは系列がわからないことも少なくありません。1200系、1230系、1800系は、いずれも正面の形が同じなので、側面を見て確認するのが手っ取り早いということになります。

  方向幕が回転している間に撮影したので、行き先が日本最大の無人駅である豊明になっています。こんな特急電車の運行はないはずです。そもそも、特急は豊明を通過します。

 方向幕が鳴海の位置にある時に撮影しました。この特急電車は名鉄岐阜行きですので、まだ回り続けます。ちなみに、鳴海には一部の特急が停車します。

 豊橋を発車すると、国府(「こう」と読みます)、東岡崎、知立、神宮前、金山、名鉄名古屋、国府宮(「こうのみや」と読みます)、名鉄一宮、新木曽川、笠松、名鉄岐阜の順に止まります。

 終点の名鉄岐阜駅で降りました。ここで駅の周辺を歩き、写真を撮ろうと思ったのですが、連休中とは思えないほど、駅前には人の姿が見当たりません。いや、少々大げさかもしれませんが、岐阜市の中心街が廃れているという話はどうやら本当のようです。有名な柳ケ瀬まで歩いてみようかとも思ったのですが、それ以前に、名鉄岐阜駅の駅ビルに入っているLOFTの1階を見ると、驚くほどに客の数が少ないのです。片手で数えられるくらいでしょうか。単純に「客がいない」と言ってもよく、首都圏のLOFTでは考えられないくらいです。私は東急ハンズのほうによく入るのでLOFTを利用することはほとんどありませんが、それでもここまで「客がいない」LOFTは見たことがありません(と言っても、渋谷と二子玉川と福岡天神くらいしか知りませんが)。ちなみに、2005年に駅名が新岐阜から名鉄岐阜に改められますが、まだ新岐阜駅であった時代にはダイエーがあったそうです。また、名鉄岐阜駅のそばにパルコもあったそうですが、閉店しています。

  市内中心部を歩く気が失せてしまいました。柳ケ瀬などを周るのは機会を改めてから、ということにして、各務原(かかみがはら)線に乗ります。

  名鉄岐阜駅は名鉄名古屋本線と各務原線の終点ですが、名古屋本線は高架、各務原線は地上で、改札口は全く別です。名古屋本線の側には多くの乗降客が見受けられますが、各務原線のほうは少ないようです。大手私鉄で最も輸送密度が低いのは名鉄であるという事実は後で知りましたが、今回、名鉄の名古屋本線、三河線、豊田線、各務原線、犬山線、小牧線を利用してみて、少しばかりではありますが納得しました。

 6番線に犬山行きが停車しています。これに乗ることとしました。またも系列がわからないのですが、2両編成ですので、6800系か3100系か、というところでしょう。奥に停車しているのは2代目の5000系です。

 各務原線は名鉄岐阜から新鵜沼までの路線ですが、犬山線の犬山まで走る系統が多いようです。

 5000系が停車している場所には7番線のホームがありました。2005年まで、この駅から田神線を経由して美濃町線に直通する電車が走っていたのです。路面電車が各務原線を走っていた訳で、美濃町線と田神線を走る車両は全て複電圧車でした。各務原線が1500V線区であるのに対し、美濃町線と田神線が600V線区であったためです。

  それにしても、よくぞ複電圧車など、コストが高い車両を投入してまで美濃町線と田神線、そして岐阜市内線を運行したものだと思います。映像で見ただけですが、岐阜市内線や美濃町線の電停の多くは、道路の上にあるというのに安全地帯が設けられておらず、利用者は危険にさらされていました。おまけに、本来ならば道路交通法で自動車の軌道乗り入れは禁止されているはずなのに、岐阜県内では自動車が軌道を通行することが容認されていました。さらに加えるならば、田神線は単線、美濃町線の大部分も単線で、タブレット交換をしていました。岐阜市も岐阜県警察も、長らく路面電車には敵対的であったと言われており、それが安全地帯の未設置や自動車の軌道走行の許容につながっています。その中で何十年も岐阜市内線、美濃町線および田神線を運行してきたのです。

 2代目5000系を撮影しました。ステンレス製の車体で新品に見えますが、実は1000系の余剰車を改造した車両です。名鉄には廃車となる車両の機器を流用して製造された車両が少なくありませんが、2代目5000系もその一つです。正面のスタイルが東急3000系や都営6300形に似ています。

 各務原線に乗りました。新鵜沼から犬山線に入り、かつては道路の上をパノラマカーや特急北アルプスなどが走ることで有名であった犬山橋を越えると、岐阜県から愛知県に入ります。犬山遊園駅を過ぎると、犬山駅に到着します。

  上の写真は、この犬山から新可児を経由して御嵩までの路線である広見線での運用についている5700系か5300系です。通勤用車両でありながら2扉で転換クロスシートを備えています。豪華とも言えますが、名鉄は自家用車との競争を常に念頭に置いており、6000系が登場するまでほとんどの通勤用車両が5700系や5300系と同じような仕様でした。見方を変えれば、通勤用車両でありながら2扉でよいのですから、いかに輸送密度が低いかということを車両が証明しているようなものであるとも言えます。

  実は名鉄広見線も存廃問題に揺れています。現在、同線の運行は犬山~新可児と新可児~御嵩に分かれており、新可児~御嵩のほうが廃止される可能性もあるのです。この区間の途中にある明智駅から八百津線が分岐していましたが、八百津線が2001年に廃止され、それが広見線の新可児~御嵩の利用者の減少にもつながっているようです。また、2001年には、八百津線の他、谷汲線(黒野~谷汲)、竹鼻線の一部(江吉良~大須)および揖斐線の一部(黒野~本揖斐)も廃止され、JR高山本線に乗り入れる特急北アルプスも廃止されました。

  かつて、2001年か2005年まで、名鉄の路線総延長は近鉄に次いで2位でした。しかし、現在は東武が2位であり、名鉄は3位となっています。これは、そもそも名古屋鉄道が多くの閑散路線を抱えていたという事情に端を発し、21世紀に入ってから次々に路線が廃止されたことによるものです。2004年には三河線の猿投~西中金と碧南~吉良吉田が廃止され、2005年には岐阜市内線、田神線、美濃町線および揖斐線が全廃され、2008年にモンキーパークモノレール線が廃止されています。現在も、上に記した広見線の新可児~御嵩の他、蒲郡線(蒲郡~吉良吉田)、西尾線の一部(西尾~吉良吉田)についても存廃問題が生じています。

 名鉄は、これまでにもいくつもの路線を廃止しています。たとえば1964年には岩倉支線(岩倉~小牧)、1965年に一宮線(岩倉~東一宮)、1973年には挙母線(大樹寺~上挙母)が廃止されています。1999年に美濃町線の新関~美濃町が廃止されてから、廃止が加速されたと見ることも可能でしょう。

 名古屋市営地下鉄の7000形が犬山駅に停車していました。平安通~上飯田のわずか800メートルほどという、公営の地下鉄では最も営業距離が短い上飯田線の車両で、名鉄小牧線に乗り入れ、この犬山駅まで走ります。名鉄にも小牧線および上飯田線用の300系がありますが、今回は撮影していません(見ることができなかったのでした)。

 犬山駅で、再びポケットモンスター映画15周年のステッカーが貼られた2200系を見ました。豊橋駅で見たのと同じ編成のようです。犬山線は名鉄のドル箱と言うべき路線でもありますので、名古屋本線などへの直通電車も多く運転されています。また、名古屋市営地下鉄鶴舞線からの直通電車も到着します。

 名鉄小牧線は上飯田から犬山までの路線ですが、名古屋市営地下鉄上飯田線の平安通から上飯田を経て名鉄小牧線の味鋺(あじま)までは上飯田連絡線株式会社が施設を保有する第三種鉄道事業者で、平安通から上飯田までは名古屋市交通局が第二種鉄道事業者、上飯田から味鋺までは名古屋鉄道が第二種鉄道事業者となっています。また、上飯田線については名古屋市交通局が名鉄に業務を委託しているため、上飯田での乗務員交代はありません。

 上飯田線が開業したのは2003年です。それまで、小牧線はこの犬山駅以外で他の路線との接続がなく、とくに上飯田駅は、名古屋市内の始発駅であるにもかかわらず、地下鉄の駅からも離れた所にあったため、不便な路線でした。このようになったのは1971年からで、実に30年以上、孤立したようなターミナルであった訳です。岩倉支線が廃止されていなければ、小牧線の名古屋市中心部へのアクセス機能がもう少し高かったでしょう。時代を読み誤ったのか、別の理由によるのかは不明ですが、問題の残る選択であったことは確かです。そして、小牧線の利便性の悪さは、小牧市にある桃花台ニュータウンにも影響を及ぼしました。桃花台新交通桃花台線が廃止されたことの原因の一つが小牧線にあった、とも言えるのです。

  長らく名鉄が小牧線の起点を上飯田としていた理由はよくわかりませんが、他の大手私鉄であったら延長計画を立てたりしていたのではないかと思います。上飯田から、JR中央本線、名鉄瀬戸線、名古屋市営地下鉄名城線の乗換駅である大曽根までは、それほど離れている訳ではありません。名城線で、大曽根は平安通の次の駅です。現在も孤立路線として残る瀬戸線と接続させることを名鉄が考えていなかったとすると、その理由がわかりません。実現できるかどうかは別として、計画、あるいはその前の構想くらいは立てていなかったのでしょうか。

  そして、上飯田線が開業したとはいえ、小牧線のアクセスが劇的に良くなった、とは言い難いのも事実です。平安通という駅での接続が中途半端であるように思えます。本来なら大曽根までの路線とすべきであったことでしょう。また、上飯田から平安通までは1キロメートルに達しないのですが、名古屋市交通局の路線となっているので、この区間だけ別の会社の運賃が上乗せされる形となります。名古屋市営地下鉄の初乗りは200円です。平安通で名城線へ乗り換える客が多いのであれば、それほど問題にはなりませんが、抵抗感がないとも言えません。さらに記すならば、上飯田線・小牧線と名城線とでは線路の幅が異なり、集電方式まで異なるので、直通運転ができません。そのため、栄、金山方面などに向かうには、乗り換えが必要です。

 2代目3500系が停車しています。1993年に登場したVVVF制御車で、3扉のロングシートとなっています。準急の中部国際空港行きとなっていますので、ここから犬山線、名古屋本線、常滑線、空港線を走り抜けるということです。

 さて、ここから名古屋に戻ります。犬山線のほうが速いかもしれませんが、今回は小牧線を使い、平安通に出て、名城線に乗り換え、栄に向かうこととしました。小牧駅から小牧原駅にかけて残っている桃花台新交通線桃花台線の跡を見たい、という気持ちもあったためです。


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2 コメント

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Unknown (まいんど)
2017-04-14 21:14:11
名鉄のポケモン電車とエコムーブトレインはもう2度と走らず、次からはフレッシュ・ハートキャッチ・スイート・スマイル・ドキドキ・ハピネスチャージ・Go!プリンセス・魔法つかいの各プリキュアとキラキラプリキュアアラモードや、クッキンアイドルアイマイまいん・妖怪ウォッチ・みいつけた・マリー&ガリー・アイカツ・アイカツスターズ・極上めちゃモテ委員長のラッピング電車が走るそうです。
理由として、少子化の影響でポケモン文化に異変や迷走が起きていることと、名鉄沿線にはポケモンがきらいでプリキュア・まいんちゃん・妖怪ウォッチ・みいつけた・マリー&ガリー・アイカツ・アイカツスターズ・極上めちゃモテ委員長が好きな人が多いためです。
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そうですか (川崎高津公法研究室長)
2017-04-14 22:53:05
 実のところ、私はラッピング電車にあまり興味がありません。むしろ、デザインなどによっては不快感を覚えたりするのです。
 それはともあれ、人の好みも日々変化する、ということなのでしょう。
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