ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

秦野市で初の……(続)

2025年01月11日 00時00分00秒 | 法律学

 秦野市の略式代執行の話を2025年1月8日12時0分付で記しました。今回は続篇です。

 朝日新聞2025年1月9日付朝刊19面(神奈川・川崎)14版に「危険な空き家を代執行で撤去へ 秦野市初 県内5例目」という記事が掲載されていました。この記事によると、1月7日、秦野市は、同市水神町にある空き家について略式代執行を行ったということですが、少し読んだだけで「これはかなり深刻な問題だ」とわかります。

 秦野市には幼い頃に何度か行ったことがあるのですが、土地勘は全くないので地図を見てみたところ、小田急小田原線の秦野駅の北西、水無川を渡って秦野市役所からそれほど離れていない場所で、北は国道246号沿いとなります。町内には東海テック、東海精機工業などがあります。

 記事によると、空き家は1972年3月に建築された軽量鉄骨の2階建てです。2007年に所有者が亡くなられた後に放置されてしまい、秦野市は法定相続人を探し当てたのですが、この法定相続人が2021年に相続を放棄したことにより、所有者不明となった、とのことです。所有者不明というより所有者消滅と表現するほうがよいかもしれません。

 気になるのは撤去費用でしょう。国は約350万円を負担し、秦野市は約440万円を負担したとのことです。

 今後とも、このような例が全国各地で頻出することになるものと思われます。そればかりか、家屋または土地が所有者不明であるまたは所有者消滅という状態は、現在の法制度においては完全に解決することなど不可能であろうと思われます。というのは、今回の事案は個人所有の家屋でしたが、既に法人格が消滅した法人が所有の名義のままとなっているという例が少なくないからです。


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