世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

スロースタート

2015年01月03日 | ライフスタイル
たぶん長い人生の中で、最もスローな年明けを迎えたと思う。

世の中ではロケットスタートなるものが持て囃されているというのに。


一昨年までは、30年間以上年末年始は稼ぎ時で多忙を極めていた。

宿泊業に携わる者の宿命だ。


昨年のお正月はといえば、ベトナムにいて仕事をしていた。

陰暦の旧正月を祝う国に、新暦の正月をのんびりと祝う風情は感じられない。

普段と同じカオスの風景が横たわっているだけだった。



そして今年、

何もしないという贅沢を味わった。


阿蘇山麓に籠り、お気に入りの椅子に座ってほとんど一日を過ごす。

誰にも会わず、動いても敷地内に留める。


携帯の電源も切っている。

目覚ましもかけない。

時折雪が深々と降る。

風の音も木の騒めきもない。

全くの静寂。


今までこんな生活ができることを忘れていた。

忙しなく、世知辛い世の中でだ。


これを最高の贅沢といわずして何を贅沢と言うのだろう。


自然の目覚めに任せる。

だいたい、8時ころから10時過ぎに目が覚める。

トイレに行き思いっきり放尿して、洗面所で顔を洗う。

夜中にトイレに行くことは稀だ。


アイランドキッチンでコーヒーを入れる。

お決まりのベトナムコーヒーだ。

5杯分のコーヒ―メーカーを使っている。

しばらくするとコーヒーの香ばしくも甘い香りが部屋中に漂ってくる。

アロマセラピーになる。


その間、PCを起動させ、facebookとGメールを確認する。

必要ならメッセージの返事を送る。

唯一の外部との接点だ。


そしてデジタルで新聞を開き、ニュースやコラムを読む。

淹れ立てのコーヒーをすすりながらブログをしたためる。

空腹感を覚えたところで朝食、といってもブランチだが、主にパンのみ。


これでほぼ午前中が終わる。


シャワーを浴びて、必要なら暖炉に火を入れる。

煙の匂いとゆらゆらと揺れる火、

時折パチパチと薪が弾ける音。

柔らかな温もりが体の芯まで伝わってくる。

自然のオーケストラに五感が勢いよく目覚める。


暖炉脇で瞑想と軽いストレッチをする。

自己流のヨガといえるかもしれない。

あるいは、妄想時間でもある。

自分を見つめるにはいい環境だ。


基本的に初詣には行かない。

宿泊業に携わってから、忙しさにかまけてその習慣は消えうせた。


幸いにも敷地の両脇に天神様がある。

毎朝窓を隔てて合掌をする。

根っからのズボラを決め込んでいる。

これでは御利益はないだろう。


正月に限ったことではないが。


木立の間から射すお天道様にも手を合わせる。

お願いごとではなく、感謝の気持ちを伝えるために。

太陽にに身体を晒すことは心身を覚醒させる。


そうこうするうちに、陽も落ちてくる。

冬の日暮れは早い。

夕陽に代わって寒さが周囲を支配する。


テレビも付けず、音楽も流さない。

徹底して静寂の中に身を沈める。


不思議と孤独は感じない。

いつの間にか一人でいることに慣れてしまったのだろう。

どうせ下界に戻れば猥雑な世界が待っているから。

今は思いっきり孤独に浸るとき。


それよりそろそろ空腹感が襲う。。

どんなじじっとしていても腹は減るから不思議だ。

夕食の準備にかかる。

といってもレトルトだが。

ビールと一緒に流し込む。

昨年からお節料理にも縁がなくなった。


それから就寝まではテレビ漬け。

見るチャンネルは決まっている。

地上波は一切見ない。

BSの英語のドラマか映画のみ。

傍らにはワインとメモ用紙を置く。

使える英語のフレーズを書き取るためだ。

英語の勉強といえば聞こえはいいが、あくまでも娯楽の延長。

楽しみながらやるのがモットーだから。


暖炉の火も消え、軽い酔いが回ってきたところで就寝となる。

だいたい、午前1時から2時になっている。

7~8時間の睡眠時間が必要だ。


こうしたゆったりとした一人の時間を次に取れるのは永眠までないかもしれない。

そう思うとこの時間、この環境が愛おしい。

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