粘り強い交渉力が奏功することがある。
今回も、ボクは、国際線ではアイルシート (通路側の座席)を当然のように希望した。
ところがである、
2時間半前にもかかわらず、ボクの席は、すでに窓側の席に振り分けて抑えてあった。
最近は e-ticket で チェックインも 機械で簡単に手続きできる反面、融通が利かない。
「アイルシートに変えてください」
すかさずボクは頼んだ。
「本日は満席で、変更は出来ません」
ボクの希望に、小雪似の地上係員はニベもない返事をする。
そして、シャーシャーとこう付け加えた。
「通路側ご希望でしたら、1万5千円の追加で、エコノミー・プラスという足元の広いお席がご用意できますが。さらに6万円アップでしたらビジネスクラスもございます」
冗談じゃない!
それでなくても、格安航空券を探しに探しまくって、その上さらに値切りに値切って手に入れた極安チケットだ。
まだ出発までに2時間半もあるのだから、絶対に全員がチェックインを済ませているはずはない。
変更は、出来るはずだ。
軽くあしらおうとした小雪似の彼女にボクは、そう切り替えした。
呆れ顔をした小雪からは、
「一応努力しますがダメな場合もありますのでご了承ください」
との答えが返ってきた。
「いや、あなたならきっと出来るはずですよ(小雪さん)」
と、ボクは小雪にだめを押す。
2時間後、果たして、搭乗口のカウンターでボクの名前が呼ばれた。
「申し訳ございませんが、やはり通路側のお席への変更は出来ませんでした」
その言葉と裏腹に、小雪の表情は明らかに柔らかかった。
「その代わり、エコノミープラスの広いお席の通路側をご用意いたしました。ただし、今回のみのサービスですよ」
さすが、小雪チャーン
けっこう、けっこー、コケコッコー!!
と、ボクは、鶏冠(とさか)を振った (ウソ)。
出来れば、ビジネスにアップして欲しかった、などと、いくらあつかましいボクでも贅沢は言わない。
かくして、
10時間のフライトを、気を使いながらトイレに行く心配もなく、足を伸ばしてカッパカッパとビールを飲みまくった、
と言う次第だ。
何事も、簡単に諦めてはいけないヨ。