カンボジア経済

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AMRO カンボジアと定期協議 経済回復に向けた政策の重要性を指摘

2021年05月14日 | 経済
 5月6日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、2021年4月19日~5月4日にカンボジア関係者とオンラインで行った年次定期協議の第一次結果を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN+3(ASEAN10か国と日本、中国、韓国)による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 GDP成長率については、2020年のマイナス3.0%から、2021年には4.0%に回復すると見ています。2020年は、新型コロナの影響で、主要輸出品の縫製品輸出がマイナス9.9%となりました。観光、建設等も大きな打撃を受けました。対外収支については、輸入が減少したため、経常収支の赤字(対GDP比)は、11.5%に留まりました。外国直接投資も1.8%の減少に留まったこともあって、外貨準備は213億ドル(輸入の11か月分)と非常に安定的な水準にあります。
 2021年については、2月20日市中感染事件による新型コロナの感染拡大や対策としてのロックダウンにより、対面型サービス産業や労働集約型製造業が営業停止となる等の影響があり、成長率を下押しするリスクがあります。このため、ワクチン接種の早期展開、経済回復に向けたターゲットを絞り込んだ政策が重要と指摘しました。また、新型コロナの影響で、休廃業や失職が長期化すると、中期的な経済回復力を弱めるといった影響が中長期的に残ってしまうリスクもあるとしています。なお、金融セクターについては、不良債権比率上昇等のリスクがあるものの、銀行の健全性は当面維持されるものと予測しています。
 政策提言としては、まず財政支出について、これまで経済を支えてきたことを評価しつつも、今後は、産業別の状況に合わせてターゲットを絞り込んだ支出に徐々にシフトすることが必要としています。また、短期的な支援から、ビジネス回復への支援に移行し、成長力の強い産業に資源・労働力を移行させることを振興すべきとしています。この他、中小企業向け金融支援、競争力の強化振興、外国直接投資の誘致等の重要性を指摘しています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。
(写真は、新型コロナ対策で閉鎖されたプノンペンのセントラルマーケット)

AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/faster-vaccination-and-continued-fiscal-policy-support-key-to-economic-recovery-in-cambodia/


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