
5月18日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia: NBC)は、年次報告書2017を発表しました。
内容は、マクロ経済動向、金融政策、カンボジアの銀行システム、中央銀行活動、カンボジア金融情報機関(CAFIU)、国際協力、中央銀行の内部管理、2018年の目標等です。経済状況や金融システムを概観するにはとても有益な報告書です。
2017年の注目点は、まず、マクロ経済の安定です。成長率は、2017年は6.9%でした。縫製、建設、観光が引き続き好調です。物価上昇率は、前年と同じ2.9%でした。リエルの対ドル為替レートは、4050リエル/ドル近辺で推移しました。また、経常収支の赤字も減少傾向にあり、対GDP比7.1%にまで縮小しました。貿易赤字は、サービス収支(観光等)、移転収支(ODA等)、資本収支(直接投資等)の黒字で埋め合わせて、総合収支では、GDP比6.9%の黒字となりました。この結果、2017年末の外貨準備は、約87億ドル(輸入の6か月分以上)に達しています。
NBCでは、金融包括の促進(18%の金利キャップ導入、金融教育の拡充等)、預金保護スキームの開発、金融インフラの開発(即時決済システム(FAST)や中央共有交換メカニズム(central shared switch mechanism))、高度にドル化した経済の中でのリエルの使用促進、CAFIUによる資金洗浄やテロリズムへの資金供給を防止する対策等に努めたいとしています。
今後の経済のリスクとしては、まず海外要因として、EU経済の動向、米国の経済政策の不透明性、ドル高の輸出・観光への影響、縫製輸出市場である欧米の保護主義、中国経済の動向等を挙げています。また、国内要因としては、建設セクターの落ち込み、賃金上昇による国際競争力への影響、不完全な農産品市場による価格変動の影響等を挙げました。また、構造的課題として、インフラ改善の必要性、高い電力料金、高度なドル化経済、熟練労働力の不足等を指摘しています。
カンボジアの金融・通貨制度は、整備の途上にありますが、地道な努力が継続されており、安定的な発展が期待されます。
中央銀行年次報告書のサイト(英文です)
https://www.nbc.org.kh/english/publications/annual_reports.php
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内容は、マクロ経済動向、金融政策、カンボジアの銀行システム、中央銀行活動、カンボジア金融情報機関(CAFIU)、国際協力、中央銀行の内部管理、2018年の目標等です。経済状況や金融システムを概観するにはとても有益な報告書です。
2017年の注目点は、まず、マクロ経済の安定です。成長率は、2017年は6.9%でした。縫製、建設、観光が引き続き好調です。物価上昇率は、前年と同じ2.9%でした。リエルの対ドル為替レートは、4050リエル/ドル近辺で推移しました。また、経常収支の赤字も減少傾向にあり、対GDP比7.1%にまで縮小しました。貿易赤字は、サービス収支(観光等)、移転収支(ODA等)、資本収支(直接投資等)の黒字で埋め合わせて、総合収支では、GDP比6.9%の黒字となりました。この結果、2017年末の外貨準備は、約87億ドル(輸入の6か月分以上)に達しています。
NBCでは、金融包括の促進(18%の金利キャップ導入、金融教育の拡充等)、預金保護スキームの開発、金融インフラの開発(即時決済システム(FAST)や中央共有交換メカニズム(central shared switch mechanism))、高度にドル化した経済の中でのリエルの使用促進、CAFIUによる資金洗浄やテロリズムへの資金供給を防止する対策等に努めたいとしています。
今後の経済のリスクとしては、まず海外要因として、EU経済の動向、米国の経済政策の不透明性、ドル高の輸出・観光への影響、縫製輸出市場である欧米の保護主義、中国経済の動向等を挙げています。また、国内要因としては、建設セクターの落ち込み、賃金上昇による国際競争力への影響、不完全な農産品市場による価格変動の影響等を挙げました。また、構造的課題として、インフラ改善の必要性、高い電力料金、高度なドル化経済、熟練労働力の不足等を指摘しています。
カンボジアの金融・通貨制度は、整備の途上にありますが、地道な努力が継続されており、安定的な発展が期待されます。
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