2月26日、日経新聞に「タイとカンボジア「最後の大ガス田」 20年越し開発へ」と題する記事が掲載されました。著者は、カンボジアを含むアジア地域に大変詳しい高橋徹編集委員・論説委員です。
記事では、「東南アジア最後ともいわれる巨大な天然ガス田の開発が、ついに動き出す可能性が出てきた。国境が未画定の海域で、タイとカンボジアが共同開発に向けた協議に入る。」としています。タイ側によると20兆バーツ(約83兆円)相当の埋蔵が期待できるといわれ、「ASEAN域内のラストリゾート」とも呼ばれているとのことです。
カンボジアとタイの間では、タイ湾の海上の国境線が確定しておらず、双方が領有権を主張する2万6400平方キロメートルの重複主張海域(OCA)が存在しています。この海域では、石油・天然ガスが豊富に埋蔵されていると見られており、以前から領有権問題を棚上げして、両国で共同開発を行う方向で協議が進められてきました。タイ側は、タクシン政権時代にこの考えに合意し、2001年にカンボジアと覚書の調印まで至りましたが、アピシット政権になってからこれを覆し、交渉は暗礁に乗り上げていました。
交渉の背中を押すのは、タイ側のエネルギー需給の切迫感であるとしています。タイにとって天然ガスは発電の6割を担う主力燃料ですが、既存ガス田のエラワンやボンコットが枯渇に向かうなか、ミャンマーでの政変やロシアによるウクライナ侵攻でLNG価格が急騰し、量とコストの両面で輸入リスクを意識せざるを得なくなっています。カンボジアとの重複海域には、近くまで既存のパイプラインが延びており、開発のメリットは計り知れないと分析しています。
なお、2月21には、2001年合意の当事者であるフン・セン前首相と、タイで療養中のタクシン元首相が面会しています。この面会についても、ガス田の領有権を巡る交渉を進展させる狙いがあるとの観測も出ています。
いつもながら、豊富な知識を基にした貴重な分析記事です。ご興味の方はぜひ全文お読みください。
(地図は、JOGMECサイトより。Area1~4がOCA)
日本経済新聞の記事(有料記事です)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD20C9A0Q4A220C2000000/
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記事では、「東南アジア最後ともいわれる巨大な天然ガス田の開発が、ついに動き出す可能性が出てきた。国境が未画定の海域で、タイとカンボジアが共同開発に向けた協議に入る。」としています。タイ側によると20兆バーツ(約83兆円)相当の埋蔵が期待できるといわれ、「ASEAN域内のラストリゾート」とも呼ばれているとのことです。
カンボジアとタイの間では、タイ湾の海上の国境線が確定しておらず、双方が領有権を主張する2万6400平方キロメートルの重複主張海域(OCA)が存在しています。この海域では、石油・天然ガスが豊富に埋蔵されていると見られており、以前から領有権問題を棚上げして、両国で共同開発を行う方向で協議が進められてきました。タイ側は、タクシン政権時代にこの考えに合意し、2001年にカンボジアと覚書の調印まで至りましたが、アピシット政権になってからこれを覆し、交渉は暗礁に乗り上げていました。
交渉の背中を押すのは、タイ側のエネルギー需給の切迫感であるとしています。タイにとって天然ガスは発電の6割を担う主力燃料ですが、既存ガス田のエラワンやボンコットが枯渇に向かうなか、ミャンマーでの政変やロシアによるウクライナ侵攻でLNG価格が急騰し、量とコストの両面で輸入リスクを意識せざるを得なくなっています。カンボジアとの重複海域には、近くまで既存のパイプラインが延びており、開発のメリットは計り知れないと分析しています。
なお、2月21には、2001年合意の当事者であるフン・セン前首相と、タイで療養中のタクシン元首相が面会しています。この面会についても、ガス田の領有権を巡る交渉を進展させる狙いがあるとの観測も出ています。
いつもながら、豊富な知識を基にした貴重な分析記事です。ご興味の方はぜひ全文お読みください。
(地図は、JOGMECサイトより。Area1~4がOCA)
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