カンボジア経済

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中央銀行 金融安定性調査報告書 2023

2024年05月31日 | 経済
 5月20日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、金融安定性調査報告書2023年版(Financial Stability Review: FSR)を公表しました。カンボジア国立銀行では、国際通貨基金(IMF)の支援を受けて、2011年から金融安定性委員会に年2回、金融安定性調査結果を報告してきました。報告書は、マクロ経済の現状と安定性、金融システムの現状と安定性、ノンバンク金融、支払・決済システムの最近の発展の4章から成っています。
 2023年の世界経済は、世界的なインフレと、それに伴う金融引き締め等により減速したものの底堅さを維持しました。その中でカンボジア経済の成長率は5.0%と底堅いものがありました。主要輸出先の需要減退により縫製品の輸出は伸び悩んだものの、非縫製品製造業の輸出は堅調でした。観光は新型コロナの影響から着実な回復を見せましたが、建設業と不動産業はいまだに低迷しています。原油価格の下落と世界および地域のインフレ率の低下の結果、カンボジアの物価上昇率は2022年の5.4%から2023年には2.1%に低下しました。
 米国の金利上昇に伴うドル高で、多くの国で通貨が減価しましたが、カンボジアの通貨リエルの対ドルレートは安定的で、0.2%の減価で平均レートは4111リエル/ドルでした。しかし、他通貨が減価したため、リエルの実質実効レートは増価し、輸出競争力に影響を与えているものと見られます。外貨準備高は13.2%増の200億ドルとなり、輸入の7カ月分をカバーするのに十分なレベルにあります。
 銀行セクターは、経済に重要な役割を果たしており、引き続き強靭性を示したとしています。貸付は4.2%増と伸び悩んだものの、預金は13.0%増となりました。新型コロナ対策の貸付条件緩和が終了したこともあり不良債権は増加し、不良債権比率は、5.1%へと悪化しました。
 2024年のカンボジア経済の見通しにつては、GDP成長率は6%程度、物価上昇率は2%程度と見ています。リスクとしては、中国経済の低迷、先進国の金融引締め、地政学的緊張を挙げています。
 カンボジア経済を支える重要な役割を有する金融セクターは、引き続き拡大しつつ、健全性も維持するとしています。リスクとしては、不動産セクターの低迷による一部金融機関への影響を懸念しています。カンボジア国立銀行としては、引き続き経済の状況を注視しつつ、金融セクターの健全性維持に努めるとしています。

カンボジア国立銀行のサイト
https://www.nbc.org.kh/english/publications/fsr.php


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