カンボジア経済

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カンボジア西部の現状 その2 国境の町ポイペト

2022年12月27日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
3年ぶりにタイ国境のポイペトを訪問しました。タイとのこれまでの国境には、入国管理等を行う新しく大きな建物が完成していました。以前は平屋の小さな建物でしたが、面目を一新していました。新型コロナの影響で国境も一時は閉鎖されていましたが、現在は、水際規制は完全に解除され、平常に戻っている感じでした。多くのコンテナトラックが行きかい、その間を荷物を満載したリヤカーが行きかっていました。なお、昨日の記事にも掲載した通り、貨物専用の国境施設を近郊のストゥンボットに建設中で、国境を通過する貨物の手続き迅速化が図られる計画です。
 鉄道北線のポイペト駅は、貨物輸送で潤っているようでした。最近は、フォードの完成車を一度に100台以上も輸送する貨物列車も運用されています。訪問当日は、タイからのセメント等をトラックから貨車に積み替えていました。タイ国鉄と接続する鉄橋や線路も数年前に完成しているのですが、新型コロナの影響もあって二国間交渉が進んでおらず、直通列車や貨物の一貫輸送の実現には至っていません。
 ポイペトには、日本企業が進出している経済特区が二つあります。ロイヤルグループ・ポイペト経済特区とサンコー経済特区です。サンコー経済特区内には、豊田通商グループのテクノパークポイペトもあり、中小企業の方にも魅力的な場所となっています。新型コロナの影響もあって、ここ2年ほどは日系の大きな新規投資はないようでした。しかし、ポイペトは、カンボジアの労賃の低さとタイとの連結性から、タイに進出している日系企業、特に労働集約的部品産業のシフト先としては、非常に有望な候補となる場所と見られ、カンボジア政府も日系企業の誘致に力を入れています。1月20日には、バンコクでJETRO主催の「タイ+1としてのカンボジア国境活用セミナー」が開催される予定です。カンボジアは、労務費が上昇した周辺諸国から労働集約的な工程を切り出し、労賃の安い国に移すフラグメンテーションの好例となることが期待されており、特に、タイの東部臨海地域に多数進出している日系企業の「タイプラスワン」の候補地となることが期待されます。
 ポイペトでの日本の方の生活基盤も以前に比べると整ってきているようで、タイ系のスーパーBigC、サンコー経済特区入り口前の長期滞在型ホテル、1階に和食の国境食堂HARUが入居するアパートメント等が完成していました。
 国境付近にはタイ人向けのカジノが多数あります。そのうち一つを訪れてみました。平日の昼間でしたが、フロアの3分の一程度は埋まっており、タイ通貨のバーツの札束を握りしめたタイ人がバカラ等に熱中していました。カンボジアにとって観光も重要な産業であり、タイからの観光客数の復活も大いに期待されるところです。
(写真は、ポイペト国境の新しい入国管理事務所の建物。真ん中をコンテナトラックが数多く行きかっています。)

国境付近では、コンテナトラックの隙間を縫って、昔ながらの人力のリヤカーも健在です。


ポイペト駅。貨物列車は増加している模様です。


カンボジアとタイを結ぶ鉄道の国境の鉄橋。閉鎖されています。ここを通過して直通列車が走る日が期待されます。



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