カンボジア経済

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アジア開発銀行 カンボジアの国債発行に関するセミナー実施

2020年12月25日 | 経済
 12月15日、カンボジア証券取引委員会(SECC)とアジア開発銀行(ADB)は、カンボジアにおける国債市場の開発に関するオンラインセミナーを開催しました。アジア開発銀行は今年4月のレポートで、カンボジア政府に国債発行を提言していました。カンボジアでは、国債の発行・流通を目指して、新政府証券法案が今年9月に完成し、12月21日に上院で承認されています。セミナーでは、この政府証券法や国債市場の開発が議論されました。具体的には、債券の発行承認手続き、国債の他国市場での発行、国債の需要を高める方策、現在リエル建てしか認められていない国内市場規制等が討議されました。
 カンボジアの国債発行については、日本政府の支援で2018年に野村総研が調査・提言を行っています。調査では、カンボジアで国債を発行した場合、期間5年もので、金利がドル建てで7%以上、リエル建て6.5%~7.75%程度と高い水準となる一方、ODA等で借り入れた場合の金利が低い(日本の円借款金利は0.01%)ため、海外からの借入を代替する意味での国債発行は必要性が低いとしています。他方、カンボジア政府の資金フローの安定化、国家社会保障基金(保険・年金)等の機関投資家の安定的長期運用手段の提供といった意味では、リエル建ての国債発行は意味があるものとしています。また、高度にドル化した経済の中でリエルの使用を促進するため、カンボジアの中央銀行(NBC)が銀行貸付の10%以上をリエル建てとすることを求めており、リエル建ての国債については一定の需要があると見込んでいます。 
 カンボジアでは、インフラ整備等のために海外から借り入れを行っていますが、今のところ金利が低く期間も長い譲許的借款(日本の円借款や国際機関からの借入等)を中心に借り入れており、いわゆる「借金漬け」を免れています。国債を使った民間からの借り入れは、金利も高く、返済期間も短いものとなるため、政府の資金繰り安定化や金融機関のリエル使用促進といったことを目的とした限定的発行とすることが当面は必要となるものと見られます。また、日本のように野放図に国債発行を行うだけの信用力がカンボジアには欠けているため、債務の管理を徹底して行うことも重要な課題になるものと見られます。
(写真は、カンボジア証券取引所)



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