カンボジア経済

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伸び悩みが続くカンボジアの銀行貸出 国際通貨研究所レポート

2024年11月15日 | 経済
 11月8日、国際通貨研究所は、「伸び悩みが続くカンボジアの銀行貸出」と題するレポートを公表しました。著者は、小宮佳菜上席研究員です。レポートでは、カンボジアの金融セクターの貸出動向と健全性について概観し、今後の展望と課題を整理するとしています。
 カンボジアの経済概況については、「縫製品や太陽光パネルを含む電気機器・部品など製造業は堅調なものの、コロナ禍での行動制限や観光客数の急減に伴い低迷した宿泊・飲食サービスはまだ回復途上であるほか、不動産や建設は中国からの投資減速や中国人観光客の戻りが遅れていることもあり、過剰供給と需要低下に伴い低迷が続いている。」と分析しています。
 銀行貸出は、中国経済の低迷や不動産市場の停滞に伴う景気減速を背景に、卸売・小売や家計向けが減速し、2019年をピークに急速に伸び悩んでいます。
 健全性については、信用拡大が急速に進んだカンボジアでは、2010年代、銀行の不良債権比率は2%前後で安定した推移が続いたものの、2022年以降は大きく上昇し、2024年6月末時点で6.8%となったとしています。特に、不動産・建設業の不良債権比率が全セクターの平均を上回っていることに加えて、不動産会社が提供する住宅ローンなど未報告の不良債権が拡大しているという指摘もあり、実際の不良債権比率は公表値を大きく上回る可能性があると指摘しています。
 しかし、中央銀行が定める健全性指標を見てみると、2023 年末時点で、銀行の流動性比率(LCR)は167%と中央銀行規制値の100%を大きく上回っているほか、自己資本比率(CAR)も20%台と中央銀行規制値の15%を超えるなど一定の水準を維持しているとしています。
 今後の展望としては、不良債権比率が上昇する中、銀行の貸出条件が厳格化していることに加え、中国経済の低迷や不動産市場の停滞に伴い、当面は銀行貸出は伸び悩みが続くとみられると見ています。
 中央銀行には、金融機関の不良債権のモニタリングに加え、不良債権処理を後押しすることが求められると提言しています。
 カンボジアの金融セクターについて、短くまとまったレポートです。ご興味の方はぜひ全文ご一読ください。
(写真は、商業銀行大手のACREDA銀行本店)

国際通貨研究所のサイト(和文です)
https://www.iima.or.jp/docs/newsletter/2024/nl2024.36.pdf


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