カンボジア経済

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EU カンボジアに対する特恵関税を一部停止

2020年02月17日 | 経済
 2月12日、欧州連合(EU)の欧州委員会は、カンボジアに適用している貿易優遇措置の一部を停止すると発表しました。フン・セン政権が2018年の選挙がらみで強権的な対応をとったこと等から、「組織的かつ深刻な人権侵害」が続いていることを理由としています。全品目ではなく、衣料品や靴の一部、砂糖などが対象で、影響額はカンボジアの対EU輸出総額の約2割に当たる10億ユーロ(約1,194億円)程度となる見込みです。6カ月の経過期間ののち、8月12日から施行することとなります。
 EUはカンボジアを含む後発開発途上国に対し、無関税、数量無制限で対EU輸出を認める特恵関税制度「武器以外全て(EBA)」を適用してきました。2019年2月以来、カンボジアの民主主義の状況や人権・労働者の権利等につき調査を行った結果を基に、今回の決定を行ったとしています。
 これに対し、カンボジア政府は、「不当な決定で遺憾だ」との声明を発表し、「決定は政治的なもので、客観性と公平性が欠如している」と主張しています。また、主要国の反応では、米国は特段の反応を示していません。日本も「異なるアプローチ」をとるとしており、粘り強く我慢の外交を続ける方針と見られます。政権の後ろ盾となっている中国は、2月5日にフン・セン首相とか北京で会談した習近平主席が「「どのような結果になってもEUに屈するべきではない」と述べています。
 全面停止ではなく、EU向け輸出の2割程度に影響が出る程度としてはいるものの、対象となった縫製品等は他国でも生産可能であり、カンボジアの縫製業は大きな影響を受けるものと見られ、生産停止や工場閉鎖等により、雇用にも影響が出ることが懸念されます。新型肺炎による中国経済のスローダウンも重なって、カンボジア経済の今年の成長率は下振れすることが確実と見られます。

EUの発表(英文です)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_229

日本経済新聞2月14日の記事(10面) カンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストの鈴木博のコメントも入れていただいております。
https://www.nikkei.com/paper/article/?n_cid=kobetsu&ng=DGKKZO55586700T10C20A2FFJ000



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