カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

日本 カンボジアに無償資金協力74億円を供与

2022年11月17日 | 経済
 11月12日、カンボジアのプノンペンにおいて、岸田文雄内閣総理大臣及びカンボジアのフン・セン首相立ち会いの下、三上正裕駐カンボジア王国日本国特命全権大使と、プラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣との間で、カンボジアに対する計4件の無償資金協力(合計73億9800万円)に関する交換公文の署名が行われました。
 対象案件は、以下の4件です。
 サイバーセキュリティシステム構築のための機材供与(供与限度額11.50億円)
 カンボジアでは、サイバー攻撃の検知や分析などを政府横断的に行うCamCERT(Cambodia Computer Emergency Response Team)が2007年に発足しているものの、機材やシステムは発足当時から大きく更新されておらず、高度なデジタル化社会に対応するための体制整備は不十分となっています。本計画により、カンボジア政府に対し、サイバーセキュリティシステムに係る機材等を供与し、同国のセキュリティインシデント対応能力の向上を図ることで、同国の経済社会の安全な発展に寄与することが期待されます。
 カンボジア地雷対策センター研修複合施設及び広報施設建設計画(供与額24.51億円)
 カンボジア地雷対策センターは、これまで20年以上にわたり日本政府からの支援を受け、世界有数の地雷対策技術を持つ組織に成長し、国内外からの地雷・不発弾対策関係者を招いて技術指導を行っていますが、研修などを提供できる施設が不足しているほか、地雷問題に対する理解促進等を行う施設の機能も十分ではありません。本計画により、同センターの研修機能を担う施設及び広報施設の建設を行い、地雷対策関係者に対する教育訓練環境の改善及び訪問者への地雷問題の理解促進・啓発を図り、同国内外の地雷除去・不発弾対策の推進を通じた持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。
 プンプレック上水道拡張計画(供与限度額33.61億円)
 カンボジアでは、内戦後我が国及び他ドナーの支援により、特に、プノンペンにおいては24時間の給水サービスを実現するなど、「プノンペンの奇跡」と称される目覚ましい成果を挙げていますが、人口及び商業施設の急増に伴い、上水道施設の安定的な供給と効率的な運営維持管理が課題となっています。本計画により、水需給がひっ迫するプノンペンにおいて、プンプレック浄水場の上水道施設を拡張することにより、給水量の増加を図り、もってプノンペンの住民の生活環境の改善を通じた、カンボジアの生活の質の向上に寄与することが期待されます。
 感染性廃棄物管理改善計画(供与限度額4.36億円)
 カンボジアでは、ワクチン接種に伴い医療廃棄物の量が増えているものの、焼却炉がレンガ製であることで温度管理ができないなど医療廃棄物管理が徹底されておらず、感染性廃棄物の不適切な投棄等が生じています。本計画は、カンボジアの29か所の公的医療施設において、感染性廃棄物処理設備の整備を行うことにより、感染性廃棄物処理の強化を図り、もって健康被害の軽減に寄与することが期待されます。また、本計画は、新型コロナウイルス感染症の流行が急性期を過ぎた後も日本が引き続きコロナ関連支援で国際社会をリードすべく、本年5月に林大臣が発表した「途上国に対する経済再活性化・人的往来再開支援」の3本柱の一つ(感染性廃棄物処理)を具現化するものです。
(写真は、AKPより。署名式の様子)

外務省の新聞発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_001154.html

JICAの新聞発表
https://www.jica.go.jp/press/2022/20221115_10.html


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日本カンボジア首脳会談 外交70周年記念ロゴも

2022年11月16日 | 経済
 11月12日、ASEAN関連首脳会議出席のためカンボジアを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、カンボジアのフン・セン首相と首脳会談を実施しました。両首相は、今年3月、4月にも首脳会談を行っています。
 会談後、両首脳は、カンボジアに対する4件の無償資金協力案件の交換公文の署名及び豊田通商とカンボジア経済財政省との間のカンボジアの自動車産業の発展に向けた協業に関する覚書の署名に立ち会い、その後、共同記者発表に臨みました。
 会談で、岸田首相は、国際社会が多くの難問に直面する中、フン・セン首相がASEAN議長として適切に対処し、更にはミャンマー情勢の事態打開に向けて尽力をされていることに敬意を表しました。これに対し、フン・セン首相からは、日本からのASEAN議長国としてのカンボジアへの支援に感謝する、岸田総理と共に様々な地域・国際情勢への対応について緊密に連携していきたいと発言がありました。
 二国間関係については、両首脳は、近年の両国の協力の進展を踏まえて、来年の外交関係樹立70周年の機会に両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることに合意し、これを機に両国関係をさらに飛躍させていくことで一致しました。安全保障協力については、岸田首相は、今後もカンボジアに艦艇を派遣し、隊員のリアム基地訪問や親善訓練を進めていきたい、と述べ、両首脳は、安全保障分野における様々な協力を推進していくことを確認しました。経済関係については、岸田首相は、官民を挙げてカンボジアの産業の発展と産業人材育成に協力していくと述べ、フン・セン首相から、日系企業によるカンボジア経済・産業への貢献について高く評価し、日系企業の投資をさらに誘致していきたいと発言がありました。また、両首脳は、新たな協力分野であるサイバーセキュリティ案件を含む無償資金協力4件が署名に至ったことを歓迎しました。岸田総理は、今後も5Gネットワーク構築や、人材育成で連携していく、また、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の実現に向けて連携していきたいと述べました。民主主義・人権分野については、岸田首相から、日本は引き続きカンボジアの民主的発展を後押ししつつ、来年7月の総選挙が自由・公正かつ国民の多様な声を反映した形で実施されることを期待すると述べました。フン・セン首相からは、自由で公正な選挙の実施に向けて努力していくとの発言がありました。また、岸田首相から、来年の日カンボジア外交関係樹立70周年を、観光も含めより多くの両国民が交流する年としたいと述べました。70周年記念ロゴもこの場で発表されました。
 地域・国際情勢に関連しては、まずウクライナ情勢について、岸田首相から、カンボジアが10月に国連総会で採択された決議でも日本と共に共同提案国入りしたことを高く評価する、ロシアの核兵器による威嚇は断じて受け入れられず、ましてや、核兵器の使用は決してあってはならない、国際社会が一致して明確なメッセージを発することが不可欠であると述べました。これに対して、フン・セン首相より、核兵器使用については明確な反対のメッセージを出す必要がある、またウクライナに関する国連総会決議の共同提案国となったところであると述べました。また、両首脳は、ウクライナを含む第三国における地雷対策に協力していくことで一致しました。地域情勢に関連して、両首脳は、北朝鮮情勢及び東シナ・南シナ海情勢についても意見交換を行いました。その中で岸田首相は、北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題への対応において、カンボジアが一貫して日本国民に寄り添う立場を示していることに謝意を表明し、今後も連携していきたいと述べました。これに対し、フン・セン首相は、日本の上空を通過するものを含め、北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難する、拉致問題の即時解決に向けて協力していきたいと述べました。
(写真は、AKPより。70周年記念ロゴ)

外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea1/kh/page1_001397.html


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ERIA 包括的アジア開発計画3.0 シンポジウム開催

2022年11月15日 | 経済
 11月9日、東アジア・ASEAN経済研究センター(The Economic Research Institute for ASEAN and East Asia: ERIA)は、「アジア総合開発計画(CADP)3.0」に関するシンポジウムを、プノンペンのハイアットリージェンシーホテルで開催しました。シンポジウムには、パン・ソラサック商業大臣他多数の関係者が参加しました。
 この総合開発計画策定には、ERIA関係者に加え、ASEAN各国から著名なエコノミスト等が参加しました。カンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストの鈴木博もカンボジア及びハード・インフラ担当メンバーして参加しました。
 ERIAでは、アジア総合開発計画1.0を2010年に策定し、ASEAN首脳会議に提出しました。2015年にアジア総合開発計画2.0を策定し、更に2020年に同3.0を策定する予定でした。3.0については、新型コロナの影響もあって2年遅れの発表となりました。それぞれの計画でリストアップされたインフラ事業は順次完成しています。アジア総合開発計画1.0では、国際的生産ネットワークに注目し、同2.0では各国間の連結性に重点を置きました。アジア総合開発計画3.0では、IT化が進む現状に鑑み、イノベーティブ産業にも配慮した計画となっています。今回の計画では、全体で779件(うちカンボジア40件)のプロジェクトがリストアップされています。なお、計画書は、英文で500ページを超える大冊です。今後、日本語版も作成される予定とのことです。
 アジア総合開発計画3.0では、国際生産ネットワークの競争力を維持しつつ、デジタル化を活用していくことが重要となると指摘しています。具体的には、統合(貿易振興、連結性の向上、ハード・インフラ整備、デジタル連結性等)、イノベーション(イノベーション・システム、スキル開発、バリューチェーン、スマートシティ等)、包括性(包括的成長、中小企業、保健、食料と農業等)、持続可能性(エネルギーインフラ開発、環境と持続可能性)の4点を重視するとしています。
 カンボジアは、これまで近隣国との連結性を強化することにより、国際的サプライチェーンを活用した外資導入が成功してきました。今後は、ITを活用したイノベーティブ産業に期待が集まるところです。そのための電力や通信等の基礎インフラ整備とともに、人材育成やスタートアップ支援が重要な施策となってくるものと見られます。

東アジア・ASEAN経済研究センターのサイト
https://www.eria.org/publications/the-comprehensive-asia-development-plan-cadp-30-towards-an-integrated-innovative-inclusive-and-sustainable-economy/


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2022年11月14日 | 一般
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生産性向上国家政策枠組を発表

2022年11月14日 | 経済
 11月3日、カンボジア政府は、生産性向上国家政策枠組2022年~2035年(the National Policy Framework on Productive Economy 2022-35)を発表しました。式典には、オウン・ポン・モニロット経済財政大臣、チャム・プラシット工業・科学・技術・革新大臣、パン・ソラサック商業大臣、ソク・チェンダ・カンボジア開発評議会事務総長等が参加しました。この政策により、カンボジア経済の生産性を向上させ、投資誘致や貿易促進につなげたいとしています。カンボジア経済生産性委員会委員長であるオウン・ポン・モニロット経済財政大臣は、この政策実施により、生産、サービス、貿易、投資等の面でカンボジアの競争力を改善し、高付加価値経済を目指すと述べています。具体的には、労働者の能力開発やイノベーティブ人材の活用を図るとしています。
 2015年に発表されたカンボジア産業開発政策でも、経済多様化、競争力強化、生産性向上を通じてカンボジアの産業開発を促進するとしています。2025年のGDPにおける第二次産業の比率の30%以上への引上げ、縫製品に偏った輸出品目の多様化、地場中小企業支援を三本柱として、これまでの労働集約型産業から、熟練労働者による産業へと構造転換を図るとしています。
 現在、カンボジア経済の主力エンジンである縫製産業や、日系企業による自動車・電機部品製造においても生産性の向上は、競争力向上のためにも必要不可欠です。しかし、次のステージでは、カンボジアは、周辺に中国・タイ・ベトナムといった強力な競争相手がいるため、これらの国と重複する産業(白物家電や自動車、鉄鋼や石油化学)は、期待薄となります。そのため、開発の王道のこれらの産業を飛ばして、IT・フィンテック等のイノベーション産業に進む必要があると見られます。この観点からも、IT人材等の能力開発とイノベーティブ人材の育成・活用が重要となるものと見られます。カンボジア政府が、この政策を地道に実施することにより、カンボジアの生産性向上と産業構造の転換が着実に進んでいくことが期待されます。
(写真は、経済財政省のフェイスブックより)



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独立記念日2022

2022年11月13日 | 社会・風土
 11月9日は、カンボジアの第69回の独立記念日でした。1953年11月9日に、故シアヌーク前国王陛下のご尽力(「独立十字軍運動」と呼ばれています)により、フランスからの独立を果たしました。独立を目指して1953年4月から5月にかけて、故シアヌーク前国王陛下は、フランスから、カナダ(モントリオール)、アメリカ(ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ホノルル)を経て、日本(東京)まで、各国で独立キャンペーンを行われました。日本では、昭和天皇陛下ともお会いになっています。日本も外務省を中心に様々な協力を行いました。この東京滞在中にフランスから大きな譲歩を勝ち取り、5月13日に帰国され、半年後に独立宣言に至りました。なお、ご帰国当日にシハモニ国王陛下が誕生され、故シアヌーク前国王陛下は「東京は素晴らしい」として、お生まれになったばかりのシハモニ国王陛下の幼名を「トーキョー」と名付けられたとのことです。
 第二次大戦末期の日本軍による仏印処理(1945年3月~)により、インドシナ3国は独立を認められ、カンボジアも1945年3月12日に故シアヌーク前国王陛下が王位につかれて、独立を宣言しました。しかし、終戦後にフランスに再進駐され、再度フランスの保護国となってしまいました。それでも、故シアヌーク前国王陛下は、日本の支援を受けた1945年のこの独立が果たした役割は大きかったと述懐されていたそうです。
 独立記念日には、独立記念塔で記念式典が開催されました。シハモニ国王陛下、フンセン首相は、暑い中ずっと歩かれ、お疲れになられるのでは無いかと心配になるほどでした。今や、米中冷戦の狭間にあって、綱渡り外交を続けているカンボジアですが、覇権国に飲み込まれることなく、真の意味での独立を維持していくことが重要と見られます。
(写真は、AKPより。プノンペンの独立記念塔で開催された記念式典)


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水祭り2022 今年もプノンペンでのイベントは中止

2022年11月12日 | 社会・風土
 11月7日から11月9日までは「水祭り」の連休でした。今年は、直後にASEANサミットを控えているため、プノンペンでのボートレース、夜のエレクトリカル船や花火等のイベントが中止となりました(最終日の11月9日は独立記念日と重なったため、花火が実施されました)。水祭りのイベントは、これまでも様々な理由で中止されており、ここ12年で7回目の中止となります。2010年の水祭りの最終日の晩に将棋倒し事故で300名以上が死亡したことや、シアヌーク前国王陛下御逝去等も重なって、2011年から3年間はイベントが行われませんでした。2015年は干ばつの影響で、プノンペンではまたボートレースは中止となりました。2020年と2021年は新型コロナの影響でイベント中止となりました。なお、シェムリアップやカンダール等では、イベントが実施され、小規模なボートレースも開催されたところもあり、多くの人出で賑わっていました。
 プチュンバン(お盆)とは逆で、通常ですと地方からたくさんの人たちがプノンペンに集まります。今年は、プノンペンでのイベントは中止でしたが、リバーサイドや王宮前は多くの人出で賑わっていました。出店や物売りが集まり、楽しい雰囲気でした。芝生に座って楽しむグループや家族連れも数多く見られました。トンレサップ川は、例年通り順流に戻り、流れも相当に早くなっていました。
 カンボジアは、アフターコロナの様相で、様々なイベントが復活しているのは、本当にうれしく思います。


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RCEP 10周年記念フォーラム プノンペンで開催

2022年11月11日 | 経済
 11月2日・3日、プノンペンで、東アジア・ASEAN経済研究センター(The Economic Research Institute for ASEAN and East Asia: ERIA)主催のRCEP(地域的な包括的経済連携)に関するハイレベルフォーラムが開催されました。フォーラムには、フン・セン首相、パン・ソラサック商業大臣、ERIAの西村英俊総長他多数が参加しました。
 今回のフォーラムでは、RCEP交渉開始から10周年となる機会をとらえて、RCEPの業績、得られた教訓等について議論されました。また、RCEPの活用を促進するための方策や、RCEPを国内の構造改革や地域統合に活かしていく方策等も議論されました。更に、サービスの自由化、投資・貿易の促進、RCEPと生産構造、国境の課題等について、各国の専門家による専門的な議論も行われました。
 また、ERIAが作成した「RCEPと東アジアのダイナミズム: 地域統合の枠組み(Dynamism of East Asia and Regional Comprehensive Economic Partnership (RCEP): The Framework for Regional Integration)と題する報告書も発表され、ERIAの西村総長からフン・セン首相に提出されました。
 RCEP協定は、関税の削減などを通じて貿易の自由化を進める協定で2020年11月に15カ国が署名し、2022年1月1日に発効しました(インドネシアは2023年1月に発効予定。ミャンマー・フィリピンは未発効)。参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計は世界の3割を占める規模となります。環太平洋経済連携協定(TPP)に比べると貿易自由化率やルール水準は低いものの、中国が参加する唯一の大型自由貿易協定となります。また、物品貿易の関税削減に留まらず、サービス貿易、人の移動、知的財産権、紛争解決等を包括的に定めたRCEPが、アジア地域では主たる協定となると見られます。
 カンボジアについては、政府はRCEPの効果は大きいと期待を示しているものの、RCEPがカンボジアにどの程度の輸出拡大効果をもたらすかは、今後の推移を見守る必要があるものと見られます。
 なお、フン・セン首相は、RCEP事務局をカンボジアに誘致したいと再度強調しており、今後の各国による協議結果が期待されます。
(写真は、AKPより。フォーラムで基調講演を行うフン・セン首相)

ERIAのサイト(英文です)
https://www.eria.org/events/rcep-10-year-anniversary-reminiscing-the-journey-of-rcep-and-launching-of-eria-book-dynamism-of-east-asia-and-regional-comprehensive-economic-partnership-rcep-the-framewo/


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銀行・マイクロファイナンス 預金増加 ASEAN貯蓄の日

2022年11月10日 | 経済
 10月31日、シェムリアップで、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、ASEAN貯蓄の日(ASEAN Savings Day)のイベントを開催しました。イベントには、NBC、カンボジア銀行協会、カンボジアマイクロファイナンス協会等の関係者多数が参加しました。このイベントは、ASEAN加盟諸国の行事の一環として実施されたものです。
 今回のテーマは、「少ない貯金でも、無いよりはまし(Little Saving, better than not)」で、金融リテラシーの低いカンボジアにおいて、金融サービス、特に貯金の有用性を紹介する教育ビデオが発表されました。また、認可された公式な金融サービスや金融商品に関する展示や、貯蓄文化や貯金の重要性、金融リテラシーの向上等に関する展示も行われました。
 また、イベントでのNBCの発表によりますと、カンボジアにおける預金残高は大きく伸びているとのことです。預金残高総額は、2021年末の385億ドルから、2022年9月末には415億ドルと7.8%増となっています。この金額は、カンボジアのGDPの160.6%に相当します。また、預金口座数も、商業銀行1170万口座、マイクロファイナンス260万口座の合計1430万口座に達しているとしています。
 カンボジアの農村部等では、金融機関へのアクセスが困難で、金融包摂の障害となっていましたが、最近のモバイルバンキング等のフィンテックの進展により、預金口の開設や電子支払、スマホ送金等のサービスが利用しやすくなっています。また、貧困層から一旦脱却しても、また戻ってしまうようなケースを防止する観点からも、国民全体に貯蓄文化を広めていくことは重要と見られます。NBC等による教育・広報の拡充に向けた継続的な努力が期待されます。
(写真は、カンボジア国立銀行のフェイスブックより)

カンボジア国立銀行のフェイスブック(クメール語です)
https://web.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial


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アジア開発銀行 カンボジア電力公社と太陽光発電アドバイス契約

2022年11月09日 | 経済
 11月2日、アジア開発銀行(ADB)は、カンボジア電力公社(EDC)と、太陽光発電に関する取引アドバイスサービス契約に調印したと発表しました。この契約により、EDCが実施する2ギガワット(2000MW)規模の太陽光発電開発を支援し、カンボジアが目標としている2050年までのカーボンニュートラル達成を目指すとしています。
 この契約に基づき、まず2030年までに開発可能な太陽光発電事業に関する調査を実施します。この際、電池・蓄電システム(Battery Energy Storage System: BESS)の活用も念頭に置くとしています。また、100MW級のパイロット事業において、BOT方式で受託する民間企業の選定・入札に関する支援も行う計画です。パイロット事業は、1億ドル以上の投資を呼び込むことにもつながり、その後の民間企業選定のモデルとなることが期待されています。アジア開発銀行では、太陽光発電の増加により、電力料金の低減やエネルギー安全保障の改善に寄与するとしています。ただ、系統安定のためには、電池・蓄電システムの開発も欠かせないと指摘しています。
 2021年末のカンボジアの電力設備容量は合計3033MWであり、このうち太陽光発電の設備容量は376.8MW(全体の12.4%)となっています。今後、太陽光発電だけで2000MW増を達成するというのは、かなり野心的な計画と見られます。しかし、カンボジア政府も脱炭素を目指して石炭火力発電所の新規開発は行わない方針を決定しており、太陽光発電等の持続可能型エネルギーの活用を図る必要があるものと見られます。
(写真は、アジア開発銀行の発表より)

アジア開発銀行の発表(英文です)
https://www.adb.org/news/adb-edc-sign-mandate-2-gw-solar-and-battery-storage-power-program-cambodia


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中国系の石炭火力発電所 シアヌークビル郊外のスタンハウで稼働

2022年11月08日 | 経済
 新聞報道によりますと、11月1日、シアヌークビル郊外のスタンハウで建設が進められてきたカンボジア華電西港発電有限公司の石炭火力発電所(350MW×2基)の最初の発電ユニットが稼働したとのことです。同日に、国営カンボジア電力公社(EDC)が求める全負荷性能テストに無事合格し、操業・発電を正式に開始しました。この発電所は、350MWの超臨界石炭火力発電ユニット2基、合計700MWでの設備容量で、カンボジア最大の火力発電所となります。付帯設備として、8千トン級石炭バース、および2千トン級重量バースも建設されています。
 2021年の電力供給の内訳は、国内での発電量が73.5%、ベトナム、タイ、ラオスからの輸入電力が26.5%となっています。国内の内訳は、水力45.0%、石炭火力45.7%、石油火力5.2%、太陽光発電3.4%、バイオマス0.8%となっていました。カンボジアも脱炭素を目指して、新規の石炭火力発電事業は認可しない方針であり、石炭火力発電の新増設はこれが最後となる見込みです。
 シアヌークビル港の北に位置するスタンハウには、石炭火力発電団地が形成されています。マレーシア系のCELは、当初の100MWに加えて東芝プラントが建設した150MWの増設が完成しています。また、中国系のCIIDGでは、これまで405MW(135MW×3基)の石炭火力発電所を完成させています。今回、更に700MWが加わることとなります。これまでは、日本の円借款で整備された230KVの送電線でプノンペン方面に送電されていましたが、電力需要の増大に対応して、スタンハウとプノンペンを結ぶ超高圧送電線(500KV)も建設中です。カンボジア初の500KVの超高圧送電線は、高速道路沿いで建設が進んでおり、完成間近と見られます。
(写真は、正式稼働前、10月17日撮影)



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2022年11月07日 | 一般
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2022年第3四半期 カンボジア信用機構報告 消費者向け信用は微増

2022年11月07日 | 経済
 11月1日、カンボジア信用機構(CBC)は、消費者信用指標四半期報告(2022年第3四半期)を発表しました。CBCは、多重債務者を防止する目的で、金融機関から集めた信用情報を集積し、各金融機関の貸付審査にその情報を提供しています。四半期報告では、消費者信用申請状況、消費者信用供与状況、消費者信用の不良債権情報等を取りまとめています。
 今回の報告では、消費者信用申請については、対前期比で、件数は5%増、金額は3%増となりました。その内訳は、個人向け貸付が件数5%増、金額4%増、住宅ローンは件数3%増、金額2%増、クレジットカード利用は件数4%増、金額8%増となっています。
 消費者信用供与状況では、消費者信用借入人数が、対前期比3.8%増の約149万人となっています。残高は、前期末比5.8%増の137.9億ドル(約2兆270億円)となりました。
 不良債権比率は、2020年第1四半期1.61%、第2四半期2.64%、第3四半期2.42%、第4四半期1.91%、2021年第1四半期2.24%、第2四半期2.57%、第3四半期2.56%、第4四半期2.03%、2022年第1四半期2.35%、第2四半期2.47%、第3四半期2.60%と推移しています。借入人の28.9%が複数の機関から借り入れを行っています。新型コロナの影響で返済に困っている借入人については、各金融機関が返済期限の延長等に応じてきましたが、この支援措置が6月末で終了したことに伴い、不良債権比率がじわりと上昇しており、今後更に上昇する懸念があります。
 新規貸付需要は、2021年第1四半期・第2四半期は新型コロナの国内感染の拡大を受けて伸び悩んでいました。4月以降のロックダウン等の影響を受けて、継続的な貸付低迷の懸念がありましたが、段階的な規制緩和を先取りする形で2021年第3四半期は、大きく盛り返しました。2021年第4四半期~2022年第3四半期は、概ね横ばい状態でした。
 なお、こうした基礎情報が、定期的に公開されることは、金融セクターの健全性維持の観点からも重要性が高いものと見られます。

カンボジア信用機構の発表(英文です)
https://www.creditbureau.com.kh/press/consumer-credit-index-report-quarter-3-2022-released-november-2022/


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おじさんも行きやすい美容室 Heart Hair Salon

2022年11月06日 | 生活環境
 プノンペン中心部、バンケンコンにある美容室「Heart Hair Salon」です。日本人のスタイリストさんのお店です。場所は、牛角の並びです。お店は、大きくはありませんが、白を基調とした明るい造りです。おじさんにとって、美容室に入るというのはそれなりに勇気がいるのですが、こちらで担当してくださったAKIさんは、明るくて朗らかな方なので、一気にハードルが下がりました。今回は、カットとヘッドスパをお願いしました(セット料金25ドル)。メンズのカットも相当のご経験があるそうで、技術もセンスも素敵で、パーフェクトな仕上がりでした。カンボジアには、値段も安い普通の床屋さんも数多くあるのですが、髪の毛に不安があるおじさんとしては、日本のスタイリストさんのいる安心できるお店でカットしたいと思い、日系のお店に伺っています。こちらはお勧めです。ぜひお出で下さい。
(写真は、Heart Hair Salonのフェイスブックより)

Heart Hair Salon
https://web.facebook.com/heartphnompenh


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隠れ家的なジン・バー MAWSIM

2022年11月05日 | 生活環境
 プノンペン北部、プノンペン駅近くの隠れ家的なジン・バー「MAWSIM」です。場所は、プノンペン駅近くの古いビルの2階です。相当に見つけにくいので、ご留意ください。なお、完全予約制です。店名とジンの名前となっている「MAWSIM」はアラビア語で「季節」の意味とのことで、季節風(モンスーン)の語源だそうです。日本の方が、ホテイアオイから抽出したアルコールを基に、このお店で醸造・生産されています。バーは、素晴らしい雰囲気で、奥に蒸留設備・瓶詰設備等があります。「昼は蒸留所兼オフィスとして機能し、夜はテイスティングバーとしてMAWSIM世界の門戸を開きます。」とのことです。バーに着いて、一息つくと、ジンの基礎知識や奥の醸造設備について説明していただけます。メニューはお任せ(8品)のみですが、素敵で美味しいお料理が続きます。ジンは、最初に味を比べるテイスティングセットが出た後、飲み放題となっています。ジンは40度以上の強いお酒ですので、思わず飲み過ぎることもありますのでゆっくりペースでどうぞ。お値段は、セットメニューにジン飲み放題も付いて、40ドルとリーズナブルです。お勧めです。ぜひお試しください。予約制ですのでご留意ください。

MAWSIM
https://www.facebook.com/mawsimkh

ブログ「カンボジア経済」2022年9月1日「日系企業 カンボジアでバイオエタノール製造プラントを稼働開始」
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/648d1b5559e7340f37d15ea06e0cdffb

MAWSIMジン(2種類あります)とセンスの良いお料理。


テイスティング。相当に味が違います。でも、酔っ払います。


当初使っていた銅の蒸留窯。味があります。



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