英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第65期王将戦第2局 その3「郷田九段、驚愕の辛抱」

2016-01-31 16:32:15 | 将棋
第65期王将戦第2局 その1「深謀遠慮の▲1八香」
第65期王将戦第2局 その2「手順前後の周辺」の続きです。

 前回の補足から

「△8六歩~△6五歩と手順前後したため、△6五歩の瞬間に角交換をされて▲6五歩と手を戻されると、△6六歩が利かない。5七への角成りがない為、▲6六同金と取れる。▲7七角もありそう」と述べた。

 その点について、もう少し。
 図で▲6六同金もあるし、▲7七角(変化図6)もありそう。

 △3三銀なら▲6六角と歩を取れば、本譜の展開より1歩得。
 △3三角なら▲6六金で、後手の角(角頭)が負担になりそう。また、△3三角▲6六角として、△6六同角▲同金と進めば、変化図5で▲6六同金と取るのと同じになる。


 △6六歩が利かないので、本譜は△4七歩成。


 △3八角があるので飛車で取り難いと思われたが、▲4七同飛
 △3八角に▲6六角△3三銀を決めて、一転▲4八飛と飛車をかわす(第4図)。


 ▲6六角は後手の突き捨てによって生じた好点の角打ち。ただ、△6五銀などの後手からの攻めの当たりが強い弱点もあり、▲7七角も考えられた。
 ▲4八飛では、「両取り逃げるべからず」と▲3五歩と後手玉のコビン攻めを急ぎたいが、桂を取らせる代わりに1手を稼げば、▲3五歩が間に合うと見ている。羽生名人の正確な距離感と柔軟な指し手が現れた手である。

 ▲3五歩に対する郷田王将の次の一手が驚愕の辛抱

「えー、玉引き! 辛抱しましたねえ、これは。▲3四歩△2二銀の形は勝っているところを見たことがないんですけど、郷田さんは辛抱されましたね。さすが王将といった感じで、この手は指せない手です。凄まじい辛抱ですね」(森下九段・中継解説)
「仮に▲3四歩△2二銀となると、後手側から見るとかなりの辛抱です」(畠山鎮七段・中継解説)


 △3一玉では、△4四歩と受ける手や△6五銀と攻め合う手が考えられたが、どちらも苦しそう。
 とはいえ、△3一玉▲3四歩△2二銀は相当な屈服。後手を引きながら壁銀になる後手に対し、先手は歩を取りながら3四に歩の拠点を作る。このプラスマイナスはとてつもなく大きいと思える。あの森下九段でさえ「この手は指せない」と言っている。
コメント
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