英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2019世界柔道 ~やはり疑問の奥襟(背中)掴み~

2019-08-27 21:32:22 | スポーツ
第1日に続いて第2日も色々と考えてしまう事項が多かった

奥襟に関する疑問
 第1日の記事や過去記事でも述べたが、奥襟を取られた時点でかなりの劣勢状況に陥ってしまう。
奥襟を取る利点
・相手を制御する押さえつける力が出やすい
・大外刈りのような大柄な選手が向いている技を掛けやすくなる

【奥襟をつかまれた相手の立場から言うと】
・動きを制御される
・うつむきになりがちになるので、視界が狭くなり、相手の動きが分かりにくい

         
 “消極的”“防御姿勢”などの「指導」を取られやすい

 この奥襟を取る組手は、“上背がある”、“リーチがある”、“腕力がある”という条件が必要。この要件を満たす外国選手に日本選手が奥襟を掴まれ、苦戦するシーンをよく見かける。
 さらに、この体勢を逃れるために押さえつけられた首を抜こうすると“首抜き”の「指導」を取られてしまう。
 柔道は組み手がかなりのウエイトを占め、激しい組み手争いが行われる。通常の組手の場合、相手の有利な組手を嫌って、引き手や吊り手を切るが、この奥襟に関してはなかなか切るは難しく、先述した“首抜き”の指導もあるので、奥襟を掴まれた時点で、かなり不利な状態と言える。《奥襟を取らせなければよい》とか《取りに来たところを技を掛ける》という考え方もできるが、なかなか実践するのは難しいようだ。

 しかし、なぜ、“首抜き”が「指導」になるのだろうか?
 普通の組み手争いで、相手の引き手や吊り手を切るのがOKならば、“首抜き”もOKなのではないだろうか?

 しかも、私の観ている限りでは、奥襟を取った選手が決めにいく技を掛けるシーンをほとんど観たことがない。攻めるふりをしていれば、そのうち、相手に「指導」が与えられるからであろう。
 

 第2日の選手では、女子52kg級のケルメンディ選手(コソボ・リオ五輪金メダリスト)が奥襟の使い手。
 準々決勝でも志々目選手を指導3つの反則負けに追い込んでいる。

 そして、準決勝、阿部 詩-ケルメンディ戦
 この試合、阿部も奥襟を掴まれて、指導を2つ取られてしまう苦戦。(試合全体では阿部が攻勢を取っていた。ケルメンディも指導2つ)
 奥襟対策として、解説者は「腕を支えにして相手との距離を確保し、徐々に体をずらしていくのが良い」(相対するような向きにずらすと言っていたような気がする)と述べていたが、それでも、腕をつっかえ棒にした姿勢が続いたため“指導”を2度取られてしまった。

 このまま、試合が長引けば、いずれ指導3つによる「反則負け」に陥ってしまう流れだったが、相手を寝技に引き込み、上手く回転させ、抑え込み一本を取り勝利。(ゴールデンスコア・3分45秒)
 阿部の地力を感じた試合だった。

 決勝戦・クジュティナ(ロシア)戦では、30秒弱で袖釣り込み腰で一本勝ち!

 志々目選手は、5月に右足を負傷し、完全回復してはいないようだった。


男子66kg級準決勝 丸山城志郎-阿部一二三
 序盤から阿部が積極的に技を仕掛け、丸山の身体を浮かしたり投げたりするシーンがあったが、不完全でポイントには至らず。
 さらに、丸山が右足を痛め、足を引きずる。勝負は阿部のモノかと思われたが、丸山は持ちこたえ、ゴールデンスコアに持ち込んだ。(徐々に丸山の動きが良くなってきたように感じた。逆に、阿部の動きにキレがなくなったように感じた)
 ゴールデンスコア開始後は、阿部が攻勢を取り、時折、丸山が反撃する展開。
 阿部は指導を2つと丸山を追い詰めていたので、もう少し攻勢をとれば、反則勝ちを得ていたのではないだろうか?ただ、技を出していたが、組み手に入る前は常に引き足だったので、丸山が消極的に見えなかった。

 試合の流れを変えたポイントは2点。
 ひとつは、丸山が指の負傷を訴え、絆創膏を捲くインジュアリータイムを取ったこと。この直前、阿部が2度攻勢を取っていたが、このタイムでその試合の流れが分断されてしまった。
 もうひとつは、ゴールデンスコア2分過ぎから丸山が繰り出した“内股”。特に2度目の内股には阿部も一瞬腰を浮かされた。
 もともと阿部は丸山の“内股”には注意をしていたが、これにより、阿部はやや動揺し、内股への警戒心が強くなった。それが、丸山のもう一つの得意技、“巴投げ”や“墨落とし”への注意を怠ることになってしまった。
 それを見透かしたように丸山が“墨返し”を仕掛ける。阿部は畳に引き込まれ、さらに、畳み掛けるように丸山に足を使われ身体を仰向け近くに回転させられてしまった。



 阿部にとって不運だったのは、準々決勝の相手が手強かったこと。
 ヨンドンペレンレイ(モンゴル)、足腰が強く、背筋もあり、腕力もあり、手足も長い。非常に厄介な相手だった。
 何とか、終了間際に“技あり”で勝利したものの、若干、消耗したのかもしれない。
 
コメント
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