英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

科捜研の女 season20 第1話「榊マリコになれなかった女」

2020-10-26 23:31:59 | ドラマ・映画
 『科捜研の女』に関しては、《科学捜査とマリコの飽くなき真相究明心》《そんなマリコに振り回される他のメンバー》が楽しめればいいと思っているが、実は私の評価は高い。
 心に迫る人情話であったり、奇想天外な意表を突く事件の真相だったり、分析や推理で頭を絞るスリリングな爆弾モノ、意外な死因の解明話とバラエティに富んでいる。推理や捜査も楽しめる。
 しかし、時折、納得できない動機やトリック、都合よすぎる展開や、万能すぎる科学捜査に疑問や不満を感じることがあり、今回はその範疇に入る。(楽しめたけれど…)


 とにかく、いろいろと強引な展開だった。
➀ドラマ冒頭、範子(里吉うたの)が廊下で星名瑠璃(大久保佳代子)を呼び止め「先生、話しておきたいことがあります」と切り出し、瑠璃は「なあに?」とそれを受けていたが、結局、相談に乗らなかったようだ。瑠璃の偽の殺害動機を語らせなければならないため、そんな会話にしたのだろうが、整合性がない。
②範子が犯人に追いつかれた場所は、割と広い山道の途中だったが、捕まりそうになった範子が、それを振り払おうとした時にバランスを崩し、犯人の持っていたザイルをつかもうとしたが、つかみ切れず、後ろに倒れたが、なぜか崖が出現(本来は山道のはず)、転落死。
③範子はザイルパートナーの由香(高田夏帆)にも、相談する機会が十分にあったはずだが、打ち明けずに終わってしまった。
④事件時、範子のザイルパートナーの友人が、「大変ですっ。カラビナから知らぬ間にザイルが抜けてしまっていたぁ!」という感じで、山岳部顧問の井ノ口聖子(あめくみちこ)に訴えていたが、あり得ない状況説明であろう。命を落としているのだから、警察や遺族はもっと追及するところだろう。“疑問の残る事故死”って(笑)
 普通に「訓練に真剣みを感じず喧嘩して別れて、その後、彼女の姿が見えなくなった」で良いのでは?
⑤土門たちが、井ノ口に事情聴取する際、瑠璃の顔写真を見せたが、範子の転落死についての聴取と知っているのに「誰です?」と分からないのは不自然。
 しかも、犯人の疑いありと聞いた途端、「そんな…逮捕して!刑事さん、彼女を!必ず逮捕してください!」と叫ぶ。そこまで、心が激震する理由があるのかと思ったが、特に語られず。後日談的に、“登山の一番の喜びは、登るたびに彩りを変えていく自然の美しさだ。まるで、自然がスポットライトを浴びているように見える」と言っていたと伝聞的に土門が語るだけで、再登場は無し。まあ、最後のマリコ&土門の屋上の会話シーンなので、伝聞になるのは仕方がないのかもしれないが、あめくみちこの無駄遣いだ。
⑥瑠璃が事件を蒸し返した直後に、真犯人が起こしたもう一つの殺人の被害者の白骨が発見されるという、非常に都合の良い脚本
⑦真犯人は、わざわざ瑠璃を探し出して、事件を蒸し返したのだろうか?
 瑠璃が範子から死体遺棄を目撃したことを告げられているかもしれないと思い心配になったと言うが、10年間、何も騒がなかったのだから、近づかなけばいいのに。

⑧当時も現在も、由香はやたら情緒不安定
⑨今回、土門はやたら証言の言葉尻を捉えるのがうまかった
⑩(証拠になるような証拠品のザイルを10年も処分しなかったのは何故か?という問いに)
「できるはずないだろっ。大切な記念品を!」
 この言葉を受けた土門が「意味が分からない。わかる気もないがな。…逮捕だ」はナイスだが、犯人が10年も処分しなかったのは、脚本家の都合だろう。10年後の現在、瑠璃が山中に埋めるという行為が必要だったから。
 そのため、犯人をサイコパス的な素養が必要だった。
⑪サブタイトル「榊マリコになれなかった女」、予告CMにも使われた土門のセリフ「あの女に操られるな」とか、視聴率アップたための呼び込み

 上記のように、疑問の多いストーリーだったが、実証実験で暴れる?マリコは面白かった……

 ………カラビナの過重負荷鑑定で「壊れていない」という鑑定が出たのに、現地まで行って実証実験を行ったマリコ。
 風間たちが「危ないからやめてください」と懇願しているのに、意に介さず、ザイルをつかんで崖を蹴ってアクションを楽しむマリコ。
 鑑定結果を信じているからなのだろうが、ザイルを保持して支えてるのは風間で、彼の手からすっぽ抜ける可能性は低くないと思うのだが。
 でも、面白かった。

 次回予告で、マリコが「栄養をたくさん摂ると、ええよう」………

【ストーリー】番組サイトより
 「10年前に人を殺しました。逮捕してください」――京都府警に地味な雰囲気の女が自首してきた。土門薫刑事(内藤剛志)や蒲原勇樹刑事(石井一彰)が事情を聴いたところ、その女、星名瑠璃(大久保佳代子)は10年前、非常勤講師として勤めていた女子高の生徒・河合範子(里吉うたの)を、山岳部の登山練習中に滑落死させてしまったと話す。
 きっかけは当時、反抗的だった範子を思わず平手打ちしてしまったこと。瑠璃は、体罰を校長に告発すると脅す範子を制止したい一心で彼女を追いかけたところ、滑落させてしまったと告白。なぜ今になって自首したのかと問う土門に対し、当時は恐怖のあまり打ち明けることはできなかったが、教師としての道も開けずパッとしない毎日を送るうち、人生を諦観して出頭したと心情を吐露する。さらには、自分は女優みたいな名前を持ちながら、人生で一度もスポットライトを浴びたことがないと、ネガティブなつぶやきをもらす…。
 藤倉甚一刑事部長(金田明夫)から、彼女の供述を科学で裏づけてくれと要請された榊マリコ(沢口靖子)ら京都府警科捜研のメンバーは、10年前の鑑識試料を鑑定。被害者の腕時計に、犯人のものらしき血液が付着していたことを突き止める。だが、照合のため瑠璃にDNAの提出を求めたところ、彼女は突如、被害者の血痕がついたザイルを山中に埋めたと言い出し、それさえ見つかれば自分が範子を殺害した証になると主張しはじめる。証拠品となるザイルの捜索のため、そして範子が身に着けていた“カラビナ”の状態を確認するため、マリコは事件現場となった岸壁に赴き、自ら宙づりになってみるのだが…!?
 一方、土門は当時の担任教師・渡辺順吾(池下重大)、山岳部の顧問だった井ノ口聖子(あめくみちこ)、範子とコンビを組んでいた部活仲間・野田由香(高田夏帆)らに事情を聴くが、瑠璃が自首したことを聞いた彼らはそれぞれ異なる反応を示して…!?

脚本:櫻井武晴
監督:田崎竜太
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