英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

鎌倉殿の13人 第38話「時を継ぐ者」

2022-10-03 19:02:27 | ドラマ・映画
今回は疑問点が多かった。まず、その疑問点から(主題を先に書くと、書いているうちに疑問点を忘れてしまいそう)

・りくと時政の対話のシーンと、時政・実朝・和田らの対峙シーンが入り混じって、時系列を掴みにくかった

・りくが憑き物が落ちたかのように観念し、時政の身を第一に考え始めたが、何が契機となったのかがよく分からなかった
 義村が「自分は義時の指示で時政に付いていた」と時政に告げ、時政が義村に頼み事(りくの身の安全)をした。その後、時政とりくが今後の身の振り方を決める(互いの身を案じる)シーンとなる。
 おそらく、この二つのシーンの間に、義村が義時の指示で動いていたことを知り、りくがこの謀はうまくいかないと悟ったのではないだろうか。


・時政の義時への伝言を和田はなぜ忘れたのか?(本当に忘れたのか?)
 和田なら忘れてしまうことも大いにありうるが……でも、本当に忘れたのなら、わざわざ和田の馬鹿さを演出する脚本の意味がよく分からない。そこで……
①「あとは託した――北条を、鎌倉を、引っ張っていくのはお前だ」という時政の遺言のような言葉を義時に告げることは、義時が父・時政を討つことを促すことになるので躊躇った
②「あとは託した――北条を、鎌倉を、引っ張っていくのは義時だ」と家人たちの前で実朝の口から言わせることに意味がある
と考えた。
……でも、和田らしくないなあ。やはり、和田が度忘れしたのか……でも、《和田が伝言を忘れた》シーンを作らなくても、初めから実朝に伝言を頼ませればいいのに……

・義時と時政の今生の別れのシーン……義時は涙を浮かべて、今生の別れになること、父の最期で父の手を握ることができないこと、もっと父と一緒に鎌倉を守っていきたかった事の無念さを訴え、「こういうことになったのは父のせいだ」と悲しんだが、それなら、決定的な決別になる前にこの涙を父に見せればよかったのでは? 父の企みが謀反となるようダメを押したのは義時本人なのでは?
 あ、これまでの義時が時政を追い込んだこと自体は、問題に感じないが、この涙のシーンを挿入するのは、かなり疑問(これに関連して、次の疑問も)

・義時の決意(決着のつけ方)がどこにあったのかが、分からなくなった
①時政を謀反人として殺害する(捕えて処刑 or 攻め入ってその場で討つ)
②時政を謀反人として流罪にする
 これまでの流れだと①だが、時政の処遇は大江広元、三善康信、二階堂行政ら文官に委ね、伊豆への流罪となった。
 この決着から考えると……
《家人の前で政子が娘として時政の助命を義時に懇願》
《政子は家人にも時政の許しを請い、頭を下げる》
一応《嫡男・泰時、異母弟・時房の助命の訴えも退ける》
《実時からも時政の減刑を願われる》
これらの既成事実を積み重ねれば、時政の流刑で決着すると義時は読んだのかもしれない


・りくを暗殺する意味は?
 父・時政はりくの喜ぶ顔を観たくて、謀反を起こしてしまった。
 確かに、りくが焚き付けなければ、こういう事態にはならず、《時政と一緒にこれからも鎌倉を守る》という思いは達せられただろう。
 しかし、りくを失う時政の悲しみ、まして、自分の命で暗殺を行うというのは、あまりにも短絡的な行為だ
 義時がりくの暗殺を命じたのは、時政の鴬話を聞いたからだと推察……「ホーホケキョ」と囀るのは、オスがメスを口説く時だけ(自分はホーホケキョと鳴いてしまった。


★今話の主人公――りく(宮沢りえ)
《その1・権力欲に囚われた悪女》
“痛い目に遭わせてでも、実朝に言うことを聞かせろ”と時政に強要

《その2・夫の助命を懇願する良妻》
時政の「京の朝雅&きく夫妻を頼れ。自分はりくが安全になった後、投降する」旨の言葉を黙って聞き、涙を流す。時政がその場を去った後、義村に「京都には行きませぬ」と告げる。そして…
政子に土下座し、時政の助命を懇願(時政の覚悟…自害の気持ちを察していた)。すべては自分が企んだことと認めた。


《その3・りく、政子、実衣の女子会》
虚勢を張りつつも、過去の思い出話に興じる3人だったが、互いに感謝に異を示した
怖い顔をしていれば男子が生まれるという命心を真に受けた政子の怖い顔(面白い顔)……そう言えば、そういう事もあったなあと思っていたら、エド・はるみのオチ顔ばりの変顔を披露する政子のサービス精神。
 この時、りくは「北条に嫁いで、いい思い出など一つもないわっ」と悪態をついたが……
 
《その3.5・北条家とうまくやっていく秘訣》(のえ に質問されて)
・無理やり馴染もうとしないこと
・北条に嫁いだことを誇りに思うこと(りくは誇りに思っている)

 当事者には本音を言わず、部外者的な のえ に本音を漏らした

《その4・義時の背中を押す母》
「このまま坂東のド田舎で朽ち果てるなんて、まっぴら御免だわ」(と言って、自分の品のないことばに驚く)←あなたはとっくに坂東のおなごだ(by義時)

「手の届くところに大きな力があるなら、奪い取りなさい。何に遠慮しているのです」
「あなたはそこ(執権)に立つべき御人」
←自分を暗殺しようとした義時なのだが……
 執権にならない義時だったが、りくに背中を押されて、執権に。
 義時の執権反対派に、義村が機先を制して、反対の意を義村が発し、それに応えて義時が強い決意を述べる。それを義村が支持…という流れで反対派を封じ込めた

義時執権着任後の最初の仕事は、朝雅討伐。(表向きは時政の謀反に加担の罪)
本人が訴える通り、「鎌倉殿になる意思は全くなかったが、政範(りくの息子)を毒殺、さらに、その罪を畠山重保に被せたのだから、当然の結末。

この討伐は京の意思を全く無視したことになり、後鳥羽上皇は激怒。
北条義時 対 後鳥羽上皇の図式が顕著となった。



第1話「大いなる小競り合い」  第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」     第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」      第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」    第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」       第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」     第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」     第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」     第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」      第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」     第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」      第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」      第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」     第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」    第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」     第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」     第32話「災いの種」
第33話「修善寺」        第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」        第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」  第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」     第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」      第44話「審判の日」


【ストーリー】番組サイトより
激しさを増す北条親子による主導権争い。北条時政(坂東彌十郎)とりく(宮沢りえ)は、三浦義村(山本耕史)に命じて源実朝(柿澤勇人)を屋敷へと連れ込み、鎌倉殿の座を娘婿・平賀朝雅(山中崇)へ譲るように迫る。対する義時(小栗旬)は、泰時(坂口健太郎)、時房(瀬戸康史)、八田知家(市原隼人)らを引き連れ、時政の屋敷を包囲。攻め込む機会を慎重に見定めていた。張り詰めた空気が鎌倉を覆う中、政子(小池栄子)は……

脚本:三谷幸喜
コメント (6)
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