英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

黒田日銀総裁と神田財務官のコメント

2022-10-17 15:41:53 | 時事
1ドル=148円台……円安が加速している
過去にも言及しているが……
「FRBは0.75%の大幅な利上げ、日銀は大規模な金融緩和策を維持……「景気」って2つあるの?」(9月22日)
「岸田総理の政策指針(NHKニュース7にて)などなど……」(6月23日)
……今回、黒田日銀総裁と神田財務官の記者会見や発言が目に余ったので……(ワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議後に行われている)


まず、神田財務官(正式記者会見後の廊下などでの記者団の質問に対して)
「為替の過度の変動 無秩序な動きは、経済に悪影響を及ぼすものである。したがって、過度な変動、特に投機を背景にしたようなものについては、適切な処置を取っていく」
「足元の動き、過度の変動が繰り返される時には、断固たる行動をとる用意がいつもできている」

用意された会見ではなく、ぶら下がり取材と思われるので、きっちりとした回答が用意されていないということもあるが、“過度な変動”という言葉が繰り返されるだけだった。
 為替の"過度な変動”やとか“無秩序な動き”でなくても、高レベルの円安は非常に良くない状況だと考えられる。黒田総裁は口癖のように「超低金利で“景気を下支え”する」と言うが、悪影響の方が大きいとしか思えない。(これについては後述)
 超金利政策によって高レベル(異常レベル)の円安が生じたわけだが、日銀がこの円安を解消しない理由の説明材料を、この神田財務官は持ち合わせていないことが伺えるコメントであった。

そして、黒田日銀総裁  G20財務大臣・中央銀行総裁会議後の記者会見(鈴木財務大臣、黒田総裁、神田財務官が並んで座っていた)
「日本の物価上昇は賃金の上昇を伴っておらず、エネルギー価格上昇などによる一時的なものだ」
「欧米経済はコロナ禍前を上回る回復をしてきたが、日本経済の(上昇の)水準は、そこまで至っていない」
「賃金の上昇といった経済の好循環も生まれていない」
「(“物価は上がらない”との)社会の考え方を変え、賃金上昇を伴った持続的な物価安定目標を実現するには、経済を下支えする必要があり、そのためにも金融緩和を継続することが適切だ」


 この人、
《“賃金の上昇”が第一》
《金融緩和で“経済の下支え”》

を口癖のように繰り返す。

 確かに、これらはポイントではある。
 しかし、現段階において、それらが最重要で最優先事項だとは思えない

 まず、ムッとしたのは、「エネルギー価格上昇などによる一時的なものだ」と断じたこと。
 一応、「エネルギー価格上昇など」と“など”を付けてはいるが、円安は物価上昇の大きな要因であるはずだ。
 さらに、「物価上昇は一時的」と断じているが、ずっと物価は上昇し続けているし、金融緩和を継続し円安が続く限り、物価は上昇し続けると考えられる。

 金融緩和の利点としては
・黒田氏が強調する“経済の下支え”になる。
 この理屈はよく分からないが、《金利が上がると住宅ローン者や経営が苦しい中小企業がさらに苦しくなり、不況になる》ということらしい
・輸出企業の利益が上がる。これにより、賃金が上昇する(ただし、大企業のみのような気がするし、それが景気に波及するのは、かなり先の未来)。最近は原材料や海外に工場を移転しているので、以前ほどおいしくはない。
・インバウンド効果により、日本経済が潤う(円安によって、海外からの観光客の消費が進む)

などが考えられる。

 確かに、インバウンド効果は大きいが(“低金利政策”の狙いはこれかもしれない)、このまま、円安が続くと、日本経済そのものが壊れてしまう。
 少し前に、ニュースの中で、こういうシーンがあった。
【ある中小企業での会議】
「経費を切り詰め、作業効率などを工夫した結果、前回より20%下げた価格を(取引企業に)提示することができた。
 しかし、先方は、中国企業からもっと安価な見積もりを提示されていて、(わが社が提示した)《この価格では中国企業に発注することになる》という回答だった」(by 重役)
「………………………」(一同)
「………そこで、今回は利益ゼロでやろうと思う」


 この取引がなくなったら、資金が回らないし、原料の仕入れの価格も上がってしまうという事情。
 “利益ゼロ”というのは人件費、光熱費、材料費などを差し引いたものだとは思うが、利益ゼロでは経営が成り立たないであろう。トラブルやロスは有り得るので、綱渡りより危険な状況だ。
 おそらく、このような苦境、いや、もっと苦境(赤字が増えるだけ)の中小企業は数多いだろう。


 それでも、黒田氏は、「“経済を下支え”する」と言って、金融緩和を続ける。
 今後、多くの中小企業が、綱から転落するのではないだろうか……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする