英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season21 第15話「薔薇と髭と菫たち」

2023-02-03 01:56:38 | ドラマ・映画
公園で鬼塚という著名なルポライターが死体で発見される(第一発見者は右京と亀山とヒロコママたち)。
鬼塚の手には、彼の妻・ノエル美智子のデビュー作があり、その本には、「すみれさんへ」と書き添えた美智子のサインがしてあった……

《鬼塚が“誰に”“何故”殺されたのか?》というのは当然の疑問だが、それよりも、《その本を、何故鬼塚が握っていたのか?》が大きな謎
・すみれとは誰なのか?
・鬼塚が死亡した公園に、妻の美智子もNPO法人の炊き出しボランティアで公園にいた。偶然?
・公園では半グレグループが暗躍していて(闇バイトの斡旋)、鬼塚はそれを調べていて、揉めていた
などが判明していく。
 その中で、大きなポイントとなる「すみれさん」の正体が判明
 シングルマザーで、パートを掛け持ちするも娘の給食費もままらなない状態。サインをもらった本も売り払わなければならなかったらしい。美智子の小説の主題である”この世界は美しく人生は喜びに満ちている”を大嘘だと文句を言いたいというほどの人生を歩んできた。
 公園には、炊き出しを受けるため時々来ていたようだ。


 ここで問題になるのは、《質屋に売ってしまった古本を、どうして鬼塚が手に入れたのか?(いくら有能なルポライターでも無理だろう)
 となると、“売り払った”というのは嘘で、すみれがその本を持って美智子に文句を言いに公園に行ったが、その前に、鬼塚に止められて、揉めた際に転倒して頭部を強打したのか?

 ところが、鬼塚の死因は心臓麻痺。殺人ではなかった。
 ただ、心臓麻痺を誘発する何かがあったのではないか?例えば、誰かに追いかけられたとか
……と右京は推理。

 さらに、NPO法人にいた気になるタートルネックの男性が、半グレグループとつながりがあったことが判明。タートルネックで半グレグループの証の入れ墨を隠していた。
 現在は半グレから抜けていたが、そのグループのリーダーから、目障りな鬼塚を脅すように指示され、事件(事故)当日、鬼塚が女性を追っかけるのを目撃し、後を追うが、見つけた時には死亡しており、取材メモなどを持ち去ったと白状

 そして、思わぬ事件解明のヒントが……ヒロコママが鬼塚からサインしてもらった本を見せる。右京は、そのサイン(筆跡)を見て、ひらめく!
 鬼塚が死亡時に握っていた本のサインは鬼塚が書いたものだった!
(デビュー当時にサインした本の行方は分からず。すみれの存在を知って、すみれのために別の本に鬼塚がサインした)

 そして、驚愕の事実が!
 鬼塚がノエル美智子で、美智子が鬼塚一誠だった!
 そう、二人の身体が入れ替わって…違う!
 デビュー前、女性というだけでルポライターとして認められなかった美智子、男性が少女小説を書くのを気味悪がられて受け入れてもらえなかった鬼塚。その互いの境遇を知った二人が役柄を入れ替えてデビューしたのだった


 デビュー当時のサイン会に小説を褒めてくれた少女を偶然見つけ(サイン会をしたのは美智子で、美智子があの時の少女だと気づいた)、美智子からすみれの事を聞いた。
 読者・ファンを偽り続けることはできないと思い、ノエル美智子の正体を告げ、詫びるため、(私の想像だが)すみれの言葉がうれしく励みになったことを伝えるため、そして、大切なメッセージを伝えるため、すみれに話しかけた。
 しかし、半グレに戸籍を売ろうとしていたすみれは、半グレから「鬼塚には注意しろ(関わるな)」と言われていて、逃げ出してしまった。すみれを追いかけた鬼塚は心臓麻痺!


 ……あらすじみたいになってしまった。(あらすじになった方が良いかも、時が経って記事を読み返すと、ストーリーが見えないことが多い。かなり頭を絞って記事を書いたというのに)


 鬼塚が握っていた本の謎が、鬼塚と美智子の驚愕の事実に起因していた……面白かった

 しかし、結末と言うか終わり方がモヤモヤ
 まず、「鬼塚誠一はすでに死んだ。彼のペンはもう何も暴けないでしょう」……このセリフが謎!
 この公園での半グレグループの悪事は暴くことはできそう。実際にルポを書いていたのは美智子だし。

 まあ、それはともかく、上記のセリフは、右京の「半グレについて所轄署に情報を提供したのは?」の問いに答えた言葉。
 そして、美智子の言葉を受けて、右京たちが問いかける。


「それが、あなたの本心でしょうか?
 あの夜、大塚誠一(鬼塚)さんがすみれさんに告げたかったのは、自分の正体だけではなかったと思いますよ」(右京)
「きっと、大切なメッセージを告げようとしたんですよ」(亀山)
「それが何なのか、あなたにはわかっているはずです。なぜなら、あなたと大塚誠一さんは、同じ世界を目指していたはずですから」(右京)

(場面は変わって、公園で美智子がすみれに本を渡す)
「夫が…ノエル美智子があなたに伝えたかったのは……
 『この世界は美しく、人生は喜びに満ちている』


 ……その思いを私は鬼塚一誠として、世の中に伝えていきたいの。
 困窮する人々の…その声を現場から私と一緒にすくい上げてほしい。
 この社会の何が間違っていて、何をどうすれば、正すことができるのか?
 私の仕事、手伝ってもらえないかしら。
 人生の困難も、人生の希望も、どちらも知っているあなただからこそ、頼みたいの」




 『この世界は美しく、人生は喜びに満ちている』という鬼塚(ノエル美智子)が言いたかったメッセージを継げたところで終わった方がいいと思う。
 その後の《仕事を手つだってほしい》云々は変。強引に“いい話”で締めたかったのだろうか?
 美智子から渡された本に書かれた本当のノエル美智子のサインを見て、サイン会に行った頃の気持ちを思い出す……で良い。


アナザーストーリーとして、
 《すみれの娘が持っていた美智子の小説を読んで、気持を奮い立たせて右京たちに半グレグループの悪事を告発する》
というのもありかもしれない


【楽しめたいろいろな小ネタ】
・ヒロコママが亀山に仕掛けたドッキリ作戦
・冷凍して凶器に使われたイカを食べてしまったトラウマで、料理に出されたイカに箸をつけられなかった亀山
・居酒屋でスーツ姿の刑事部長と参事官
・刑事部長の物まねをする芹沢(←上手い)と出雲(←下手くそ)

【私の余計なお世話的な疑問や心配】
・出版業界は、《女にはルポライターは無理》《男が少女小説を書くのは変》という固定概念で、真の作品の価値を見損なう古い体質なのか?
・手のほくろの特徴が印象的だったとはいえ、数十年(20年くらい?)経てば随分用紙の印象が変わっているはず。思い出して気づくものなのだろうか?
・美智子が炊き出しのボランティアをしている公園に、すみれが訪れるのは、かなりの偶然
・表向き“鬼塚一誠”が亡くなった後、どういう形態で活動を続けるのだろうか?
・炊き出しに使われていたプラ丼(発泡スチロール)が小さい


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
第12話「他人連れ」
第13話「椿二輪」
第14話「まばたきの叫び」

【ストーリー】(番組サイトより)
薫とヒロコの再会が事件を呼ぶ! 
作家夫妻が抱える危険な秘密とは


 薫(寺脇康文)は、海外渡航前から顔馴染みだったゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)と再会。ところが、その矢先、公園で男性の遺体を発見する。男性は鬼塚という著名なルポライターで、妻はノエル美智子(大島さと子)というペンネームで少女向け小説を手掛ける人気作家だった。鬼塚の手には、なぜか美智子のデビュー作が握られており、何らかのダイイングメッセージとも思われた。
 事件に興味を持った右京(水谷豊)が、美智子から事情を聞くと、鬼塚が死亡した晩、彼女も同じ公園で炊き出しのボランティアをしていたことが判明。鬼塚は、そこに集まった生活困窮者を取材中、何らかのトラブルに巻き込まれたのか?
 そんな中、ヒロコが聞き捨てならない情報をもたらす。困窮者を食い物にしていた半グレ集団が、鬼塚を脅していたというのだ。

有名記者の死は、事故か、殺人か…!?
遺体はなぜ妻の小説を手にしていたのか?
現代社会の深き闇に特命係が切り込む!

ゲスト:大島さと子 深沢敦

脚本:岩下悠子 
監督:内片輝

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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意外にも(と言っては失礼ですが)面白かった (marumori)
2023-02-08 22:51:32
英さん、こんばんは。

 今回(といっても次の回がオンエアされてしまいましたが)、ヒロコママが登場するということで、どうせネタ回だろうと思って見ていましたが、意外にも面白かったです。

 ラストシーンはもう少し面白くできたかな、という気はするものの、鬼塚一誠とノエル美智子の役割が夫婦で逆だったというどんでん返しは、全く読めませんでした。そうきたか、という感じです。

 鬼塚役の工藤俊作さんは、過去の出演時は凶悪な役を演じることが多かったので、今回も本性は悪党なのでは、と思っていたのですが、そちらの面でもまんまと裏をかかれました。

 冷凍イカのネタも懐かしかったです。「殺人晩餐会」(Season2第3話)でしたね。
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意外とおもしろかったですね。 ()
2023-02-09 17:40:20
marumoriさん、こんにちは。

>ラストシーンはもう少し面白くできたかな、という気はするものの

 ラストシーンのすみれに協力を頼む云々には共感できませんでしたが、ヒントの張り巡らせ方や、フェイク具合も巧妙で、小ネタも楽しめました。
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