「ぐう」の詳細 ……2024順位戦 羽生九段-近藤七段戦
「ぐう」の詳細 その2 ……2024順位戦 羽生九段-近藤七段戦 の続きです。
【前記事末にて】
羽生九段は直前の▲5八銀で8分考慮していて、残りは21分(近藤七段は△6七歩成に8分使って、残り24分)。残り30分のうちの8分は大きく、ここで腰を据えたと思われる。
当然、次の一手は……
…と書いたが、羽生九段の指し手は▲6七同銀だった。
自玉の守備駒を維持した手だ。飛車取りも残っている。
実際、後手は飛車を△8一に逃げ、手番は先手で先手陣も火の手は上がっていない。一見、これで良さそう。
しかし、《8筋の屈伏》が見た目以上にマイナス。
①壁形で玉の逃げ場がない
②△8七歩成とされると、先手玉の危険度が一気に高くなる
②の要素を考慮すると、自玉の金駒1枚より、後手飛車の排除を優先すべきだった。
それに、5八の銀を6七に移動させたことにより、馬取りが外れてしまった。第6図で飛車馬両取り状態だったのが、△6七歩成によって、二つとも解消されてしまった。
第6図で▲8二馬だと、△6八と▲同銀に△5六馬(変化図1)がけっこう厄介。
▲6七歩と受けて何でもないようだが、△8七金(変化図2)の強攻がありそう。また、タイミングは難しいが、△4五馬と飛車を取り△8四飛と打つ筋もありそうだ。(馬取りは▲8一飛の王手で一応受かるが、けっこう大変)
▲6七歩の受けは固く見えるが、玉の逃げ道がないので、▲6七銀右とした方が良いのかもしれない。《馬取り》と《逃げ道作成》の利がある。
しかし、この手にも△6七同馬▲同銀に△6六銀!(変化図3)の強攻がある。
▲6六同銀だと△6七金が厄介。▲6八飛と頑張る手はあるが、指す気になれない。そこで、銀を取らずに▲6八歩と受ければ、互角。(個人的には先手持ち)
実戦は△8一飛に▲4四桂。この桂打ちが厳しそうで先手が良さそうだが、意外にこの桂打ちは刺さっていなかった。
手抜きで△5七金(第7図)が強打!(弱点①が祟っている。馬取りが外れているのもこの金打ちを可能にしている)
この金打ちに対して、受けが難しい。先手玉は3枚の金銀の守備駒がいるが、見た目以上に耐久力がない。
▲5八歩(おそらく最善)と受けたが、△6七金▲同金△5八馬と摺り寄られて受けが難しい。
▲6八金打と受けたが、△7八銀!が炸裂。
タダだが、金で取ると△6九金の1手詰。
実戦は▲7八同玉としたが△8七金が強烈。以下▲同歩△同歩成で投了。
以下▲7九玉の一手に△6七馬で必至。先の△8七金を取らずに▲7九玉と逃げても△6七馬で同様。
△5八馬の時、▲6八金打ではなく▲6八金と引いて受ければ、この寄せ筋はないが、△6七金と絡みつかれて受けが難しい。▲6九金打と頑張る手はあるが、△8七歩成と加勢されると持ちこたえられそうにない。取れた飛車に活躍されるとは……
非常に難解な将棋、互いに深く読み、拮抗した戦いだった。
残念だったのは、第2図での夕食前の長考、第4図、第6図で踏み込み切れなかったこと。
もちろん、私が残念がるより百倍深く考えて末の羽生九段の指し手なので、文句は言えない(…言っているが)
順位戦は2勝5敗と芳しくない状況。
他棋戦を含めた最近の成績は1勝10敗と試練の時期。
私は一時的なモノだと考えているし、仮に、仮に…負け続けても、私は応援するし、復調を信じる。
心配なのは、B級1組を陥落して、引○なんて考えや声が大きくなること。
「ぐう」の詳細 その2 ……2024順位戦 羽生九段-近藤七段戦 の続きです。
【前記事末にて】
羽生九段は直前の▲5八銀で8分考慮していて、残りは21分(近藤七段は△6七歩成に8分使って、残り24分)。残り30分のうちの8分は大きく、ここで腰を据えたと思われる。
当然、次の一手は……
…と書いたが、羽生九段の指し手は▲6七同銀だった。
自玉の守備駒を維持した手だ。飛車取りも残っている。
実際、後手は飛車を△8一に逃げ、手番は先手で先手陣も火の手は上がっていない。一見、これで良さそう。
しかし、《8筋の屈伏》が見た目以上にマイナス。
①壁形で玉の逃げ場がない
②△8七歩成とされると、先手玉の危険度が一気に高くなる
②の要素を考慮すると、自玉の金駒1枚より、後手飛車の排除を優先すべきだった。
それに、5八の銀を6七に移動させたことにより、馬取りが外れてしまった。第6図で飛車馬両取り状態だったのが、△6七歩成によって、二つとも解消されてしまった。
第6図で▲8二馬だと、△6八と▲同銀に△5六馬(変化図1)がけっこう厄介。
▲6七歩と受けて何でもないようだが、△8七金(変化図2)の強攻がありそう。また、タイミングは難しいが、△4五馬と飛車を取り△8四飛と打つ筋もありそうだ。(馬取りは▲8一飛の王手で一応受かるが、けっこう大変)
▲6七歩の受けは固く見えるが、玉の逃げ道がないので、▲6七銀右とした方が良いのかもしれない。《馬取り》と《逃げ道作成》の利がある。
しかし、この手にも△6七同馬▲同銀に△6六銀!(変化図3)の強攻がある。
▲6六同銀だと△6七金が厄介。▲6八飛と頑張る手はあるが、指す気になれない。そこで、銀を取らずに▲6八歩と受ければ、互角。(個人的には先手持ち)
実戦は△8一飛に▲4四桂。この桂打ちが厳しそうで先手が良さそうだが、意外にこの桂打ちは刺さっていなかった。
手抜きで△5七金(第7図)が強打!(弱点①が祟っている。馬取りが外れているのもこの金打ちを可能にしている)
この金打ちに対して、受けが難しい。先手玉は3枚の金銀の守備駒がいるが、見た目以上に耐久力がない。
▲5八歩(おそらく最善)と受けたが、△6七金▲同金△5八馬と摺り寄られて受けが難しい。
▲6八金打と受けたが、△7八銀!が炸裂。
タダだが、金で取ると△6九金の1手詰。
実戦は▲7八同玉としたが△8七金が強烈。以下▲同歩△同歩成で投了。
以下▲7九玉の一手に△6七馬で必至。先の△8七金を取らずに▲7九玉と逃げても△6七馬で同様。
△5八馬の時、▲6八金打ではなく▲6八金と引いて受ければ、この寄せ筋はないが、△6七金と絡みつかれて受けが難しい。▲6九金打と頑張る手はあるが、△8七歩成と加勢されると持ちこたえられそうにない。取れた飛車に活躍されるとは……
非常に難解な将棋、互いに深く読み、拮抗した戦いだった。
残念だったのは、第2図での夕食前の長考、第4図、第6図で踏み込み切れなかったこと。
もちろん、私が残念がるより百倍深く考えて末の羽生九段の指し手なので、文句は言えない(…言っているが)
順位戦は2勝5敗と芳しくない状況。
他棋戦を含めた最近の成績は1勝10敗と試練の時期。
私は一時的なモノだと考えているし、仮に、仮に…負け続けても、私は応援するし、復調を信じる。
心配なのは、B級1組を陥落して、引○なんて考えや声が大きくなること。
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