再登場の二人の女性
新崎芽依(朝倉あき)(season16 第9話「目撃しない女」)
……“相貌失認症”(人の顔を覚えられない)。キッチンカーの店主。
遠峰小夜子(西田尚美)season17 第6話「ブラックパールの女」
……“相貌認識能力”が強すぎる(人の顔を忘れられない)。現在拘留中。
操られる冠城
どこかに監禁されているらしい芽衣を餌に、小夜子は冠城を操る。
「(自分との会話を)杉下さんには内緒ですよ」と釘を刺され、右京に話して小夜子が口を閉ざしてしまうことを恐れ、単独で芽衣を探す冠城。
【右京の注意】
「口止めに従っている時点で、すでに操られているんですよ」
「彼女(小夜子)は君に芽衣さんを探すという目的を与え、見つけ出すためのヒントを出したのでしょう。
きみは言われるままに探し回り、あと一歩のところまで行くが、芽衣さんには辿り着けない。そしてまた次のヒントが出る………
……洗脳の手口です。冠城君、目を覚ましなさい!」
素直に小夜子の口止めに従う時点で、今回の冠城は通常ではない。右京に話しても、彼女がそれを感知するとは思えないので、冠城は小夜子を恐れすぎである。
芽衣が冷静さを失うほどの存在なのか疑問だが、冠城は女性にとても優しいので、良しとしよう。
ちなみに、芽衣が登場したseason16 第9話「目撃しない女」を振り返ると、二人の気持ちがかなり接近したようにも思えるが、何しろ2シーズン前のことなので、印象が薄れてしまっている。
右京は「操られている」「洗脳の手口」という表現を使ったが、確かに小夜子のペースにはまっている感は強いが、「操られる」というよりも、「弄ばれている」よ言ったほうがいいように思える。
右京の反撃
少し不甲斐なかった冠城とは対照的に、今話の右京は切れが良かった。
・索状痕と冠城が発した「飲食店関係」の言葉から、凶器をクロスタイと特定
・芽衣のSNSの画像のキッチンカーのミラーから、彼女が営業した南雲記念病院を特定
・病院での聞き込みにより、指切り魔と芽衣の共通項(冷凍庫メーカー)を見出し、共犯者の深堀を突き止める
・小夜子の手記の不自然な広告の挿入(隠しノンブル…表示しないページ数)が、芽衣の居場所のヒントになっていることに気づき、監禁場所を特定
……「(“手記を読め”と言わずに)雑誌を見ろ」「彼女はいるけどいない、隠されているから」という小夜子の言葉がヒント
・小夜子が口ずさんでいた『きらきら星』の原曲の意味から、キッチンカーの変貌に気づく
小夜子についての考察
・「遠峰さん(小夜子)にとってキャンディとは、誰かの大切なものを破壊する喜びのことではないでしょうか?
彼女はいびつな形をしたバロック真珠です。人を惹きつけ、魅惑と恐怖で支配する……
……彼女は危険です。拘置所の中に居てさえも」
確かに危険な女であるが、右京は、若干、過大評価しすぎている気がする。
いや、前回も今回も彼女の人を操る能力や用意周到さは凄いと思うのだが、その能力の高さを感じさせる描写が足りないので、右京の言葉が空回りしているように感じてしまう。
【西田尚美さんについて】
NHKの『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』で彼女は、少し変で、おかしな理解困難な女性を演じることが多い。その演技はとても面白く、とぼけた感じや怪しげな雰囲気を醸し出す。
上記で「小夜子の能力の高さを感じさせる描写が足りない」と述べたが、それは彼女の演技力によるものではないことを明記しておく。
・「他に協力者がいる」
その最有力候補が連城建彦(松尾諭)。……《頭が切れ弁護士としては優秀だが、裁判をゲームのように楽しむ不遜な人物。また記憶力には絶対の自信を持ち、「会話の98%を記憶できる」と豪語する》(byウィキペディア)
能力的、性格的にも何か事を起こしそうな要素が大きい。「他に協力者がいる」という会話の直後、僅かに笑みを浮かべる連城が映され、いかにも怪しいが、フェイクということも十分あり得る。
深堀を雇った300万円……平川(指切り魔)はそんなに儲かっていたのだろうか?…協力者が提供?
連城はケチそうなので(笑)、今回不自然な広告を出したスポンサーの誰かかもしれない。
芽依に会わない冠城だが…
《冠城が心を寄せる芽依を、自分と小夜子の因縁にこれ以上巻き込ませたくない》ので、芽依に会わないと決めた冠城。
しかし、既に目をつけられているので、今更距離を置いてもあまり意味がない。(今回の冠城の反応を観れば、心を揺さぶる効果覿面(てきめん))
通常の場合、取りあえず、芽依と距離を置いておき、危険人物を逮捕してしまえば解決するのだが、小夜子の場合、既に拘留中にもかかわらず、ちょっかいを出すので質(たち)が悪い。
青木も貢献
・SNSの画像の解析
・キッチンカーの目撃情報の収集
それにしても、2話連続で未解決事件の犯行者(前話は伝説の窃盗犯“けむり”)。指の切断魔なら、右京が放っておかないと思うのだが…
佐代子が出したヒントは分かりにく過ぎで、右京の推理もちょっと強引に感じた。
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、第10話、第11話(元日SP)、第12話、第13話、第14話、第15話、第16話
【ストーリー】番組サイトより
再び動き出す“平成の毒婦”と呼ばれた未決囚の女・遠峰小夜子!!
猟奇殺人犯“指切り男”との関係は…!?
郊外の空地で両手の親指が切断された女性の絞殺体が発見された。犯行の手口から捜査一課は、これまで2人を殺害している“指切り男”が、2年ぶりに現れたと警戒を強める。その後、遺体の喉の奥に“バロックパール”と呼ばれるいびつな形の真珠が発見され、右京(水谷豊)は不審に思う。
そんな中、亘(反町隆史)は弁護士の連城建彦(松尾諭)から突然、「会いたがっている人がいる」との連絡を受ける。指定された場所は、東京拘置所。待っていたのは、“平成の毒婦”と呼ばれた未決囚の連続殺人犯・遠峰小夜子(西田尚美)だった。小夜子といえば、かつて刑務所にいながら人身を操り、右京さえ翻弄した危険な存在。
亘は最大限の警戒をしながら相対するが、彼女が口にしたのは、思ってもみないことだった。相貌認識能力に長けている小夜子は、知人の中に、女性の指に異常な執着を持つ男がいたこと、さらに亘の大切な人が行方不明になる夢を見たと言い、ここで話したことは右京に内緒という条件をつける。亘は、以前、事件を通じて知り合ったキッチンカーの店主・新崎芽依(朝倉あき)から久々にメールが来たものの、その後、連絡が途絶えてしまった件に、小夜子がかかわっているのではないかと嫌な予感を覚えたが、はぐらかされるばかり。
その頃、右京は指切り男の事件を調べ続け、周辺に真珠に繋がる話がいくつも出てくることに、何か理由があるのではないかと推理し…。
気づかぬうち小夜子の術中にはまっていく亘
現在の猟奇殺人と過去の因縁が交錯し、
事件はやがて予想外の事態に発展する!
ゲスト:西田尚美 朝倉あき 松尾諭
脚本:山本むつみ
監督:権野元
新崎芽依(朝倉あき)(season16 第9話「目撃しない女」)
……“相貌失認症”(人の顔を覚えられない)。キッチンカーの店主。
遠峰小夜子(西田尚美)season17 第6話「ブラックパールの女」
……“相貌認識能力”が強すぎる(人の顔を忘れられない)。現在拘留中。
操られる冠城
どこかに監禁されているらしい芽衣を餌に、小夜子は冠城を操る。
「(自分との会話を)杉下さんには内緒ですよ」と釘を刺され、右京に話して小夜子が口を閉ざしてしまうことを恐れ、単独で芽衣を探す冠城。
【右京の注意】
「口止めに従っている時点で、すでに操られているんですよ」
「彼女(小夜子)は君に芽衣さんを探すという目的を与え、見つけ出すためのヒントを出したのでしょう。
きみは言われるままに探し回り、あと一歩のところまで行くが、芽衣さんには辿り着けない。そしてまた次のヒントが出る………
……洗脳の手口です。冠城君、目を覚ましなさい!」
素直に小夜子の口止めに従う時点で、今回の冠城は通常ではない。右京に話しても、彼女がそれを感知するとは思えないので、冠城は小夜子を恐れすぎである。
芽衣が冷静さを失うほどの存在なのか疑問だが、冠城は女性にとても優しいので、良しとしよう。
ちなみに、芽衣が登場したseason16 第9話「目撃しない女」を振り返ると、二人の気持ちがかなり接近したようにも思えるが、何しろ2シーズン前のことなので、印象が薄れてしまっている。
右京は「操られている」「洗脳の手口」という表現を使ったが、確かに小夜子のペースにはまっている感は強いが、「操られる」というよりも、「弄ばれている」よ言ったほうがいいように思える。
右京の反撃
少し不甲斐なかった冠城とは対照的に、今話の右京は切れが良かった。
・索状痕と冠城が発した「飲食店関係」の言葉から、凶器をクロスタイと特定
・芽衣のSNSの画像のキッチンカーのミラーから、彼女が営業した南雲記念病院を特定
・病院での聞き込みにより、指切り魔と芽衣の共通項(冷凍庫メーカー)を見出し、共犯者の深堀を突き止める
・小夜子の手記の不自然な広告の挿入(隠しノンブル…表示しないページ数)が、芽衣の居場所のヒントになっていることに気づき、監禁場所を特定
……「(“手記を読め”と言わずに)雑誌を見ろ」「彼女はいるけどいない、隠されているから」という小夜子の言葉がヒント
・小夜子が口ずさんでいた『きらきら星』の原曲の意味から、キッチンカーの変貌に気づく
小夜子についての考察
・「遠峰さん(小夜子)にとってキャンディとは、誰かの大切なものを破壊する喜びのことではないでしょうか?
彼女はいびつな形をしたバロック真珠です。人を惹きつけ、魅惑と恐怖で支配する……
……彼女は危険です。拘置所の中に居てさえも」
確かに危険な女であるが、右京は、若干、過大評価しすぎている気がする。
いや、前回も今回も彼女の人を操る能力や用意周到さは凄いと思うのだが、その能力の高さを感じさせる描写が足りないので、右京の言葉が空回りしているように感じてしまう。
【西田尚美さんについて】
NHKの『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』で彼女は、少し変で、おかしな理解困難な女性を演じることが多い。その演技はとても面白く、とぼけた感じや怪しげな雰囲気を醸し出す。
上記で「小夜子の能力の高さを感じさせる描写が足りない」と述べたが、それは彼女の演技力によるものではないことを明記しておく。
・「他に協力者がいる」
その最有力候補が連城建彦(松尾諭)。……《頭が切れ弁護士としては優秀だが、裁判をゲームのように楽しむ不遜な人物。また記憶力には絶対の自信を持ち、「会話の98%を記憶できる」と豪語する》(byウィキペディア)
能力的、性格的にも何か事を起こしそうな要素が大きい。「他に協力者がいる」という会話の直後、僅かに笑みを浮かべる連城が映され、いかにも怪しいが、フェイクということも十分あり得る。
深堀を雇った300万円……平川(指切り魔)はそんなに儲かっていたのだろうか?…協力者が提供?
連城はケチそうなので(笑)、今回不自然な広告を出したスポンサーの誰かかもしれない。
芽依に会わない冠城だが…
《冠城が心を寄せる芽依を、自分と小夜子の因縁にこれ以上巻き込ませたくない》ので、芽依に会わないと決めた冠城。
しかし、既に目をつけられているので、今更距離を置いてもあまり意味がない。(今回の冠城の反応を観れば、心を揺さぶる効果覿面(てきめん))
通常の場合、取りあえず、芽依と距離を置いておき、危険人物を逮捕してしまえば解決するのだが、小夜子の場合、既に拘留中にもかかわらず、ちょっかいを出すので質(たち)が悪い。
青木も貢献
・SNSの画像の解析
・キッチンカーの目撃情報の収集
それにしても、2話連続で未解決事件の犯行者(前話は伝説の窃盗犯“けむり”)。指の切断魔なら、右京が放っておかないと思うのだが…
佐代子が出したヒントは分かりにく過ぎで、右京の推理もちょっと強引に感じた。
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、第10話、第11話(元日SP)、第12話、第13話、第14話、第15話、第16話
【ストーリー】番組サイトより
再び動き出す“平成の毒婦”と呼ばれた未決囚の女・遠峰小夜子!!
猟奇殺人犯“指切り男”との関係は…!?
郊外の空地で両手の親指が切断された女性の絞殺体が発見された。犯行の手口から捜査一課は、これまで2人を殺害している“指切り男”が、2年ぶりに現れたと警戒を強める。その後、遺体の喉の奥に“バロックパール”と呼ばれるいびつな形の真珠が発見され、右京(水谷豊)は不審に思う。
そんな中、亘(反町隆史)は弁護士の連城建彦(松尾諭)から突然、「会いたがっている人がいる」との連絡を受ける。指定された場所は、東京拘置所。待っていたのは、“平成の毒婦”と呼ばれた未決囚の連続殺人犯・遠峰小夜子(西田尚美)だった。小夜子といえば、かつて刑務所にいながら人身を操り、右京さえ翻弄した危険な存在。
亘は最大限の警戒をしながら相対するが、彼女が口にしたのは、思ってもみないことだった。相貌認識能力に長けている小夜子は、知人の中に、女性の指に異常な執着を持つ男がいたこと、さらに亘の大切な人が行方不明になる夢を見たと言い、ここで話したことは右京に内緒という条件をつける。亘は、以前、事件を通じて知り合ったキッチンカーの店主・新崎芽依(朝倉あき)から久々にメールが来たものの、その後、連絡が途絶えてしまった件に、小夜子がかかわっているのではないかと嫌な予感を覚えたが、はぐらかされるばかり。
その頃、右京は指切り男の事件を調べ続け、周辺に真珠に繋がる話がいくつも出てくることに、何か理由があるのではないかと推理し…。
気づかぬうち小夜子の術中にはまっていく亘
現在の猟奇殺人と過去の因縁が交錯し、
事件はやがて予想外の事態に発展する!
ゲスト:西田尚美 朝倉あき 松尾諭
脚本:山本むつみ
監督:権野元
遠峰小夜子はいずれ再登場すると思っていましたが、まさか新崎芽依まで再登場するとは予想していなかったです。しかも、同じエピソードとは。
『ブラックパールの女』(S17-6)のときは、連城が小夜子の引き合わせる警察官として右京さんを選んだから、小夜子と特命係がたまたま巡り合ったと思ってしましたが、今回を見ると、どうも小夜子は初めから冠城に狙いを定めていたようですね。
そうなると、前回連城が特命係を小夜子に引き合わせたのも偶然ではなかったと考えるのが自然でしょうか。
ちなみに「きらきら星」のハミングは『ブラックパールの女』でもやっていましたね。
今回面白かった点は、
〇なんだなんだで右京さんの助言に従っている伊丹と芹沢。しかも「今回は借りがある」と言って特命係がついてくるのを容認するなど、かなり律儀。
〇文句言いつつ特命係のリクエストに応える青木。
〇余計な自虐ギャグをとばして、巻き添えで内村部長に怒られる中園参事官。
〇拘置中なのに面会のたびに服装が変わっている小夜子。一体何着持っているのでしょう?
ちなみに、「小夜子」が4カ所ほど「佐代子」になっているようです。
「佐代子」のご指摘、ありがとうございました。早速、訂正しました。
>どうも小夜子は初めから冠城に狙いを定めていたようですね。
>そうなると、前回連城が特命係を小夜子に引き合わせたのも偶然ではなかったと考えるのが自然でしょうか。
連城の思惑が気になりますね。でも、本文でも書きましたが、僅かに笑みを浮かべる連城のシーンが、“いかにも”という感じだったので、フェイクのような気がします。
参事官の捨て身の自虐ギャグは空振りというか爆死というか(笑)