英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

黒田日銀総裁と神田財務官のコメント

2022-10-17 15:41:53 | 時事
1ドル=148円台……円安が加速している
過去にも言及しているが……
「FRBは0.75%の大幅な利上げ、日銀は大規模な金融緩和策を維持……「景気」って2つあるの?」(9月22日)
「岸田総理の政策指針(NHKニュース7にて)などなど……」(6月23日)
……今回、黒田日銀総裁と神田財務官の記者会見や発言が目に余ったので……(ワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議後に行われている)


まず、神田財務官(正式記者会見後の廊下などでの記者団の質問に対して)
「為替の過度の変動 無秩序な動きは、経済に悪影響を及ぼすものである。したがって、過度な変動、特に投機を背景にしたようなものについては、適切な処置を取っていく」
「足元の動き、過度の変動が繰り返される時には、断固たる行動をとる用意がいつもできている」

用意された会見ではなく、ぶら下がり取材と思われるので、きっちりとした回答が用意されていないということもあるが、“過度な変動”という言葉が繰り返されるだけだった。
 為替の"過度な変動”やとか“無秩序な動き”でなくても、高レベルの円安は非常に良くない状況だと考えられる。黒田総裁は口癖のように「超低金利で“景気を下支え”する」と言うが、悪影響の方が大きいとしか思えない。(これについては後述)
 超金利政策によって高レベル(異常レベル)の円安が生じたわけだが、日銀がこの円安を解消しない理由の説明材料を、この神田財務官は持ち合わせていないことが伺えるコメントであった。

そして、黒田日銀総裁  G20財務大臣・中央銀行総裁会議後の記者会見(鈴木財務大臣、黒田総裁、神田財務官が並んで座っていた)
「日本の物価上昇は賃金の上昇を伴っておらず、エネルギー価格上昇などによる一時的なものだ」
「欧米経済はコロナ禍前を上回る回復をしてきたが、日本経済の(上昇の)水準は、そこまで至っていない」
「賃金の上昇といった経済の好循環も生まれていない」
「(“物価は上がらない”との)社会の考え方を変え、賃金上昇を伴った持続的な物価安定目標を実現するには、経済を下支えする必要があり、そのためにも金融緩和を継続することが適切だ」


 この人、
《“賃金の上昇”が第一》
《金融緩和で“経済の下支え”》

を口癖のように繰り返す。

 確かに、これらはポイントではある。
 しかし、現段階において、それらが最重要で最優先事項だとは思えない

 まず、ムッとしたのは、「エネルギー価格上昇などによる一時的なものだ」と断じたこと。
 一応、「エネルギー価格上昇など」と“など”を付けてはいるが、円安は物価上昇の大きな要因であるはずだ。
 さらに、「物価上昇は一時的」と断じているが、ずっと物価は上昇し続けているし、金融緩和を継続し円安が続く限り、物価は上昇し続けると考えられる。

 金融緩和の利点としては
・黒田氏が強調する“経済の下支え”になる。
 この理屈はよく分からないが、《金利が上がると住宅ローン者や経営が苦しい中小企業がさらに苦しくなり、不況になる》ということらしい
・輸出企業の利益が上がる。これにより、賃金が上昇する(ただし、大企業のみのような気がするし、それが景気に波及するのは、かなり先の未来)。最近は原材料や海外に工場を移転しているので、以前ほどおいしくはない。
・インバウンド効果により、日本経済が潤う(円安によって、海外からの観光客の消費が進む)

などが考えられる。

 確かに、インバウンド効果は大きいが(“低金利政策”の狙いはこれかもしれない)、このまま、円安が続くと、日本経済そのものが壊れてしまう。
 少し前に、ニュースの中で、こういうシーンがあった。
【ある中小企業での会議】
「経費を切り詰め、作業効率などを工夫した結果、前回より20%下げた価格を(取引企業に)提示することができた。
 しかし、先方は、中国企業からもっと安価な見積もりを提示されていて、(わが社が提示した)《この価格では中国企業に発注することになる》という回答だった」(by 重役)
「………………………」(一同)
「………そこで、今回は利益ゼロでやろうと思う」


 この取引がなくなったら、資金が回らないし、原料の仕入れの価格も上がってしまうという事情。
 “利益ゼロ”というのは人件費、光熱費、材料費などを差し引いたものだとは思うが、利益ゼロでは経営が成り立たないであろう。トラブルやロスは有り得るので、綱渡りより危険な状況だ。
 おそらく、このような苦境、いや、もっと苦境(赤字が増えるだけ)の中小企業は数多いだろう。


 それでも、黒田氏は、「“経済を下支え”する」と言って、金融緩和を続ける。
 今後、多くの中小企業が、綱から転落するのではないだろうか……
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新型コロナウイルス その146「全国旅行支援の問題点、疑問点、不満点」

2022-10-13 09:41:37 | 時事
全国旅行支援とは?【『楽天トラベル』サイトの「全国旅行支援キャンペーン」より引用】
「全国旅行支援」とは、政府が実施する全国を対象とした観光需要喚起策です。
旅行代金の40%相当が割引されます。(1人1泊あたり、割引上限額については、交通付旅行商品は8,000円、その他は5,000円)
また、現地で使えるクーポン券(平日は3,000円分、休日1,000円分)が宿泊施設チェックイン時に渡されます。

(詳細は全国旅行支援とは?

 記事名に「問題点」と挙げたが、《全国旅行支援の開始前に、宿泊代を上げるホテル旅館がある》とか《システムが複雑で告知も遅かったので、準備が間に合わない地域や旅行代理店などがある》、或いは、《早くも予約受付終了》とかいう問題が生じているらしい。(もしかしたら、以前の『GO TO トラベル』で生じたシステムの隙間をついて、それで利益を得る輩も発生する可能性もある)
 そういう問題点は、報道やワイドショーや他のサイトさんにお任せするとして、個人的な疑問や不満を記させていただきます。
 実は、この記事を書く動機となった不満点は、もう少し後で書きます(その部分は、紫色にします)。ただ、これは全般的な視野で書くものではなく、個人的な主観がかなり入っていて、「!」や「?」など感じる方もいらっしゃると思いますが、ご容赦ください。

1.丸投げ?
 今回、始まった「全国旅行支援」は、以前の「GO TO トラベル」に比べて、割引率やクーポン券の利用範囲や平日と休日の格差、子どもも対象とか、変更点があるが(詳しくは「全国旅行支援情報ページ」(サイトの正式名称が分かりにくいので、間違っているかもしれません))「新型コロナウイルス感染症の流行によって経済的損失を被った旅行業界や国内旅行の再活性化」という目的はほぼ同じ。
 大きく異なるのは、国が主体か都道府県が主体かの点。管轄は国土交通省・官公庁らしいが、官公庁のホームページには、「全国旅行支援 都道府県連絡先一覧」があるだけ。都道府県に“丸投げ”の趣きだ。

 ”丸投げ”が全面的に悪いと言う訳ではなく、《地方の事情に応じた細かい支援の方法ができる》という面もある。
 ただし、国からの詳細な情報の発信が遅かったため、各地で混乱が生じているようだ。


2.新型コロナ感染再拡大は大丈夫なのか?
 感染が沈静化しつつある現在、コロナ禍で大打撃を受けた観光業界への支援、そしてクーポン券による経済活性化も歓迎すべき施策である。
 しかし、人の移動の活発化、さらに水際対策緩和による海外からの人の流入、マスクも屋外では基本的に着用しなくてよいという指針など、感染拡大の要素が増えている。
 小心者の私としては、大丈夫的なエビデンス(データ)を示してほしい。コロナ感染によって、政府、政治家たちは「エビデンス」という言葉を、やたら使用したではないか?
 感染が沈静化しつつあるのは何故なのか?……《ワクチン接種の効果》?……これが大きな要因だろうが、ワクチンの接種率は2回目接種が80%、3回目接種が66%、4回目接種が28%。3回接種以上が有効であると考えるとすると、34%の人はそうでないという状況。ワクチン接種は有効ではあると思うが、それが、感染抑制の決定的要因と言えるのかどうか……
 取りあえず、最近の感染者のワクチン接種についてのデータを示してほしい。
 あとは、感染がある程度拡大したことによる“集団免疫”の獲得。これまでに感染した人の累計は2000万人を超えているので、充分考えられるが、コロナウイルス自身も変異を繰り返しており、実際、複数回観戦している人も多いので、集団免疫力も決定的要因とは考えにくい。
 《マスク着用の効果》についても疑問を感じる。感染力が強力なオミクロン株が主流の現在であるが、逆に、マスク着用に関しては緩くなってきている。大丈夫なのか?
 これまで、マスク着用については口うるさくなるほど呼びかけられていたのは、一体何だったのか?

3.支援の仕方(税金の流れ)に不公平感が…
 割引率やクーポン券の発行など、大盤振る舞いの感があるが、本記事ではそれには言及しない(そういう疑問は他の方が言ってくれると期待)
 実は、これから言う“不公平感”は、「GO TO トラベル」の時に、強く感じていて、今回はその時に比べると弱くなってきている。

 “不公平感”と言うのは……
 まず、《観光業界の支援に対しては、大賛成である》ということは言っておきたい。
 で、観光業界以外に恩恵を受けるのは旅行者……私はこれに違和感を感じる。

 旅行できる人の条件としては、時間的、経済的に余裕があること。私のように貧乏暇なしの者にとっては、旅行する経済的余裕も時間の余裕もない。もちろん、旅行する人もそういう状況の人もいて、ここ3年、旅行に行っていないので、その分の資金?があり、さらに、《旅行支援を利用して、少しでも出費を減らして慰労の時を持ちたい》ということも十分考えられる。
 一番問題に感じるのは、医療従事者や介護従事者、高齢者施設関係者はなかなか旅行できる余裕がないということ。先日、ニュースのコーナーで、「感染者が出たので、しっかりゾーニングなどの処置を取ったが、それでも、感染拡大してしまった。その上、感染者を受け入れてくれる病院はわずかで、結局、施設で感染者の対応もしなければ、ならなかった。職員も感染した」という言葉を聞いた。
 旅行支援で恩恵を受けるのは旅行できる人、そして、それによって感染が拡大した時、苦労をするのは旅行できない医療従事者や施設関係者であるということ。(GO TO トラベルの時は、もっと、この感覚が強かった)

 個人的には、もう少し割り引継率を下げてもいいと思っている。
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相棒 season21 第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回スペシャル)

2022-10-13 00:01:26 | ドラマ・映画
究極の選択をテーマとした人間ドラマ。
輿水氏の脚本だが、いつものダラダラ感、スカスカ感は少なく、面白かった。


 右京と亀山の再会シーンは、どのようなものになるかが、最初の楽しみであったが、事情が掴めない招待状が届いてあれこれ悩み考える右京や、謎や未知に興味を惹かれてしまう右京の特質を利用し、呼び寄せた亀山の右京に関する熟知ぶり。声を掛けて隠れる亀山の無邪気さ、「亀山ですよ」という声掛けに「分かっていますよ」とムッとしながらも嬉しそうな右京……さすが、輿水氏
 旅客機爆破がブラフ(はったり)だという推理もなるほどと思った。
 《爆発物を機内に持ち込む困難さ》《機内にいる共犯者の命のリスク……アイシャが殺されなかった場合は死》《起爆の難しさを考えると、時限爆弾にするのが最善?》《迎賓館に不審人物はいない……アイシャ殺害の確認が難しい》など推理構築して、ブラフである可能性が大きい。
 しかし、確証はない。
 亀山の選択……命を失うのが妻の美和子だけなら、アイシャの命を優先するが、乗務員や他の乗客の150人の命を天秤にかけると、アイシャを殺害すると決意。(右京も反論できなかった)ただ、かつての亀山だったら、そこまで割りきっただろうか?それに、右京の推理を信じたように思う。苛烈なサルウィンでの日々と右京との空白の時が、亀山を変えたのか?
 機内に要る身内を助けたいという思いから、日本の外交の思惑や、マスコミの性質、外国人の犯罪者の国外逃亡などを考慮して、殺害に踏み切ろうという結論を出す被脅迫者たち(もちろん、葛藤はしていた)
 そして、最愛の人を守ろうとする気持ちを慮り、さらに、自分の命一つで多くの命が助かるのなら、自ら命を絶ったアイシャ………
 被脅迫者が複数人いたのも新鮮だった。

………面白かった。

 それと…
 内閣情報官と偉くなった社美彌子(仲間由紀恵)が一介の警部の右京に調査を依頼されたことが面白くないと、甲斐峯秋(石坂浩二)を呼びつけ、部下=右京に対しての“監督不行き届き”だと叱る……《美彌子は態度も身体も大きくなったものだ》と呆れたが、峯秋は全く意に介さず「右京とコンビを組んでいた亀山という人物に興味があるから、ぜひ調べてくれ」と悪びれずに頼んでいた。
 さらに、右京のメッセンジャーとして訪れた鑓鞍兵衛(柄本明)から「迎賓館にいる関係者の身元を調べてくれ」と依頼され、更にこき使われてしまった……
ワハハ。

 ただし、
【疑問点など】はある
・脅迫者の正体を探ろうと、結婚式姿?で動き回った右京だが、アイシャと被脅迫者たちだけにするのは、あまりにも危険、迂闊
・アイシャが自ら命を絶つ可能性を右京は考えなかったのか?
・亀山と外務省幹部の厩谷以外の被脅迫者の身元をもっと調べるべきだ
・日本と機内との通信(ライン)は自由にできる。他の被脅迫者が身内と連絡を取ろうとしないのは不自然
・サルウィンとの親善パーティということは分かるので、右京なら亀山が招待主ということは思いつきそうなものである

 


【ストーリー】番組サイトより
右京と薫の劇的な再会も束の間
内外要人を招いた催しで悲劇が起こる!


 南アジアのサルウィンで腐敗政府を倒した、アイシャ(サヘル・ローズ)という反政府運動のリーダーが親善目的で来日する。なぜかパーティーに招待された右京(水谷豊)が、興味本位で会場に向かうと、そこにはサルウィンに渡っていた元相棒・亀山薫(寺脇康文)の姿があった。
 パーティーには、鑓鞍兵衛(柄本明)や片山雛子(木村佳乃)といった政治家や、外務省幹部の厩谷(勝村政信)など要人が招かれていた。厩谷は外交通で、アイシャをサポートするミウ(宮澤エマ)らサルウィン側との関係も良好な人物。会場はお祝いムード一色だったが、そんな中、薫のスマホに不穏なメッセージが届く。それは、『アイシャを殺さなければ、旅客機を墜落させる』という脅迫文だった。該当の便には、薫の妻・美和子(鈴木砂羽)が搭乗していた。到着までのリミットは4時間。
 右京と薫は、手分けして脅迫者を追跡するが、その矢先、会場の一角で、思いも寄らない事件が起こる。

ターゲットは腐敗政治を正した女性活動家
刻一刻と旅客機テロのタイムリミットが迫る!
守るべきは彼女か、それとも乗客の命か…!?
究極の選択を前に、右京と薫が動き出す!!


ゲスト:勝村政信 宮澤エマ サヘル・ローズ 木村佳乃 柄本明

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
コメント (2)
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2022年度 A級順位戦 3回戦を終えて

2022-10-12 14:15:31 | 将棋
A級順位戦の4回戦が始まってしまった。(昨日(10月11日)広瀬八段vs稲葉八段戦)
実は2回戦終了時点で、記事を書こうと思ったが、ずるずる……本日に至ってしまった。

 と、本題に入る前に……上記で「広瀬八段」と記した時、《まだ八段だった?》と。
広瀬八段は、竜王1期(2018年度)、王位Ⅰ期(2010年度)、A級在位9期と実績充分。とっくに九段になっていると思っていた。
将棋連盟の九段昇段規定によると
・竜王位2期獲得
・名人位1期獲得
・タイトル3期獲得
・八段昇段後公式戦250勝

……竜王戦誕生以前は名人戦が別格のタイトルとされていたが、契約金最高額の竜王戦誕生時に、「名人位と竜王位は他のタイトルより上位で、ほぼ同格ではあるが、竜王位が序列は竜王位が上」と微妙な序列となった。
しかし、この九段昇段規定では、名人位はタイトル3期分、竜王位は1.5期分と名人位が上位(2倍分)。
 これは、《名人挑戦権を得るには、階段を上るように順位戦のクラスを上がっていかなければならず、四段昇段後、4クラス昇級してA級に上がり、そこで1位にならないと挑戦権を獲得できない》というシステムによる制定かもしれない。難易度も高いが、四段昇段後、最低五年を要する点も、他のタイトル戦とは一線を画す要素となっている。
 で、広瀬八段はタイトル2.5期で、0.5期不足という状況。A級維持も相当難易度が高く、在位5期でタイトル1期分はあると思うので、広瀬八段が八段でいるのは、相当運が悪いと言える。
 あと、当然かもしれないが、広瀬八段以外にもタイトル経験者でA級に在籍している八段は、斎藤八段(王座)、糸谷八段(竜王)、菅井八段(王位)。

……前置きが長くなってしまった(いつも通りか)

昨期、羽生九段がA級から陥落してしまったので、イマイチ、観戦に力が入らない今期のA級順位戦。
 メンバーを見ると、私が言うのは非常に気が引けるが、層が分かれていると感じた。
藤井五冠(竜王、王位、叡王、王将、棋聖)、永瀬王座、豊島九段、斎藤八段、広瀬八段
佐藤天九段、菅井八段、糸谷八段、稲葉八段、佐藤康九段 
 の二層(2層の区別、順番は私の主観)

 下段の順番は前から三人の上下は微妙。申し訳ないが、佐藤康光九段は降級に近そう。

 で、2局を終えた時点では
2勝0敗……広瀬八段、稲葉八段
1勝1敗……斎藤八段、糸谷八段、豊島九段、永瀬王座、菅井八段、藤井五冠
0勝2敗……佐藤天九段、佐藤康九段    (棋士名は今期順位戦ランキング順)

 ほぼ充当な結果と言える。と言うのは…
 先述した“上位層”“下位層”に注目し、《上位層vs下位層》の対局を見ると
1回戦では、○斎藤vs菅井、○広瀬vs糸谷、○藤井vs佐藤康
2回戦では、永瀬vs稲葉○、○広瀬vs佐藤康、藤井vs菅井○
 6局対局中4対局が順当と言える結果だった。(豊島九段の1敗は対永瀬戦、斎藤九段の1敗は対豊島戦)
 しかし、2回戦は波乱が2局あり、しかも、藤井五冠が敗れるという大波乱(菅井八段、ごめんなさい)


 3回戦は、
広瀬vs佐藤天○、○斎藤vs佐藤康、永瀬vs菅井○、○藤井vs糸谷、○豊島vs稲葉(順番は対局日順、赤字は番狂わせ?)
 2勝0敗の広瀬八段、稲葉八段が敗れたため、全勝がいなくなり、2勝1敗が6棋士の大接戦。(あの方がこの後、全部勝ってという可能性も低くはないが…)
2勝1敗……斎藤八段(1)、豊島九段(4)、広瀬八段(5)、菅井八段(8)、藤井五冠(9)、稲葉八段(10)
1勝2敗……糸谷八段(2)、佐藤天九段(3)、永瀬王座(6)、
0勝3敗……佐藤康九段(7)     カッコ内数字は今期順位戦ランキング
 実に面白い展開。その立役者は、藤井五冠、永瀬王座を撃破した菅井九段。昨年度は銀河戦、朝日杯と優勝し、復活の狼煙を上げていたが、予想以上の活躍。将棋内容も充実している。
 藤井五冠の2局目での敗局は意外だが、早い段階で《藤井五冠も無敵ではない》という認識が少しだけ増えたという意味でも、面白くなった。
 さらに、竜王戦第一局でも広瀬八段に敗れたので、さらに、面白くなった。と言っても、藤井五冠のタイトル戦初戦での敗局は多いが。

 昨日の4回戦、広瀬八段vs稲葉八段戦は、安定した指し手で広瀬八段が勝利し、3勝1敗とした。稲葉八段は2勝2敗。
 今日(10月12日)は、斎藤八段vs藤井五冠、佐藤康九段vs菅井八段が行われている。(左側の棋士が先手)
 前期名人挑戦者の斎藤八段と藤井五冠は注目の一局。
 佐藤康九段もここら辺りで白星を挙げておかないと苦しくなる。
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【歳時メモ】今年のセイタカアワダチソウ状況 と 花水木の紅葉

2022-10-11 17:12:20 | 歳時メモ
困った……忙しくて(←くどいようですが、儲かっていません)、記事を書けません
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

セイタカアワダチソウ
 ここ数年(6~7年)、不作?気味でしたが、今年は豊作。(2019年は中盤までは順調でしたが、その後尻すぼみ?)
 ここ数年の不作は、天候不順(残暑が長かったなど)によるものか、土壌限界(←こんな言葉があるかは分かりませんが、繁殖が進み過ぎて、土地がやせてしまった感じ)によるものかは不明。

 今年の天候はどうだったかと言うと、私の夏から秋へのイメージとしては“不順”です。夏の来訪は早く、しかも猛暑が続いた。
 しかし、その後、梅雨に逆戻り(「北陸地方の梅雨明けは特定できない」と気象庁は訂正)、台風などによって各地で大雨。
 上旬、中旬、下旬という単位では、凹凸がはあったが、ひと月単位で観ると、8月…降水量は非常に多く、気温はほぼ平年並み、日照時間はやや少なめ。9月…降水量は平年並み、気温は高め(ただし下旬は平年並み)、日照は平年並み
 生育?のポイントで言うと、大きな要素であるは十分で、気温は高ければ良いというものではないかもしれないが、充分。日照時間も悪くはない。
 と言う訳で、生育条件としては、平均点以上。でも、それが今年の豊作?に即、結びつくというほどではない。……まあ、「良さ気な条件」というくらい。

 とにかく、「今年は草丈が高く、生育が早く、色づきも良い」という感触。

花水木
 身近な樹では、一番早く紅葉するのが花水木(のような気がする)
 9月中旬から赤茶色を帯び始め、10月にはそれが顕著になった。このところ、天気が良くないので、日光がに透けて赤みが綺麗だなあと思うことが今年は少ない。
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Jアラートシステム……大丈夫なのか?

2022-10-05 18:25:09 | 時事
10月4日午前7時27分 Jアラート
「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難してください」
対象地域:
北海道 大島町 利島村 新島村 神津島村 三宅村 御蔵島村 八丈町 青ヶ島村 小笠原村


NHKキャスターは上記の文章を繰り返すだけ。
しばらくして
「政府は屋外にいる場合は、近くの建物の中か、地下街や地下にある駅などに避難するように呼び掛けています。避難する建物はコンクリート造りなど頑丈なものが望ましいということですが、頑丈な建物がなければ、それ以外の建物に避難するよう呼びかけています」

午前7時29分 Jアラート
対象地域が北海道から青森県に変更
された。 NHKのコの字画面の情報では対象地域は北海道のまま

午前7時30分 エムネットの情報
「午前7時22分頃、北朝鮮から北海道、青森県の方向に発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難してください」
と発表された
エムネット……国民保護法に基づく緊急事態が起きた時に、国が地方自治体や報道機関などにメールで連絡するために整備されたもの

午前7時27分 防衛省(午前7時34分にNHKの報)
「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」と発表

NHKキャスター「防衛省は日本への影響がないか情報の収集を進めています」

午前7時29分 海上保安庁
「防衛省からの情報として“北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された”」と発表
航行する船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけている


午前7時42分 Jアラート
「ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは、午前7時29分頃、太平洋へ通過したものとみられます。不審なものを発見した場合には、決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡してください」……後(のち)の報道では「午前7時28分~29分ごろ」
対象地域:
北海道 青森県


その後の報道(NHK『ニュース7』)
「午前7時44分ごろ東北地方の東 約3,200キロ落下か」

(7時45分以降は外出していたので、生のJアラートの発信や、“日本政府がいつ落下を確認したのか”は分かりません)

誤報やトラブルなど
東京都の島しょ部が対象になった
「何らかの不具合で島しょ部が対象となった」(内閣官房)

北海道と青森県の6市町村では防災行政無線などが機能せず、受け取った情報を住民に伝達できないトラブルが起きていた
・北海道恵庭市……無線機を更新したばかりの地域で音声が流れず
・北海道新ひだか町……Jアラートの受信機を修理中
・青森市……Jアラートに連動して登録者に緊急情報を届けるメール配信機能が機能せず、約20分後に手動で配信
・青森県平川市……新庁舎へ防災行政無線システムを移設する作業中

楽天モバイルによる緊急速報メールでも障害
 Jアラートの保守管理を請け負っていたNTTコミュニケーションズの設定ミスが原因


と、いろいろ不具合が起こっていた。
 対象地域が東京都の島しょ部になったのは、“何らかの不具合”によるモノと説明していたが……原因不明、分からないっていうこと!?
 そもそも、どういうシステムで対象地域を割り出しているのだろうか?
 発射地点、発射角度・速度、ミサイルの種類などから演算処理して地点をはじき出しているのなら、もっと詳細な情報が発せられてもいいはず。
 それとも、レーダー網や人工衛星がミサイルらしき飛行物体を感知して、発しているのだろうか?
 あるいは、日本、韓国、米国などの人為的諜報機関がミサイル発射を知らせるのか?(誰か教えてください)

 それと、対象地域の6市町村で警戒情報を伝達できなかったというのは、Jアラート関連の機材やシステムを更新中、移設中、修理中ということだが、一刻を争うという緊迫感がなかったのではないだろうか?


そもそも、Jアラートとは?
【以下は、総務省消防庁の『平成29年版 消防白書』の『特集10 全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達における課題と対応』のページによる】
正式名称は全国瞬時警報システムと言うらしい……へえ~「瞬時警報」ねえ?……
総務省消防庁の管轄……防衛省じゃないのか
システムの概要「弾道ミサイル攻撃に関する情報や緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、人工衛星及び地上回線を通じて全国の都道府県、市町村等に送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、人手を介さず瞬時に住民等に伝達するシステム」
 つまり、有事の際に住民が適切な避難を速やかに行うために、住民に正確な情報を迅速に伝達するためのシステムであって、ミサイル警戒システムではないという事。
 「弾道ミサイル攻撃に関する情報など国民保護に関する情報は内閣官房から」とあるので、内閣官房、あるいは内閣官房にミサイル情報を伝えたと思われる防衛省が緊急情報をJアラートシステムに乗せたということになる。
 だとすると、上述の対象地域に東京都島しょ部も含めたのは、自動発信ではなく、内閣官房(或いは防衛省)からの誤情報、誤操作ということになる。Jアラートの警戒情報に文言として「対象地域:北海道 大島町 利島村 新島村 神津島村 三宅村 御蔵島村 八丈町 青ヶ島村 小笠原村」となっているのだから、人為的なミスのような気がする。


………で、実はここからが、本記事の主題
 先日までのミサイル発射(ロフテッド軌道)に関する報で、「いつ、どこへ、何が(ミサイルと思われるとかいう表現)」があやふやで、遅いので不安に感じていたが、今回はミサイルが日本列島を横切ったという重大危機だというのに、その情報は貧弱だった。

《午前7時22分頃、北朝鮮が弾道ミサイル発射》
《7時28分ごろから7時29分ごろにかけて青森県上空》

ということだが、
Jアラートが「ミサイル発射」の情報を発したのは午前7時27分で、その1~2分後には青森県に達している。長くて2分しか猶予がない!
さらに、「ミサイルが青森上空を通過」という情報は午前7時42分。ミサイル通過さえもリアルタイムで確認できなかったのだろうか?


NHK『ニュース7』で伊藤俊幸教授(金沢工業大学虎ノ門大学院・海上自衛隊元海将)が
「万が一ミサイルが日本に着弾するような時には、自衛隊がそれを迎撃するという態勢を取っていますから、“正しく恐れる”ということが必要である」
豪語していたが、とても信じられない。


【弾道ミサイルについて】
・空気が非常に薄く、抵抗が少ない大気圏の高層や宇宙空間といった高々度を飛行
・弾道ミサイルの最高速度は毎秒約3km(マッハ約9)(航空自衛隊の要撃戦闘機F-15の最高速度の約4倍)
・大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)を搭載できる
(詳しくは「弾道ミサイル解説のページ」


核を搭載していなくても、原発に着弾したら大惨事である。
命中する精度も知りたい。

大丈夫なのだろうか?大丈夫とはとても思えない………
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アストリッドとラファエル ~文書係の事件録~

2022-10-04 18:06:22 | ドラマ・映画
銀行で大金を引き出す男性。
窓口の女性行員は、あまりの額の多さに、おろすのには手続きが必要とか言っていたが、上司がやってきて手続きを省いて大金を渡していた(よほどの御得意様なのだろう)。
その後、男は駐車場に行くが、おもむろに灯油缶の灯油をかぶり、火をつける。全身火だるまになるが、助けを求める様子はなし。
(後に警察が確認した銀行の防犯カメラを見る限り、焼身自殺に思えた……)

画面は切り替わり、パズル(木片細工のような記憶があるが、よく覚えていません)を解いている女性。解き終えると、嬉しそうな表情……

何かのブログ記事を書いていたので、訳の分からない映像だな……とぼんやりと視聴。

その後、刑事たちの捜査会議らしきものが始まる……
ここで、《ああ、刑事ドラマか。なら、続けて観てみよう》となった次第。

このドラマを観たのは、全くの偶然。
非常に幸運な偶然だった。




事件(エピソード)は、興味深い状況から始まる
・弁護士が法廷の弁論中に心臓停止で急死。病死と思われたが…
・国立自然史博物館で古生物学者が遺体で発見される。死因は溺死だが周囲に水気はなかった……
・推理作家が服毒死しているのが発見される。自殺と思われたが…
・バスの中で電子タバコを吸っていた男が突然死亡する。しかし、身元が分からない……
・葬儀の直前に遺体が行方不明に……
…………などなど

 一見、病死や自殺と思われたが、実は殺人。遺体や現場の状況が不可思議で、説明がつかないような状況で、その真相にたどり着く過程がパズルを解いていくようで、面白い。
 真相は、ちょっと無理があることもあるが、些細なことである。
 実は、このドラマの面白さ・魅力は、事件解明、解決よりもアストリッドとラファエル、このふたりの心の繋がりが深まっていく道程に魅力がある。

アストリッド――
【AXNミステリーの番組紹介より引用】
犯罪資料局で働く自閉症のアストリッドは、警官だった父親の影響を受け子供の頃から刑事事件の調書や謎解きに人一倍興味を持っていた。そして、犯罪学者や監察医並の知識も兼ね備えている


 これだけだと、彼女の性質や性格が十分に分からないと思われるので、補足します。ただ、私自身、“自閉症”を理解していません。なので、アストリッドの独特な性格や行動が自閉症に起因するものなのか、彼女の性格によるものが大きいのかが、よくわかっていません。
 なので、以下の文は、アストリッドの特質を説明しているとお考えいただくと、気が楽になります。


・曖昧さが苦手で、人からの指示を100%か0%で受け止める。例えば、「そこで待っていて」と指示(お願い)すると、その指示を解除しないと、いつまでも待っていようとする
・曖昧さが苦手なので、一般の人(アストリッドや他の自閉症の人と区別して“一般の人”と記すのは、差別的な気もしますが、ご容赦ください)の気持ちや感情を理解し難い
・突発的な出来事に対処するのが苦手なので、いくつかの考えられる可能性を想定して事に当たるが、それでも、その想定外の事象が発生して、パニックに近い状態になる
・喧騒、特に、一度にあれこれ話しかけられるのが苦手
・他人に身体を触れられるのは苦痛
・非常に几帳面(『名探偵モンク』のモンクを思い浮かぶ。モンクの方が強度か?)

(後で、思いついたら補足します)

そして、
・膨大な犯罪資料に目を通し、それを記憶。さらに、ネットなど知識を補足。
・パズルが好きで、得意。それゆえ、物事を多角的にとらえ、論理的に事象を構築・検証するのに長じている
・確認した事象を整理・検証し、不合理・矛盾を見出し、逆に通常有り得ないと思われる結論でも、可能性が考えられれば、排除しない
・洞察力も並外れている

(これらもモンクに通じることが多い)

このアストリッドの特質については、第1シーズン最終話でフルニエ監察医が語った言葉が的確だったのでご紹介する
「あんたはこれまで組んできた犯罪科学者の中でもトップレベルだ。
 単に知識が豊富というだけじゃなく、多角的な視点で物事を見ている。
 言われなきゃ、見落としてたよ(この時の事件でも、彼女の呈した疑問点を踏まえて解剖・検視した)
 おかげで俺も刺激を受けた。慢心しちゃいかんと思いつつ、少し自分に甘くなっていた。
 でも、あんたが加わって、仕事に対する心構えが変わった。より熱が入っている。
 俺は不愛想なこともあるが、元からそういう人間なんだ。
 あんたの協力に感謝している。以上だ」

最初の頃は、自分の見立てに対し、アストリッドが疑問を呈し、結果的にやり込められることが多かった(アストリッド本人は、やり込める意思は全くない)
《素人が分かったようなことを言うな》と思っている節がありありだったが、彼女が論理的に考え、疑問や可能性を示しているだけと理解するようになっていった。
上記の言葉、彼は言いづらそうに発していたが、それは嫌々ではなく、単に照れくさいだけのようだった。
彼の言葉、私も嬉しかった。

ラファエル――
 思いつきで行動する猛進型だが、おおらかで誰に対してもフレンドリーな性格【AXNミステリーの番組紹介より引用】

 パリ警視庁の警視で、猛進型。少々“がさつ”
 几帳面(神経質)なアストリッドとは、水と油のように思われるが、包容力があって、優しく、アストリッドを理解しようと努める。
 自閉症が悪いことと決めつけず、そう言った面も含めて、アストリッドを受け止めている・
 「猛進型でがさつ」と書いたが、それは、自分の考えや気持ちを隠さずストレートにぶつけるからだ。なので、アストリッドもラファエルを理解しやすく、信頼もしている。



このふたりの繋がりが深く強くなっていく様が、非常に心地よく、嬉しい。


ラファエルと行動を共にすることで、アストリッドも進歩し、周囲の人間もアストリッドを理解していく。
そういった状況を、第1シーズンの最終話でのガイヤール(犯罪資料局の長官。アストリッドの父の友人であり、アストリッドの父の死後はアストリッドの後見人)が表現している。

「(君に感心した点は)ここ数か月のキミの進歩だ。
 当初は君が警察の捜査に協力するのに賛成できなかったが、コスト警視(=ラファエル)のおかげで、きみは成長した」
「でも私は変わっていません。今も自閉症ですが、これからも同じですし、このままでいたいです」
「そこがきみの凄いところだ。自分らしさを失わず、自信をつけた」



第1シーズンをNHKで視聴したが、第2、第3シリーズは未定。
AXNミステリーでは第3シリーズが放送中とのこと(オンデマンドでも見逃し配信中!第1~第3シーズンを10月15日まで)
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鎌倉殿の13人 第38話「時を継ぐ者」

2022-10-03 19:02:27 | ドラマ・映画
今回は疑問点が多かった。まず、その疑問点から(主題を先に書くと、書いているうちに疑問点を忘れてしまいそう)

・りくと時政の対話のシーンと、時政・実朝・和田らの対峙シーンが入り混じって、時系列を掴みにくかった

・りくが憑き物が落ちたかのように観念し、時政の身を第一に考え始めたが、何が契機となったのかがよく分からなかった
 義村が「自分は義時の指示で時政に付いていた」と時政に告げ、時政が義村に頼み事(りくの身の安全)をした。その後、時政とりくが今後の身の振り方を決める(互いの身を案じる)シーンとなる。
 おそらく、この二つのシーンの間に、義村が義時の指示で動いていたことを知り、りくがこの謀はうまくいかないと悟ったのではないだろうか。


・時政の義時への伝言を和田はなぜ忘れたのか?(本当に忘れたのか?)
 和田なら忘れてしまうことも大いにありうるが……でも、本当に忘れたのなら、わざわざ和田の馬鹿さを演出する脚本の意味がよく分からない。そこで……
①「あとは託した――北条を、鎌倉を、引っ張っていくのはお前だ」という時政の遺言のような言葉を義時に告げることは、義時が父・時政を討つことを促すことになるので躊躇った
②「あとは託した――北条を、鎌倉を、引っ張っていくのは義時だ」と家人たちの前で実朝の口から言わせることに意味がある
と考えた。
……でも、和田らしくないなあ。やはり、和田が度忘れしたのか……でも、《和田が伝言を忘れた》シーンを作らなくても、初めから実朝に伝言を頼ませればいいのに……

・義時と時政の今生の別れのシーン……義時は涙を浮かべて、今生の別れになること、父の最期で父の手を握ることができないこと、もっと父と一緒に鎌倉を守っていきたかった事の無念さを訴え、「こういうことになったのは父のせいだ」と悲しんだが、それなら、決定的な決別になる前にこの涙を父に見せればよかったのでは? 父の企みが謀反となるようダメを押したのは義時本人なのでは?
 あ、これまでの義時が時政を追い込んだこと自体は、問題に感じないが、この涙のシーンを挿入するのは、かなり疑問(これに関連して、次の疑問も)

・義時の決意(決着のつけ方)がどこにあったのかが、分からなくなった
①時政を謀反人として殺害する(捕えて処刑 or 攻め入ってその場で討つ)
②時政を謀反人として流罪にする
 これまでの流れだと①だが、時政の処遇は大江広元、三善康信、二階堂行政ら文官に委ね、伊豆への流罪となった。
 この決着から考えると……
《家人の前で政子が娘として時政の助命を義時に懇願》
《政子は家人にも時政の許しを請い、頭を下げる》
一応《嫡男・泰時、異母弟・時房の助命の訴えも退ける》
《実時からも時政の減刑を願われる》
これらの既成事実を積み重ねれば、時政の流刑で決着すると義時は読んだのかもしれない


・りくを暗殺する意味は?
 父・時政はりくの喜ぶ顔を観たくて、謀反を起こしてしまった。
 確かに、りくが焚き付けなければ、こういう事態にはならず、《時政と一緒にこれからも鎌倉を守る》という思いは達せられただろう。
 しかし、りくを失う時政の悲しみ、まして、自分の命で暗殺を行うというのは、あまりにも短絡的な行為だ
 義時がりくの暗殺を命じたのは、時政の鴬話を聞いたからだと推察……「ホーホケキョ」と囀るのは、オスがメスを口説く時だけ(自分はホーホケキョと鳴いてしまった。


★今話の主人公――りく(宮沢りえ)
《その1・権力欲に囚われた悪女》
“痛い目に遭わせてでも、実朝に言うことを聞かせろ”と時政に強要

《その2・夫の助命を懇願する良妻》
時政の「京の朝雅&きく夫妻を頼れ。自分はりくが安全になった後、投降する」旨の言葉を黙って聞き、涙を流す。時政がその場を去った後、義村に「京都には行きませぬ」と告げる。そして…
政子に土下座し、時政の助命を懇願(時政の覚悟…自害の気持ちを察していた)。すべては自分が企んだことと認めた。


《その3・りく、政子、実衣の女子会》
虚勢を張りつつも、過去の思い出話に興じる3人だったが、互いに感謝に異を示した
怖い顔をしていれば男子が生まれるという命心を真に受けた政子の怖い顔(面白い顔)……そう言えば、そういう事もあったなあと思っていたら、エド・はるみのオチ顔ばりの変顔を披露する政子のサービス精神。
 この時、りくは「北条に嫁いで、いい思い出など一つもないわっ」と悪態をついたが……
 
《その3.5・北条家とうまくやっていく秘訣》(のえ に質問されて)
・無理やり馴染もうとしないこと
・北条に嫁いだことを誇りに思うこと(りくは誇りに思っている)

 当事者には本音を言わず、部外者的な のえ に本音を漏らした

《その4・義時の背中を押す母》
「このまま坂東のド田舎で朽ち果てるなんて、まっぴら御免だわ」(と言って、自分の品のないことばに驚く)←あなたはとっくに坂東のおなごだ(by義時)

「手の届くところに大きな力があるなら、奪い取りなさい。何に遠慮しているのです」
「あなたはそこ(執権)に立つべき御人」
←自分を暗殺しようとした義時なのだが……
 執権にならない義時だったが、りくに背中を押されて、執権に。
 義時の執権反対派に、義村が機先を制して、反対の意を義村が発し、それに応えて義時が強い決意を述べる。それを義村が支持…という流れで反対派を封じ込めた

義時執権着任後の最初の仕事は、朝雅討伐。(表向きは時政の謀反に加担の罪)
本人が訴える通り、「鎌倉殿になる意思は全くなかったが、政範(りくの息子)を毒殺、さらに、その罪を畠山重保に被せたのだから、当然の結末。

この討伐は京の意思を全く無視したことになり、後鳥羽上皇は激怒。
北条義時 対 後鳥羽上皇の図式が顕著となった。



第1話「大いなる小競り合い」  第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」     第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」      第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」    第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」       第10話「根拠なき自信」
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第15話「足固めの儀式」     第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」      第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」     第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」      第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」      第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」     第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」    第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」     第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」     第32話「災いの種」
第33話「修善寺」        第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」        第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」  第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」     第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」      第44話「審判の日」


【ストーリー】番組サイトより
激しさを増す北条親子による主導権争い。北条時政(坂東彌十郎)とりく(宮沢りえ)は、三浦義村(山本耕史)に命じて源実朝(柿澤勇人)を屋敷へと連れ込み、鎌倉殿の座を娘婿・平賀朝雅(山中崇)へ譲るように迫る。対する義時(小栗旬)は、泰時(坂口健太郎)、時房(瀬戸康史)、八田知家(市原隼人)らを引き連れ、時政の屋敷を包囲。攻め込む機会を慎重に見定めていた。張り詰めた空気が鎌倉を覆う中、政子(小池栄子)は……

脚本:三谷幸喜
コメント (6)
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