62km「カヌー館」
100kmの部は1度だけこのカヌー館で荷物を受け取ることが出来る。
ボランティア中学生がゼッケンで確認された荷物を渡してくれる。
事前に送られてきた封書に入っていた応援メッセージは、
西土佐中学の女の子からだった。
きっとこの中の誰かに違いないが、探して声を掛ける勇気などない・・。
心の中で感謝する。
(後で偶然知ったが、バレーボールのエースさんらしい)
カヌー館はランナー達にとっては「楽園」である。
天国のように敷かれた芝生が青く眩しい。
昆布のおにぎりやお味噌汁が本当に美味しい。
楽園に捕えられたランナーはそこでレースを終えてしまう。
楽園はトラップゾーン。
過去の経験からここでの時間が後半の後悔につながる。
そのまま走り出してもよかったが、
濡れたシャツは不快だったんで急いで着替えた。
家のご近所さんでもある知り合いランナーが偶然傍にいた。
「さっき聞いたけどここからキロ9分でゴール間に合うらしいよ」
「え~!ホンマですか!?」
「キロ9分で完走できる!」
絶望の淵から光が差すような感じがした。
早く蜘蛛の糸を辿ってこの楽園を抜け出さねば・・
ボランティアの知り合いを見つけたが、
手を振っただけで先を急ぐ。
まだ蜘蛛の糸はゴールへと繋がっているのだ!
カヌー館を出発。
滞在時間が短かったおかげで脚が固まらずにすんだ。
ここからの道は先月自分の脚で試走している。
粘れば何とかなる。
まずは江川崎の赤い大橋を目指す。
脚は疲れて遠く感じるが土地勘もあるので粘る。
1km毎にキロ8分を刻む。
江川崎の赤橋に到着。
ここからは車と合流する。
息子の担任先生が赤い顔をして歩いている。
白いゼッケンからすると60kmの部に出場らしい。
「先生走れ~!」と喝を入れる。
出来る事ならみんな完走してほしい。
過去のレースではたくさんのランナーからも励ましを頂いた。
ランナー同志の励ましはかなりの効果がある。
後ろからくる車の気配を感じながら端を走る。
狭い道幅はやはり危ない。
網代の休憩所のトイレに入る。
試走で確認済みで時間のロスもほとんどない。
次は「岩間の沈下橋」を目指す。
少し長いのは知っているがキロ8分をひたすら刻む。
長い直線の後に「岩間の沈下橋」に到着。
ランナーはまばら。
沈下橋独占、と思ったら後ろから車が・・。
せっかくの写真ポイントなのに自衛隊のジープに追われた。
沈下橋を渡ってからの少しの上りが登れない。
相当脚を酷使している。
70kmの看板を目指す。
自分自身の2つ目のチェックポイント。
70km地点をちゃんと走れる走力が残っているか・・。
残っている。
キロ8分台で進む。
私設エイドで梨を頂く。
大声で叫ぶ。
「ここが楽しみで、ここを目指して走ってきましたー!」
おじさん達がドッと湧く。
瑞々しい梨が美味しい。
芽用大橋を渡る。
橋のたもとは関門所。
2年前は関門25分前に通過して、結果時間外完走だった。
今年は関門35分前に通過。
やっと取り戻してきた。
粘ればまだ完走できる。
75km地点、
エイドでの時間がロスとなって襲い掛かる。
この5kmはキロ9分を超えてしまった。
ここでアクシデントに見舞われる。
急にお腹が痛くなった。
これは下痢の痛み。
下腹に力が入らない・・
普段の長距離走でもたまにあること。
我慢して走っていたら直るときもある。
下を向いて進む。
中半地区は本当に長い。
我慢との勝負、
そこに看板の「となりのトトロ達」が現れた。
メイちゃんが心配そうにこちらを見ている。
トトロは超笑顔だ。
今はトトロよりも本物の「猫バス」に会いたい・・。
下痢の波を何回も耐えながら走る。
長い中半地区もやっと終わり、口屋内地区に入る。
「旅館せんば」の前で大きな声援を受ける。
ここの応援はアツい。
凄く嬉しいが、でんでん太鼓の音が下腹に響く。
バス停付近では、
並んで応援するお年寄りをテレビクルーが撮影していた。
そのお年寄り達の前を通過する。
一斉に声援をくれるお年寄りのみなさん。
ここぞとばかりに気合い十分のカメラマン。
まさかそのランナーは下痢に耐えているとは思いもしないだろう・・。
賑やかな口屋内地区を通過すると次は久保川地区を目指す。
久保川には公園のトイレがある・・
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