エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■36■「夜明け前が一番暗い」

2018年01月23日 | エルソル大阪物語

■36■

南海ホークスはダイエーホークスになり、
阪急ブレーブスもオリエンタルリースに買収されました。

「紹介所」に戻ってお店探しをする事にしました。

泉佐野『理容〇ー』・浜寺『サロン美〇』などに
面接に行きましたが、相変わらず手ごたえがありませんでした。

その頃になると紹介所の『石井のオッサン』は、
お見合い世話好きのオバハンのように手当たりしだい
「これ行け!」「あれ行け!」と言うようになりました。

『アポロ』『コロナ』『コスモ』

客として行くのにも勇気がいるような渋い店名は、
名前だけでどんなお店か想像のつくものばかりでした。

最後の手段に出ました。
電車の停車駅一つ一つの駅周辺を歩き、
『スタッフ募集』の張り紙を探すのでした。

南海本線は尾崎駅(和歌山)から難波方面にスタートしました。
各駅周辺に散髪屋は沢山あるのですが、
募集の張り紙は「大衆理容」以外ほとんどありませんでした。

思ったほど駅周辺に散髪屋は無く、随分と足を使いました。

毎日足が棒になるまでとことん探しました。
堺駅になってやっと『スタッフ募集』の文字を見つけました。
どうしても中が見たいので店の前を何往復もして
「チラッ」「チラッ」と見ていました。
すると中からマスターのような人が出てきて、
「いまやったら、すいてるけど・・・」と言われてしまい、
恥ずかしくて逃げました。

三国ヶ丘駅周辺で
『ヘアブティック 〇ワ』と
『〇カットハウス』が募集していたので、すぐに公衆電話から電話したのですが、
「今現在は人を入れる予定はありません」とのことでした。

電車代もバカにならず、
地下鉄御堂筋線では「なかもず」から「西田辺」まで(五駅)歩きました。

車専用の高架道路に迷いこんでしまい、クラクションの嵐を浴び続けたりしました。

「西田辺」の歩道橋の上でさすがにへたり込みました。
11月の夕陽はとても弱々しく寂しいものでした。
でもそれが心地よく、しばらく動きたくありませんでした。

親戚・友人の借金も多額になり、もう使えるお金もありませんでした。

久しぶりに米袋を開けました。
パタパタと小さな蛾のような虫が数匹飛びました。
少ししかありませんが、十分まだ食えそうなんで飯を炊きました。

放ったらかしの野菜は大変な事になっていました。
緑の葉っぱだらけの袋を開けると、どうやら元はジャガイモのようでした。

玉ねぎはチューリップの球根のように芽を伸ばしています。

ニンジンからは透明なモヤシ状の茎が伸びて、
その先端に黄色い花のようなものが付いています。

冷蔵庫のネギは死後一ヶ月のように枯れていました。

フリカケご飯やお茶漬けでしのぐことが多くなり、精神的にもかなり追い詰められました。

久しぶりに学校に顔を出しました。
長島先生「うわ~痩せたな~、今体重何キロや?」

  上田「49キロです・・」

長島先生「ちゃんと食べなアカンぞ~」
    「おう、そうそう、募集来てるけど、どうする?」

今までのいきさつもあったので慎重に答えました、
  上田「とりあえず見てきます」
    「何処ですか?」

長島先生「西区やな、ヘアーサロンターニンやて」

古尾先生「ターニンやからきっと谷さんやで」

笑顔の苦手な古尾先生が頑張って笑みを浮かべました。

■36■


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