さつきやま こずゑをたかみ ほととぎす なくねそらなる こひもするかな
五月山 木ずゑを高み 時鳥 鳴く音そらなる 恋もするかな
五月の山は枝が伸びて梢が高いので、時鳥の鳴く声もひときわ空高く聞こえて来る。私も心が上の空になるような恋をしていることよ。
初句から第三句「鳴く音」までは次の「そらなる」を導く序詞。「そら」は時鳥の声が響く「空」と、気持ちが「(上の)空」との両義になっています。そうした技法も含め、やや理屈っぽい感じがしますね。
この歌は 古今和歌集(巻第十二「恋歌二」 第579番)に入集しています。単なる偶然でどうでも良いことですが、古今集でも貫之集でも579番ですね ^^;;