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移植コーディネーター

「日本臓器移植ネットワークが、2010年7月の改正臓器移植法全面施行
に伴う脳死からの臓器提供増加に備え、提供者への情報提供や移植医療の
普及・啓発に携わる「移植コーディネーター」を大幅増員することを決め、
1日、募集を始めた。」

という。


最大10人の増員を見込んでいるという事だ。






いわゆる、「ドナーコーディネーター」で、臓器提供候補者の医学的評価と
家族に対する臓器提供情報の提供、臓器提供の手術調整や立ち会い、臓器
搬送などを業とする人たち。

現在、日本臓器移植ネットワーク所属の約20名と日本臓器移植ネットワー
クから委嘱を受けた都道府県コーディネーター約50名が活動していて、多
くは看護師などの国家資格を持つ。





当然、全員看護師資格を持つ人たちかと思ったら、応募資格は、看護師の他、
社会福祉士などの国家医療資格保有者か、それと同等の知識を持つ人、すな
わち4年制大学卒以上の学歴のある人など、という事らしい。




対して、生体移植において、臓器提供者と臓器移植者の調整役を担ったり、
各移植病院内で、移植候補者との連絡調整や臓器の受け入れを調整したり
するのは「レシピエントコーディネーター」で、多くは看護師だ。






どちらであっても究極の専門職で知力、体力共に必要不可欠。

でも、必ずしも看護師資格を持たなくてもいいのには少し驚いた。




来年7月の施行に向けて多くの過程を踏んでいくのだろうが、1つ気になる
のは「経験」。



現職の人も含めて、移植に関する専門知識(机上の)はガッチリ詰め込まれ
るのだろうが、そこに果たしてどれだけのドナー、あるいはレシピエントの
実体験が反映されるのだろう。





というのも、4年前、突如の発病の中、当事者の自分は別として(そもそも
考える余裕も無いので)、まったく何も知識の無い妻や家族やドナー候補の
姉たちが、「移植」という想像も付かないものを前にして、とりあえずの窓
口となる、当時のコーディーネーターさん(つまり院内レシピエントコーデ
ィネーター)に、散々嫌な思いをさせられ、振り回されたからだ。


病床でその話しを聞きながら、怒りと共に、もう少し自分たちに知識があった
なら、と思ったものだ。


ただでさえ通常ではない心理状態で、それに追い討ちをかけるような言動、
行動があったようだ。





例えばこうだ。

当時、移植病院ではないK病院に入院中で、姉たちのドナーの適合検査の
日程が、K病院から検査をするH大病院に送られているはずだったのが、
検査日当日、予定されている時間に姉たちがH大病院に行くと、コーディネ
ーターさんに、

「何しに来たの?」

「連絡?聞いてないけど。突然来られても困るんだけど。」


と、あまりにも無感情で言い放たれたという。



結局、送ったはずのFAXがH大側の停電で受信していなかったと、信じら
れないような理由(うそだと思うけど)で、

「来てしまったものはしょうがない」

という事で検査を受けさせられたらしい。



こんな事はほんの一部で、わたし自身も神経を逆撫でされるような言葉を言
われたのは一度や二度ではない。



その後、後任のTさんに変わり、安心した入退院生活を送れたわけだが、
病気になってしまうと我々は圧倒的な弱者で、応分の知識を求められても
困る。


であれば、圧倒的強者の医師・看護師に患者やその家族を思いやる気持ちが、
ほんの少しでも無いと、そこには憎悪や悪感情しか生まれない。




通常でもそうだろうけど、それが移植医療の現場ともなるとより高まると思う。

医療関係の方には、是非少しでもその辺の所を汲み取ってもらいたいし、で
きるなら経験者の人たちの「生の」声をどんどん聞いて欲しいし、これから
増えていくであろう若い移植経験者の方たちには、どうか積極的に施す側に
立っていってもらいたいと思う。


悲しみに、更に悲しみを上塗りしないように。
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