北の風に吹かれて~独り漫遊記~

町歩きを中心に、日々の出来事を綴ります。 
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文学者生誕の地

2022-07-08 19:45:50 | 札幌

 

札幌の街中を歩いていると、ビルや住宅街の一角に、見落としてしまいそうな小さな解説板があることに気づかされることがあります。

例えばこちら、大通公園に面した、「丸井今井大通館」の前。

 

 

何でしょう。歴史について書かれているものかな?

 

 

ここに書かれているのは、「武林無想庵(たけばやし むそうあん)」という小説家に関すること。

「武林無想庵」は、明治13年(1880年)、札幌の写真界の草分けとされる「武林盛一」の高弟(特に優れた弟子のこと)であった「三島常磐」の長男としてこの地に生まれ、後に武林家の養子となった人物。

道産子作家の第一号とされる人物で、東京大学中退後にフランスに渡り、「ダダイズム」という、1910年代半ばに起こった既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を持った作家として一家をなしました。

「結婚礼賛」「文明病患者」「飢渇信」「無想庵独話」などの著作がありますが、盲目のなかで全生涯を語った「むさうあん物語」は他に例をみない特異な自伝として知られています。

 

 

 

続いては・・・、

 

 

これまたビルの入口に、ひっそりと解説板が建っていますね。

 

 

「久保栄」という、劇作家の生誕の地。

以前、平岸の「天神山緑地」に行ったとき、公園内に文学碑があるのを見つけていました(こちら)。

東京帝国大学在学中に、「シュルテンハイム」(ドイツの作家)の「ホオゼ」という作品の上演を機に築地小劇場に入り、「小山内薫」という作家に師事していますが、この「小山内薫」は、先ほどの「武林無想庵」と文学誌を共同で創刊した人物であり、ここに繋がりがあることになります。

昭和13年、リアリズム(事実をありのままに映し出し、理想を排する芸術思想)演劇の最高峰とされる「火山灰地」という戯曲を発表し、一時期、弾圧により投獄されるも、戦後になって「東京芸術劇場」を創設し、天神山緑地に文学碑のある「林檎園日記」を創作、演出するなどの功績を残しています。

 

 

 

最後に、もう一か所ご紹介。

こちらは一般の住宅の前のようです。

 

 

 

「森田たま」という随筆家の生誕地。

夏目漱石門下の双璧と言われた「森田草平」に入門した、道産子女流作家第一号とされる人物で、こちらにも書かれているとおり、「現代の清少納言」とも呼ばれ、随筆家としての地位を築いた人物です。

昭和29年(1954年)には、アムステルダムで開催された国際ペン大会に日本代表として出席し、同37年(1962年)には参議院議員に当選し、同43年(1968年)まで務めたそうです。

 

 

札幌市内には、他にも、今となってはあまり知られていない文学者に関する碑や解説板が設置されているようです。

また見つけ次第紹介します。


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2 コメント

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Unknown (とまと)
2022-07-08 21:40:21
ナナマガラーさん。今日も1日お疲れさまでした。

ナナマガラーさんは、いろいろな場所を歩いて
そしてブログで教えてくれますね♪
場所だけじゃなく、おいしいものもです(⌒∇⌒)
いつか行ってみたいけれど、もう行った気持ちになってしまいます^ ^
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Unknown (ナナマガラー)
2022-07-09 07:35:16
とまと様

おはようございます。
元々小学生の頃から町ブラには興味があって、絵や工作が苦手だったこともあって、夏休みや冬休みの自由研究も、町に関して調べたりしていたので、それから40年近く経っていますが、その延長線上みたいな感じで書いています。
地図を乗せているのは、単に自分が忘れないようにということなのですが、見てくださった方から、「行った気持になれる」という言葉を頂くと、大変嬉しく、やりがいにも繋がります(人''▽`)。
拙い内容ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。
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