龍の尾亭<survivalではなくlive>版

いわきFCの応援、ソロキャンプ、それに読書、そしてコペンな日々をメモしています。

『満願』米澤穂信はどうか?

2014年12月19日 22時58分05秒 | メディア日記
これは
このミス2014年間第一位
週刊文春ミステリーベスト10第一位
ミステリが読みたい2015年版第一位
山本周五郎賞受賞
という国内4冠。

わたしは個人的に
『その女アレックス』
の方に一票ですが、好みは分かれるかな。
もったいないほど贅沢にアイディアも描写も投入されている。
個人の短編集としてはほんとうに凄いと思います。

ただ、わたしは石川淳的に、小説とは「長編小説」(長さの問題でもないんだけど)ではなくのこと(石川淳自身の才能がどちらに向いていたか、もまた別の話)だと思っているのでアレックスの方に肩入れしちゃいます。

読んで損はない一冊。
ただ、文庫を待っても良い、かな?



吉田量彦の新訳『神学政治論』(光文社文庫)が超絶お薦め。

2014年12月19日 12時04分27秒 | メディア日記
ここで夏に紹介した
吉田量彦訳の『神学政治論』(光文社文庫版)
を通読終了。とっても面白くて読みやすいんだけど、前半の聖書読解部分をちゃんと読むと時間がかかる。

特にスピノザに興味のない一般の人は、下巻の13章以降を読めば十分かもしれません。

訳者の吉田量彦氏が言うように、この本は間違いなく21世紀の「実用書」です。

むずかしい政治の理論を読むより、よほど役に立つ。つまり、政治が身近に感じられる。
下巻だけでいいですから、ぜひともお薦めしたい一冊。

『新・戦争論』池上彰・佐藤優を読む

2014年12月19日 11時45分45秒 | メディア日記
あとがき(佐藤勇人)に引用されている、

「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(「身体ヨハネによる福音書」)

が身にしみてくる2014年の年末だ。
真理がどこかに動かずにある(いる)とは思わないが、自分たちに全く意識できない場所にあるとも考えたくはない。

この二人がいう外交における「インテリジェンス」(情報誌=諜報)は、グローバル化した現代では私達が自分の給料や年金、医療、食料を考えるにも必要な技術になってしまった。

そうであるなら、瞳を閉じてばかりもいられないよね、ということだろう。

中でも中東とイスラエルの話、中国西部のナショナリズム&イスラムの問題は抜群に面白かった。

それから、和解は暴力の後にしか来ないし、国や状況によって死ななければならない人数が違う、という指摘もリアリティがある。

日本の「今」をつい考えちゃう。

今の日本の政治については「(安倍晋三たちの政治は)語るに足りない」というスタンスで、スルーしているところもある。
ある種の「戦略」もあるのかな。やりだしたら全部だめってことか(笑)

先に読んだ友人が「物足りない」、と感想を漏らしていたのはその辺かも。

にしてもいろいろ勉強になりました。ベストセラーになるだろうから、私が書くまでもないけれど、リハビリ読書には好適でした。

『NHK番組改編事件 制作者9年目の証言』永田浩三・長井暁を読む

2014年12月19日 11時26分35秒 | メディア日記
年末にきて、本が読めるようになってきた。
もちろん、時間がないのではなく、切り替えがきかないだけのことなのだが、仕事もプライベートも一段落ついて、やっと本に手が伸びだしたというところか。

で、今日の一冊目はこれ。
正直、以前は、政治家がメディアの報道に圧力をかける、なんてことはあり得ないし、あってはならないし、そしてさそんなことは政治家だってなかなかできないだろう、と高をくくっていた。
しかし、このあたりからそのメディアの報道に対して政治家は抑制的に行動する、という(想像上のものではあるにせよ)前提がなし崩しになり始める。

今でまはもう、大手のみ既存メディアはフリーハンドを持っていないことが白日の下に曝された感がある。

しかし、政治と報道の関係は続いていくし、日本のメディアは、自由でもなければ、北朝鮮のような単なる御用広告塔でもないだろう。

私たち日本に住む者たちは、単純に他人任せで期待したり失望したりすることを止める程度にはいろいろな意味で豊かになったのではないか。

そういう意味で、この検証は極めて重要な意義を持つ。他に永田浩三氏の近刊もあるはず。

じっくり腰を据えて、たにんごととしてではなく政治が扱う「暴力」=「権力」に瞳を凝らす必要があるだろう。
だからもちろん言いたいのは、政治家はそういうものだしマスコミも厳戒があるし、その中で我々はどうしたいか?という話をするための準備本、ということです。

権力は単なる「悪」ではなくて「暴力的」でもある、ということだとすれば、私たちは「知」を働かせ続けるためにどんな努力をはじめとするすべきなのか?

考えるべきこと、できることはあるはず。
正しさだけを声高に語れば済む話ではなく(それも大事ではあるけれど)、暴力と対峙する「身体感覚」を身につけていかねば。