3月3日(火)曇り寒し夜7時頃より雪【映画『GATE』を観て】
今日はお雛祭りでした。ブログの日付を書いて、あ、お雛祭り、と気づいた次第です。寒いお雛祭りです。お雛様をお飾りして、お子さんの成長を楽しんでいるご家庭もあることでしょう。
さて、昨日は、「SOTO禅インターナショナル」の総会で、映画上映会が催されました。場所は芝公園にある東京グランドホテル内です。上映された映画は『GATE』です。
広島に落とされた原爆の残り火は、九州星野村で山本達夫さんによって灯し続けられました。『GATE』は、その火を、原爆が生まれた場所、アメリカ・ニューメキシコ州「トリニティーサイト」まで戻す旅の記録をもとにした映画です。
原爆によって、多くの犠牲者と悲劇を生み、60年たった今でも、苦しみ続けている被災者がいます。長崎晧臺寺住職・大本山永平寺監院の大田大穣老師も長崎で17歳のときに被災なさったそうで、この映画に出演され、旅にも最初と最後の大事な場面に登場なさいます。
恨みの思いで灯し始められた星野村の火ですが、やがて平和を願う火となりました。これをランタンに灯して、星野村からアメリカ・サンフランシスコに運びこみました。それを核実験場、トリニティーサイトまでの2500キロ、行脚して元に戻そうという旅は始まったのです。3人の僧侶の旅は始まりました。
旅の間、多くのアメリカ人との出会いがあります。原爆投下は戦争終結のために仕方がなかったと思っていた元兵役軍人もいました。彼は原爆が投下されなくても日本は降伏の準備をしていたことを知り、過ちに泣きました。しかし、ほとんど多くのアメリカ人は原爆の悲惨さを知らないばかりか、投下されたことさえ知らない人もいます。
この行脚のことを知ったアメリカンインディアンや、多くの人びとが共に行脚に加わったり、協力の手を差し伸べてくれたのです。
行脚の間も、一行の懸念はトリニティーサイトに至るには先ず「スタリオン・ゲイト」が開かれねばなりません。このゲイトを果たして開けてもらえるか、ということでした。そのゲイトが開かなくては、星野村の火を元に戻して、負の連鎖を断ち切ろうという目的が達成できないことになります。ゲイトの鍵は今まで、誰にも開けられることはありませんでした。ダライラマ法王でさえも、それは許されなかったといいます。
砂漠の暑さに苦しめられながら、足の豆の痛さに苦しめられながら、一行はそれを心配していたことでしょう。
世界最初の核実験の日7月16日から、長崎に原爆が投下された8月9日までの25日間、一行はいくつかのグループに分かれて、2500キロを行脚し続けます。そして、この25日間、アメリカ各地でこの行脚のことは報道されたそうです。世界でも配信され、ロシアのプーチン大統領も、この行脚には心動かされたといいます。
そして、ついにゲイトの鍵は開けられました。アメリカ・ホワイトハウスの指示によってなされたのです。そうでない限り開くはずのないゲイトです。
大田大穣老師を先頭にして、一行と共に付いてきた立会人125人が静かに、原爆投下最初の悲劇の塔に向かいます。その頭上には、先刻までの雷鳴の鳴りやんだ空から光が差し込んでいます。原爆で一瞬にして命を奪われた多くの人びと、消されたとさえいえる人びとの祈りが、60年たった今、平和を祈る光としてそそがれたのかもしれません。地球を守りたい大いなる光がそそがれたのかもしれません。
光に包まれて、大田大穣老師は、平和を願う千羽鶴と道中で頂いた翡翠と悲劇の地の土をくるんで、それに星野村の火をつなぎつけました。それは炎となり、炎は平和の願いをこめて燃え上がりました。二度とこの火が世界のどこにも燃え上がることのないように。ここで終着、これで終わり。ここで燃え尽きて消える。二度と世界人類は核爆弾を使用することのないように。
しかし現実は、世界には多くの核が保有されています。人類全てを何回も滅ぼすことができるほど。
この爆弾を買い占めて、平和的なことに転化しようという運動を監督、マット・テイラー氏を中心になされているそうです。
この運動について関心のある方は、admin@gndfund.org
また映画の上映をなさりたい方は、gate@ic-lab.ne
お寺や公民館での上映は可能だそうです。どなたでも申し込めるそうですので、ご検討なさってください。
SOTO禅インターナショナルの映画会および講演会に、出席しての報告をさせて頂きました。