3月7日(日)晴れ【縁は廻りめぐって】
このひまわりの絵は、『雲と風と月とー尼僧の供養記』の挿し絵の一枚です。誰の死も惜しまれますが、幼い子の死はいっそうに惜しまれ、せつないものです。まして、それが他者による死であれば、いたたまれない思いがします。
日本中で起きている事件の全てを書くわけにはいきませんが、子どもさんたちの冥福を祈る気持ちで、いくつかの事件を書き留め、また後から後から起きてしまう事件によって、少しでも事件が風化しないように、またこれから同じような事件が起こされないような手立てはないものか、と思い随想のなかに書き留めました。
それに際して、本の中に少年少女への献花として、花の挿し絵を描いて貰いました。この挿し絵を描いてくださったのは井辺洋一という方です。この方とは、バス停で「おはようございます」と、なんとなくただ挨拶をかわすだけのおつきあいでした。1年以上たったある日から言葉を交わすようになりました。そして、どうも同じ高校の出身ではなかろうかと、直感のようなものがありましたので、尋ねましたところ、やはり、都内の同じ高校の私より一年後輩ということがわかりました。
そして、さらに私が『雲と風と月と』の編集を丁度はじめる頃で、花の挿し絵を描いてくれる人を探したいと思っていたときなので、そんな話をしましたら、「私の趣味は花や鳥などの絵を描くことなんです」というではありませんか。それから本の挿し絵を話の内容に合わせて、何枚もお描きいただくということになったのです。とても柔らかな雰囲気に満ちた花々が、供養の花として本を飾ってくださいました。
このひまわりの絵は、佐世保の御手洗怜美ちゃんがひまわりがお好きだったという記事を見たので、彼女への献花として描いて貰ったのです。
井辺氏と本の縁はこれだけではありませんでした。『雲と風と月と』が上梓してから、全文をお読み頂いたのですが、この本の中に「昔の熱血先生」という一文があります。この中に私はかつて観たことのある『人間の壁』という映画について紹介をしました。香川京子さんと宇野重吉さんが出た、昭和34年の映画です。
「あの映画に実は私は出ているのです」と井辺氏がいうではありませんか。この映画は茨城県の高萩市立高萩小学校でロケが行われ、その小学校の生徒もエキストラとしてかり出されたのだそうです。なんという縁でしょう。『人間の壁』という映画を観たという人も少ないでしょうし、ましてその映画に出ていたというのですから、私はこの話をお聞きして、本当に不思議なご縁だと思いました。またなんとなくこの本は「供養記」という副題が示すように、やはりなにか目に見えない力の御蔭で出来上がった本だという実感を得たのです。私がたしかに内容は書きましたが、それこそ編集の方や、校正、装丁、組み版、製本等々多くの方の力によって完成しましたが、さらに目に見えない何かがあると思わずにはおれません。自負するようで恐縮ですが、一人でも多くの方にお読みいただければ嬉しいです。
本の内容、前の続きです。
三、平成十九年随想
なぜ母は殺されなければならなかったか
沖縄「慰霊の日」
冤罪
星野村の炎
長崎の鐘
ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会に参加して
逃げるという手がある-自殺に追いつめられる前に
世田谷の悲劇
四、平成二十年随想
ラサの決起
一〇七人の命に
樺美智子さんを悼む
死刑にすることだけが解決ではない
終戦の日
*この続きは、長くなりますので、また次の機会に。
『雲と風と月とー尼僧の供養記』
中央公論事業出版
定価:2000円
お近くの本屋さん、旭屋書店、紀伊国屋書店、有隣堂、文教堂、三省堂、丸善、表参道交差点山陽堂、他。又はネット販売もあります。宜しくお願いいたします。
このひまわりの絵は、『雲と風と月とー尼僧の供養記』の挿し絵の一枚です。誰の死も惜しまれますが、幼い子の死はいっそうに惜しまれ、せつないものです。まして、それが他者による死であれば、いたたまれない思いがします。
日本中で起きている事件の全てを書くわけにはいきませんが、子どもさんたちの冥福を祈る気持ちで、いくつかの事件を書き留め、また後から後から起きてしまう事件によって、少しでも事件が風化しないように、またこれから同じような事件が起こされないような手立てはないものか、と思い随想のなかに書き留めました。
それに際して、本の中に少年少女への献花として、花の挿し絵を描いて貰いました。この挿し絵を描いてくださったのは井辺洋一という方です。この方とは、バス停で「おはようございます」と、なんとなくただ挨拶をかわすだけのおつきあいでした。1年以上たったある日から言葉を交わすようになりました。そして、どうも同じ高校の出身ではなかろうかと、直感のようなものがありましたので、尋ねましたところ、やはり、都内の同じ高校の私より一年後輩ということがわかりました。
そして、さらに私が『雲と風と月と』の編集を丁度はじめる頃で、花の挿し絵を描いてくれる人を探したいと思っていたときなので、そんな話をしましたら、「私の趣味は花や鳥などの絵を描くことなんです」というではありませんか。それから本の挿し絵を話の内容に合わせて、何枚もお描きいただくということになったのです。とても柔らかな雰囲気に満ちた花々が、供養の花として本を飾ってくださいました。
このひまわりの絵は、佐世保の御手洗怜美ちゃんがひまわりがお好きだったという記事を見たので、彼女への献花として描いて貰ったのです。
井辺氏と本の縁はこれだけではありませんでした。『雲と風と月と』が上梓してから、全文をお読み頂いたのですが、この本の中に「昔の熱血先生」という一文があります。この中に私はかつて観たことのある『人間の壁』という映画について紹介をしました。香川京子さんと宇野重吉さんが出た、昭和34年の映画です。
「あの映画に実は私は出ているのです」と井辺氏がいうではありませんか。この映画は茨城県の高萩市立高萩小学校でロケが行われ、その小学校の生徒もエキストラとしてかり出されたのだそうです。なんという縁でしょう。『人間の壁』という映画を観たという人も少ないでしょうし、ましてその映画に出ていたというのですから、私はこの話をお聞きして、本当に不思議なご縁だと思いました。またなんとなくこの本は「供養記」という副題が示すように、やはりなにか目に見えない力の御蔭で出来上がった本だという実感を得たのです。私がたしかに内容は書きましたが、それこそ編集の方や、校正、装丁、組み版、製本等々多くの方の力によって完成しましたが、さらに目に見えない何かがあると思わずにはおれません。自負するようで恐縮ですが、一人でも多くの方にお読みいただければ嬉しいです。
本の内容、前の続きです。
三、平成十九年随想
なぜ母は殺されなければならなかったか
沖縄「慰霊の日」
冤罪
星野村の炎
長崎の鐘
ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会に参加して
逃げるという手がある-自殺に追いつめられる前に
世田谷の悲劇
四、平成二十年随想
ラサの決起
一〇七人の命に
樺美智子さんを悼む
死刑にすることだけが解決ではない
終戦の日
*この続きは、長くなりますので、また次の機会に。
『雲と風と月とー尼僧の供養記』
中央公論事業出版
定価:2000円
お近くの本屋さん、旭屋書店、紀伊国屋書店、有隣堂、文教堂、三省堂、丸善、表参道交差点山陽堂、他。又はネット販売もあります。宜しくお願いいたします。