3月3日(火)晴れ【香り】
今日はお雛祭りです。女の子のいる家ではお雛様を飾ってお祝いをしているでしょうか。この頃は少ない風習になっているかもしれませんね。早くにしまわないと、娘がいつまでも結婚できないということも言うようですね。飾る花は桃ときまっていますが、このあたりでは桃はまだ咲いていません。梅が満開から、はや、散り始めてもいますが、良い香りがしています。花はどういうわけか、枝に触ったりしますと、よけいに香りを出す感じがあります。
さて、『ダンマパダ(発句経)』のなかに次のような一句があります。
「花の香りは風に逆らわず、栴檀、タガラ、ジャスミンも。善き人の香りは風に逆らい、あらゆる方位に善き人は薫る。」(発句54)
花の香りならば、風に逆らわずに薫ります。でも善き人の香りは風にも逆らい、どこにでも薫ることができます。善き人とは、仏の教えを信仰し、守り、不殺生戒等の戒を守る人をここでは意味します。
この願いを込めて、実は一人の女性の得度のきっかけの師として、「香」という一字を含んだ安名をつけさせてもらいました。当寺での4か月ほどの沙弥の期間を過ごして、昨日僧堂安居の修行に送り出しました。
尼僧として、どのような出家の日々を送ることでしょう。
みな自分の命は、自分にまかされた命、責任をもって生ききることをまかされた命ですから、諸縁に感謝しつつ、どうぞ、ご精進を、と祈っています。
(右の真ん中あたりにある白い丸はお月さまです。仏教では月は真理のたとえです。指月という言葉がよく使われますが、真理を指す指、つまり仏教の教えのことです。)