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冤罪晴れるー村岡兼造さんおめでとうございます

2006-03-31 12:33:06 | Weblog

3月31日(金)晴れ【冤罪晴れるー村岡兼造さんおめでとうございます】

一億円ヤミ献金事件で、裏金処理を指示したとして、政治資金規正法違反で起訴されていた村岡兼造元官房長官に、無罪の判決が、昨日東京地裁で言い渡された。この事件は橋本元総理の政治団体「平成研究会」、または橋本元総理に、日本歯科医師連盟の臼田氏から一億円が渡され、それが政治献金として収支報告書に記載されていなかったことに対して、東京地検特捜部の手が及んだ事件である。

村岡氏は当時平成研究会の会長代理を務めていて、会計責任者に指示を与えうる立場にいたことと、これを裏付ける証言として、平成研究会の滝川俊行元会計責任者の「元長官に裏金化を指示された」という偽証によって、この件について裏金化を主導した人物とされてしまったようである。

しかし東京地裁の川口政明裁判長は「無罪」を言い渡した。二時間以上に渡ったという判決理由陳述の締めくくりに次のような言葉を添えたそうである。
「長い間ご苦労様でした。今、桜が咲いています。今後のことはどうなるかわかりませんが、せめて、今夜一晩ぐらいは平穏な気持ちで桜を楽しんでみてはいかがでしょうか」と。

私はこの一文を目にして、涙が流れた。2004年9月に冤罪で在宅起訴されてから一年半、村岡さんの胸中はいかばかりであったろう。この事件の発端から私はこれは冤罪であろうと思っていた。テレビに映し出された村岡さんの樣子から、それを確信した。なぜなら私も冤罪の悔しさを知っているから、村岡さんの表情からそれを読み取ることができたといわせてもらおうか。

このような大きな事件に因んで、私のような者の小さな事件を書かせて頂くのは、恐縮ながら、お許し頂きたい。昔の話しであるが、私本人の全く知らないうちに、ある事件の犯人とされてしまっていたということがあった。その頃、何回かの盗難事件が私の属する閉鎖社会で起こっていた。そのことさえ私自身は隨分後まで知らなかった。

大分時が経ってから、この事件は、ある人におとしいれられたのだと思い当たった。その人を私は信用してさえいたので、自分の導き出した結論に驚きさえしたが、それ以外考えられないことであった。私という存在を排除したいという意図によるものであったろうと思う。後から考えれば、その事件の筋書きが、私が犯人と思われるようになっていたので、おかしいな、と気づいたのである。なぜなら当然私はしていないからである。

自分が犯したことでないのに、おまえやったな、ということは拷問にも近い。実際に為したことを、罪逃れのためにシラを切ることは、それほどに苦しくないのではなかろうか。やっていないのにやったなと周りに攻められることほど、苦しいものはなかろうと、自分の経験から思うのである。

私が犯人にされていると友に知らされたとき、何がなんだか分からなかった。悔しいというより、理解ができなかったという方が適切な表現であったろう。そして図書室で一人思い苦しんでいるとき、たまたま目にした新聞の記事が「冤罪晴れる」「免田さん無罪」の記事であった。

あまりにタイムリーな記事であったので、私はその新聞を切り抜いて長いこと持っていたほどである。「免田事件」は、昭和23年に、熊本の人吉で起きた一家四人殺傷事件の犯人として、免田栄さんが死刑判決を受けていた事件である。自白は拷問によるもので、無罪を叫び続けて34年余、ついに冤罪が晴れたのが、私が図書館で一人呆然としていた数ヶ月前であった。無罪判決がくだったのが、昭和58年7月15日なので私が目にした新聞は7月16日の新聞であったのだろう。

私のことは、免田さんほどの苦しみではないなと思いもし、その閉鎖社会を守りたいという思いもあって、警察に届けることを思いとどまった。しかし長い間、私はこの理不尽なことを思い出しては悔しい思いを蘇らせていた。釈然としなかったのである。この件については、今では私なりに心の解決はしている。しかし、それから女性の集団というものに近づくことは極力避けるようになった。テレビドラマなどで、犯人におとしいれられていくドラマは、その人が気の毒で今でも観られない。トラウマというものだろう。

しかし、そのとき私を信じてくれた数人の友人たちを、私は今でも大事に思っている。そのとき教えてくれた友人を終生忘れないだろう。友ほど大事なものはない。一人では生きていけない。

村岡さん、本当に今日はおめでとうございます。裁判長が「今夜一晩ぐらいは平穏な気持ち」と表現していたが、東京地検はさらに控訴するつもりであろうか。止めて欲しい。矛先が違うでしょう。
 #冤罪

#村岡兼造


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